ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」

【嶌信彦】時代をよむ 内閣改造に興奮なし ―政権は末期症状へ―

2018年 12月 13日 vol.276

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内閣改造に興奮なし
―政権は末期症状へ―
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 安倍首相は、10月の総裁選で連続3選を果たし内閣改造を行なった。普通、内閣の顔ぶれが変わると多少の期待や興味もあって支持率が上昇するものだが、今回の改造ではほとんど変わらなかった。重要ポストの顔が改造前とあまり変化がなく新鮮味がなかった上、何か新しいことをやってくれるという雰囲気がほとんど感じられなかったからだろう。注目の小泉進次郎氏も総裁選直前まで意中の首相候補の名前を明かさず、結局話題にならずじまいだった。
 
 自民党の総裁選は、次の事実上の日本のトップを決める選挙なので常に注目されたものだが、現在の政界は“安倍一強”の状態なので誰も波風をたててニラまれたくないという心境だったのだろう。ただ、敗北はわかっていたものの、唯一対立候補として立った石波茂氏がどの程度の票を集められるかが、わずかな関心の的だった。
結果は安倍首相が議員票で予定より10票前後の取りこぼしがあったことと、党員票で少なくとも70%以上獲得するとみられていたのに55%しか確保できなかったことがちょっとした波紋を呼んだ。安倍一強と言われながら、安倍政権に“飽き”がきていることや、自民党に魅力ある人材が育っていないことなどがはからずも露呈してしまったといえる。
 
 現在の自民党は、安倍首相の属する細田派が96人、麻生派が65人、旧経世会の竹下派が55人、次の首相を狙う岸田派が48人、二階派が44人、石破派が20人、石原派が12人、無派閥72人となっており、これに公明党の54人が安倍内閣を支える構図となっている。
実際、こうみると、かつてのような“三・角・大・福・中”といった個性的な領袖の下で激しい派閥争い、ポスト争いをしていたような政治的熱気は感じられないし、その後の“安・竹・宮”体制下のような政策や人柄の相違から争うような面白味もみえない。多くが安倍一強の下で頭を引っ込め、次を待っているような状況にしかみえないので総裁選といっても興奮はしないのだ。
 
 しかし“安倍一強”といっても、総裁選で党員票を55%しか取れなかったことは、安倍政治の末期が近づいていることを知らしめたともいえる。党員票の動きは一般国民の感触により近いため、安倍人気が低下していることを示したとみるべきだろう。議員たちは、誰の首相の下で選挙を戦うのが有利かを考えるものだが、“安倍選挙”ではそれほど盛り上がらないとみたのだ。
北朝鮮問題、ロシア、中国など日本を取り巻く国際情勢は複雑で、これまではアメリカと仲良くしぴったりくっついていれば日本の安全も国益も保証されると考えていた。しかしトランプ大統領の行動は“アメリカ第一”を標榜し対日貿易についても再び厳しい姿勢をみせる気配がある。来年の参院選で敗北すれば政権は終わりだろう。
【財界 2018年12月4日 第484回】

※本コラムは11月中旬に入稿しております。

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