ローマから吹く風

ローマから吹く風第34号ピッツァが世界無形文化遺産/ピッツァの歴史


カテゴリー: 2018年02月05日
イタリアンビテオコレクション・メールマガジン“ローマから吹く風”(第34号)
「ピッツァが世界無形文化遺産/ピッツァの歴史」
目 次
1.はじめに 
2. ピッツァが世界無形文化遺産に
3. ナポリ・ピッツァの歴史
4.ナポリ・ピッツァを学んで楽しむ一日コース
5.あとがき

1.はじめに 
 2017年12月に「ナポリのピッツァイオーロの技巧(The art of the Neapolitan‘Pizzaiuolo’)」が国連ユネスコの世界無形文化遺産に指定されました。ナポリの名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)のエンツォ・コッチャさんは、今得意満面だと思います。なにしろコッチャさんがこの伝統技術を継承するために長年努力を重ねてきたピッツァが世界的に評価されたからです。その誇らしげな姿は、下記の報道でも見ることができます。
http://video.corrieredelmezzogiorno.corriere.it/pizza-patrimonio-unesco-gioia-quattro-maestri-pizzaioli/351181da-db2f-11e7-8dcd-4648f05c3fb1
 世界無形文化遺産指定のおかげで名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)のエンツォ・コッチャさんは、他の2~3人の有名ピッツァイオーロとともに、国営テレビや全国紙に引っ張りだこで、てんやわんやとなっているということです。
 またコッチャさんのお店はいつも満席なのですが、世界無形文化遺産に登録以来、お客様の中にはご迷惑をおかけするほど大盛況だということです。そのためクリスマスが明けるまでは、コッチャさんが技術伝統継承のために尽力しているピッツァ職人養成講座もなかなか対応がままならないというところだそうです。
 第34号はピッツァが世界無形文化遺産に指定されたことを記念して、ナポリ・ピッツァ特集としました。

*世界遺産は建築物など有形文化財を対象としているのに対して、無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)は、民族文化財、 フォークロア、口承伝統などの無形文化財を保護対象としたもの。国際連合ユネスコが保護活動を行っています。食文化に関してはこれまでフランスの美食術、地中海料理、和食など5種が登録されていました。ピッツァは食文化で6つ目の指定となります。


2. ピッツァが世界無形文化遺産
 2013年に「自然の尊重という日本人の精神を体現した食に関する社会的慣習」として日本の食文化である和食が国連ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのに引続き、2017年に食文化としては7番目となる指定を受けたのがナポリの「ピッツァイオーロの技巧(The art of the Neapolitan‘Pizzaiuolo’)」です。
 ナポリのピッツァイオーロ(ピッツァ職人)の技巧は、ピッツァ生地を準備して、へらで回転させながら薪釜で焼き上げるための4つの異なる料理の工程からなります。この技術は、カンパニア地方の首都ナポリから産み出されたもので、ナポリでは今でも約3000人のピッツァ職人がいると推定されています。
 ピッツァ職人は基本的に3つに分類されます。- 名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)、普通のピッツァ職人、そして普通のナポリ人が家庭で作るピッツァ焼きレベルです。この各種のピッツァ職人たちが、地域社会における世代間の交流を促進しする中で、ナポリ・ピッツァの食文化ささえています。
 ナポリに二つあるピッツァイオーロの協会は、毎年この伝統を継承するために、ピッツァの歴史、ピッツァ作りの器具、テクニックに重点を置いた研修を実施しています。またナポリでは、ピッツァ作りの技術ノウハウが協会から独立した専門のアカデミーによって技術認定されており、研修者はピッツァ作りの技巧をピッツァ作りの現場で学ぶことができます。
 協会から独立して運営されているアカデミーの一つが、ナポリのトップ名人ピッツァ職人で、ミシェランの星をピッツァで獲得したエンツォ・コッチャさんの運営するピッツァコンサルティングです。ここではイタリアだけでなく、日本を含めた世界各国からピッツァ職人志願者が大勢集まって来ており、ピッツァ職人の技巧を世界的なものにしています。
 しかし、この文化の基本は、ピッツァ職人の伝統的な徒弟制度の中にあります。ピッツァ作りの知識と技能は、職人の店で伝えられます。若い見習いは、長年にわたり職場のマスターを観察する中で、ピッツァ作りの主要なポイントとコツをつかんでいきます。そのためピッツァイオーロ協会の研修やアカデミーの技術伝承参加者は、短期間で基礎を覚えるだけですので、終了後もたゆまぬ研鑽が求められることになります。
 ナポリの街全体で育て、今なおおいしいピッツァを食べるために発展しつづけているピッツァ作り技術は、ピッツァイオーロと呼ばれるピッツァ職人によって維持・継承されています。ナポリを訪問される際には、是非、ピッツァイオーロのピッツァを味わってみてください。

ピッツァコンサルティングは→http://www.ivc-net.co.jp/cult/kaze/248.html


3.ナポリ・ピッツァの歴史
 ナポリのカプアーノ城で行われたボナ・スフォルツァとポーランドのジギスムント1世王との間の豪華な結婚披露宴を記述した1535年ごろの文書に、ピッツァという単語がに記載されています。しかしこの時点でのピッツァは、現在のような円盤状のものではなく質素なケーキまたはロールパンと考えられていたようです。
 1700年以前は、ピッツァは質素なケーキまたはロールパンのようなものと考えられていました。多くの専門家はトマトがピッツァの上に加えられ、現在の原型となった1700年頃が、ナポリピッツァの誕生の瞬間であると考えています。このようなことからナポリピッツァは18世紀に誕生したとの考え方が通常取られています。
 1889年6月11日(ナポリピッツァの歴史的な日)に、当時ナポリを支配していたサヴォイア家のマルゲリータ女王は、カポディモンテ城でピッツァ職人の ラファエロ・エスポージトにピッツァを作るよう求めました。そこで出されたのがトマトとモッツァレッラ・チーズでできたピッツァでした。
 サヴォイア家は、トリノがあるピエモンテ地方と南フランス、スイスにまたがる王家です。ナポリの人々に取って言わば外来のマルゲリータ女王が、ナポリの庶民の食べ物であったピッツァを3種類食べたことを知った人々は大変喜びました。そしてその時マルゲリータ女王が食べたモッツァレッラ・チーズによるピザを、ナポリ人の食物を食べたマルゲリータ女王を記念して、ピッツァ・マルゲリータと呼ぶようになりました。
 このとき以来、ナポリの庶民の食べ物であったピッツァが、世に知られるようになったと言われています。いまなおピッツァ・マルゲリータはナポリ・ピッツァを代表するアイコンとして、人々に親しまれています。

ピッツァの歴史は→http://www.ivc-net.co.jp/pizza/history.html
ピッツァ・マルゲリータは→http://www.ivc-net.co.jp/pizza/margherita.html


4. ナポリ・ピッツァを学んで楽しむ一日コース
 ナポリの名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)のエンツォ・コッチャさんのお店ピッツェリアLa Notiziaでは、ナポリ・ピッツァを食べるだけでなく、実際のピッツァ作りや熟練したピッツァ職人に直接触れていただき、代表的なピッツァを試食いただくとともに、ピッツァ作りにもチャレンジしていただく「ピッツァ・クラッシカ・ナポレターナの一日エノガストロノミーコース」を開設しました。コースの内容は次からなります。
・ 典型的ナポリピッツァに関する歴史と文化の概要レッスン
・ ピッツァづくりに関する理論と実践による説明
・ ピッツァ熟練職人による素手での生地作りのパフォーマンス
・ コース参加者による素手での生地作りの実践(二人一組)
・ 三種のピッツァ、ロールピッツァ、デザート用サルティンボッカの試食

試食メニュー:
・ 品質の保証されたD.O.P.食材のみを使って作られる本格的マルゲリータ
・ サンタ・ルチア(ヴェスヴィオ産プチトマト、イタリアンパセリ、オレガノ、チェターラ産イワシのアンチョビ、ガエタ産オリーブ) 
・ ローストキノコ載せホワイトピッツァ
・ 季節の野菜と水牛のプロヴォラチーズのロールピッツァ
・ 職人製ブラックチョコレートのデザート用サルティンボッカ(註:サルティンボッカとは、ピザ生地を長方形にして窯で焼いたものを半分に切って、中に具を挟んだもの)
・ 飲み物:ミネラルウオーター、ソフトドリンク、地ビールMenabrea、カンパ―ニア州ワイン(ピエディロッソ、グラニャーノ、ファランギーナ)からお好きなもの
・ リモンチェッロ:リモンチェッロ(Limoncello)とは、イタリアを起源とするレモンを用いたリキュールでナポリ近くのアマルフィーの特産品。

料金:一名あたりコース料金80ユーロ+税金22%。
・ 参加者数:最少6名最大20名。
・ 予約:30日前まで(必須)。
・ 外国人の希望者には通訳サービスも有り(料金別途)

詳しくは→http://www.ivc-net.co.jp/pizza/1day.html


5.あとがき 
 イタリアではローマにマクドナルドが開店するにあたって、伝統的な食文化を維持すべきではないかとの議論がおこり、スローフード運動が開始されました。食文化の議論は更に発展して、効率性と利益ばかり追求するのではなく、伝統的な食文化を維持するために必要な持続可能な環境社会を目指すべきであるという考え方につながりました。この結果イタリアで生まれたのがCitta Slow・スローシティ運動です。次回はイタリアのスローシティをご紹介します。


ご意見・お問合せ・旅行のご相談は→info@ivc-net.co.jp

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