野々村直通 一球懸命

≪日々点描≫ #172

≪日々点描≫ #172
“ヤクザ”監督の「日々是縁日」




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「相撲道」と教育
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 3月14日に大相撲春場所を大阪府立体育館で観戦した。
14名の仲間たちと升席(ますせき)にて堪能した。
升席は弁当あり、ツマミあり、酒ありで、4人では少し狭いが楽しく和気あいあいとした雰囲気で楽しめる。
日本の伝統的興行を色濃く残した桟敷(さじき)席である。

 私自身大相撲は5度目の観戦となるが、その度に力士の力強いパワーと見事に鍛え上げられた肉体には度肝を抜かれる。
現場に駆け付ける大相撲ファンはその勝負はもとより、この肉体に会いに来ているのだろうと思う。
今や力士の世界にしか残されてはいないだろう「回(まわ)し」「浴衣(ゆかた)」「丁髷(ちょんまげ)」姿の凛々(りり)しさ。
鬢付(びんつ)け油の独特な匂いが館内を覆う。

 「角力」とも書く相撲は日本古来からの伝統的格闘技でありプロの世界を「大相撲」と呼ぶ。
狭い円形の土俵の上で一瞬の勝負に賭ける。
しかも武器も持たず裸である。
日々の鍛錬で自らの精神と肉体を磨き上げた者のみが土俵に上がる資格をもつ。
これを『雅(みやび)』と呼ばずして何と呼ぶのだ。

 午後1時過ぎに館内に入り幕下の取り組みを観戦しながら昼食弁当を頂き酒を酌み交わす。
”打ち出し”の午後6時まで観戦したのだが楽しさで時間を忘れる程であった。
その後は道頓堀の寿し店で懇親会を催した。
幸せな時が流れていった。

 翌朝は松原市にある佐渡ヶ嶽部屋の朝稽古を見学した。
朝7時から若手が壮絶な稽古に取り組んでいた。
裸でぶつかり合うその激しさに我々は身震いしたが、これでも場所中なので軽いほうだと言う。
”相撲道”の修行の厳しさを肌で感じた。
9時過ぎに稽古は終了したのだが、その直後に予想もしなかった光景に出会う。
稽古場に全員整列して歌を合唱し始めたのだ。
「相撲錬成歌」というものである。

(一)いわおのごとき胸板に、鋼(はがね)の腕火(かいなほのお)散る、攻めと守りの十五尺 鍛える我等、鍛える我等 相撲道

(二)肌も凍(い)てつく、寒稽古 夏にはまわしに玉の汗、初心の大志一筋に 生きるは我等、生きるは我等 相撲道

(三)国技の伝統守りつつ、新たな技量をみがきつつ、土俵に飾る晴れ姿 輝く我等、輝く我等 相撲道

 皆で歌い終わると「部屋五訓」の斉唱である。

 一、「はい」と言う素直なこころ

 一、「すみません」と言う反省のこころ

 一、「おかげさまで」と言う謙虚なこころ

 一、「私がします」と言う奉仕のこころ

 一、「ありがとう」と言う感謝のこころ

 そして最後に力強く全員で唱えたのは次のことばである。

 一、我々は、力士の本文である礼儀を重んじます。

 二、我々は、先輩の教えを守り稽古に精進します。

 三、我々は、服装を正し身体を清潔に心がけます。

 四、我々は、暴力を排除し自覚ある行動を心がけます。

 そして稽古は終了した。
見事な”締め”の行事に朝稽古の見学に訪れている人たちから思わず拍手が起こった。
「相撲道」を通じて教育が為されている。

 関取ににまで登りつめる人は一握りと聞く。
しかし、この体験をした若者は確実に立派な社会人となるのだろう。

 誰かが思わず言葉を発した。
「今の若者をここへ連れて来て見せてやりたい」
この言葉に嘘はないと思う。
ここには紛(まが)いもない教育が存在していた。

 私は胸が締め付けられた。





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