バートランド・ラッセルの言葉366

再配信 ラッセル『宗教と科学』第9章 科学と倫理学 n.1

カテゴリー: 2019年02月08日
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「(ほぼ日刊)バートランド・ラッセルの言葉366」 
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 再配信 ラッセル『宗教と科学』第9章 科学と倫理学 n.1
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 ◆お気づきと思いますが、ミスタイプがありましたので、念の為再配信
  しておきます。
  × 非非キリスト教徒 → ◯ 非キリスト教徒
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 直前の二つの章で見たように,科学は不充分であることを主張する人々は,
科学は「価値」については述べるべき何をも持たない(価値については何も主
張できない)という事実に訴える。このことを私は認める。しかし,倫理学は
科学によっては証明も反証(反駁)もできない真理を含んでいると推論するな
ら私は同意しない(その意見には反対する)。この問題は,明晰に考えること
はまったく容易だということはなく,それに関する私自身の見解は,30年前の
私の見解とは全く異なっている(訳注:本書 Religon and Science が出版さ
れたのは1935年)。しかし,もし我々が宇宙の目的(の存在)を支持する議論
(論拠/論証のようなもの)を評価(値踏み)しなければならないのなら,そのこ
と(訳注:倫理学は科学によっては証明も反証もできない真理を含んでいるか
どうか)を明らかにしておく必要がある。倫理学についてはコンセンサス(意
見の一致)がないので,以下に述べることは私の個人的な信念であり,科学の
言明(公式見解)(the dictum of science)ではないことを理解されなければな
らない(理解していただく必要がある)。

 倫理学の研究は,伝統的に言って,2つの部分から成っている。即ち,ひと
つは道徳律に関すること),もうひとつは,それ自体(自身)で善なるものに
関すること(訳注:他に理由がなくても善なるものに関すること)である。行
為の規則(行動規範)はその多くが儀式に起源を持っており,未開人や原始人
の生活においては大きな役割を果している。族長の皿から(皿にあるものを)
食べることや,仔山羊(子ヤギ)を母ヤギの母乳で煮ることは禁じられている。
(また,)神々に生贄(いけにえ)を捧げるように命ぜられるが,それも,一定
の成長段階においては,生贄は人間であれば最も神々に喜ばれるものだと考え
られる。殺人や窃盗の禁止のようなその他の道徳律は,もっと明白な社会的効
用をもっており,それら(の禁止規則)は,当初結びついていた原始的な神学
体系が衰退した後も生き残る(生き残っている)。しかし,人々が内省的にな
るにつれ,規則にはより重きを置かなくなり,心理状態(人間の気持ち)によ
り重きを置くようになる傾向がある。これは2つの源 - 即ち,哲学と神秘的
宗教- に由来する。我々は全て,(キリスト教の)予言者や福音書の章句に
通じているが(親しんでいるが),それらの中では,心の清さが,小心な(神
の)法の遵守(meticulous observance of the Law)よりも上に置かれている
(尊重されている)。そうして,聖パウロの有名な慈悲や愛の讃美は,同じ原
則を教えている。同様なことが,キリスト教徒であれ、非キリスト教徒であ
れ、全ての偉大な神秘主義者の中に見出される。彼らが価値を置くのは心の状
態であり,そこから,彼らが主張したように,正しい行為が(結果として)出
てこなければならない(注:邪な心から行為してはならない,ということ)。
彼らにとって,規則は外的なものであり,環境に充分適応することができない
と思われる(のである)。

Chapter 9: Science and Ethics, n.1

Those who maintain the insufficiency of science, as we have seen in 
the last two chapters, appeal to the fact that science has nothing to 
say about "values." This I admit ; but when it is inferred that ethics
 contains truths which cannot be proved or disproved by science, 
I disagree. The matter is one on which it is not altogether easy to 
think clearly, and my own views on it are quite different from what 
they were thirty years ago. But it is necessary to be clear about it 
if we are to appraise such arguments as those in support of Cosmic 
Purpose. As there is no consensus of opinion about ethics, it must be
 understood that what follows is my personal belief, not the dictum of
 science. 

The study of ethics, traditionally, consists of two parts, one 
concerned with moral rules, the other with what is good on its own 
account. Rules of conduct, many of which have a ritual origin, play a
 great part in the lives of savages and primitive peoples. It is 
forbidden to eat out of the chief's dish, or to seethe the kid in its
 mother's milk ; it is commanded to offer sacrifices to the gods, 
which, at a certain stage of development, are thought most acceptable
 if they are human beings. Other moral rules, such as the prohibition 
of murder and theft, have a more obvious social utility, and survive 
the decay of the primitive theological systems with which they were
 originally associated. But as men grow more reflective there is a 
tendency to lay less stress on rules and more on states of mind. This
 comes from two sources - philosophy and mystical religion. We are all
 familiar with passages in the prophets and the gospels, in which 
purity of heart is set above meticulous observance of the Law ; and 
St. Paul's famous praise of charity, or love, teaches the same 
principle. The same thing will be found in all great mystics, 
Christian and non-Christian : what they value is a state of mind, out
 of which, as they hold, right conduct must ensue ; rules seem to them
 external, and insufficiently adaptable to circumstances. 
 出典: Power, 1935, chapt. 8: Cosmic Purpose
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_09-010.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2019/02/15 部数:  70部

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