バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第8章 宇宙の目的 n.5

カテゴリー: 2019年01月10日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第8章 宇宙の目的 n.5
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 宇宙の目的説に関する汎神論的及び発現的形態は,このような反対(宇宙の目的に
関する有神論的形態に対するような反対)にさらされる度合は少ない。

 汎神論的進化は,関係している(involved 関連する)汎神論の個々の種類に応じて
多様性(varieties 細かい品種)を持っている。我々がこれから考察しようとしている
ホールデン教授(注:J. B. S. Haldane, 1892-1964:イギリスの生物学者で生命の起
源に関する科学的理論の最初の提唱者)の汎神論はヘーゲル(1770年-1831)とつながり
があり,そうしてヘーゲリアン(ヘーゲル主義者)の全てと同様に(like everything
 Hegelian),理解するのがけっこう大変である(not very easy to understand と
ても理解し易いものではない)。しかし,ヘーゲルの観点は過去百年以上にわたり相
当な影響をもってきたものであるので吟味する必要がある。(訳注:荒地出版社刊の
津田訳では「しかし,この立場は過去数百年以上にわたり相当な影響をもってきたも
のであるから,それを験証する必要がある。」と訳出されている。「この立場」はど
の立場か曖昧に訳されている。また「the past hundred years and more」を「過去
数百年以上」と訳している。しかし,「過去数百年」なら「The past few hundred 
years」となっているはずであり,また、ここではヘーゲルの影響のことを言ってい
ると理解すれば「過去百年(以上)と解釈すべきであろう。「この立場」というよう
に曖昧に理解して訳すとこのように意味不明となってしまう) さらに,ホールデン
教授は多くの専門分野における研究で著名であり,彼は詳細な調査によって -特に
生理学における詳細な調査によって- 自分の一般哲学(general philosophy)を例
示してきており,生理学における詳細な調査は生物に関する科学には化学や物理学の
法則以外の法則が必要であることを示しているように,彼には思われた。この事実は
彼の一般的見解に重みを加えている(増している)。

 この哲学によると厳密に言うと「死んだ」物質というようなものは存在しないし,
また,意識という性質を少しももたない生き物(living matter without something 
of the nature of consciousness)も存在しない。そうして,さらに一歩進めると,
ある程度神的でない意識は存在しない。ホールデン教授は言及していないけれども,
現象(仮象)と実在との区別 -それについては前章で手短に考察している- は,彼
の見解の中に含まれている。しかし,今日では,この区別は,ヘーゲルにおけるよう
に,種類の別というよりは程度の別になっている。(訳注:唯物論的弁証法の3原則
の中の1番目「量から質への転化、ないしその逆の転化」に模した言い方) 死んだ
物質は最も実在性が少なく,生きた物質は(死んだ物質より)少しだけより実在性が
あり,人間の意識はさらに実体性が増す。しかし,唯一完全な実在は神,即ち神性を
抱いた宇宙である。ヘーゲルはこれらの命題について論理的証明を与えうると明言し
ている。しかし,それには一冊の書物を必要とするであろうことから,ここでは取上
げないことにしよう。けれども,彼のBBC談話からいくつか引用して,ホールデン
教授の見解を例示してみよう。

Chapter 8:Cosmic Purpose , n.5

To this objection the pantheistic and emergent forms of the doctrine of 
Cosmic Purpose are less exposed. 

Pantheistic evolution has varieties according to the particular brand of 
pantheism involved ; that of Professor J. S. Haldane, which we are now to 
consider, is connected with Hegel, and, like everything Hegelian, is not 
very easy to understand. But the point of view is one which has had 
considerable influence throughout the past hundred years and more, so that
 it is necessary to examine it. Moreover, Professor Haldane is distinguished
 for his work in various special fields, and he has exemplified his general
 philosophy by detailed investigations, particularly in physiology, which 
appeared to him to demonstrate that the science of living bodies has need of
 other laws besides those of chemistry and physics. This fact adds weight to
 his general outlook. 

According to this philosophy, there is not, strictly speaking, any such 
thing as “ dead ” matter, nor is there any living matter without something
 of the nature of consciousness ; and, to go one step further, there is no 
consciousness which is not in some degree divine. The distinction between 
appearance and reality, which we considered briefly in the previous chapter,
 is involved in Professor Haldane’s views, although he does not mention it
 ; but now, as with Hegel, it has become a distinction of degree rather than
 of kind. Dead matter is least real, living matter a little more so, human
 consciousness still more, but the only complete reality is God, i.e., the 
Universe conceived as divine. Hegel professes to give logical proofs of 
these propositions, but we will pass these by, as they would require a 
volume. We will, however, illustrate Professor Plaldane’s views by some 
quotations from his B.B.C. talk
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 8: Cosmic Purpose
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_08-050.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2019/02/20 部数:  70部

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