バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.13

カテゴリー: 2018年12月07日
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 ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.13
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 第6章 決定論 n.13

 心理学と生理学は,自由意志の問題に関する限り,自由意志(の存在)を否定する
(make improbable ありそうもないものとする)傾向にある。内分泌に関する研究
(work on internal secretions),脳のいろいろな部分の働きに関する知識の増加,
条件反射に関するパブロフの調査研究,抑圧された記憶や欲求の及ぼす影響に関する
精神分析的研究は,全て精神現象を支配する因果律(因果法則)の発見に寄与した。
もちろん,これらのいずれも自由意志の(存在の)可能性を論駁(否定)しなかった
が,たとえ(はっきりした)原因のない意志(uncaused volitions → 自由意志)が
生じるとしても(if = even if),それらの研究は,原因のない意志(=自由意志の
存在)は非常に稀である確率を高いものとした。

 自由意志に属すると想定されている情緒的重要性は,主としてある種の思考の混乱
に基づいているように思われる。人々は,もし意志に原因があるなら,自分たちがし
たいとは思わないことをするように強いられるかも知れないと想像する。もちろん,
これは誤り(勘違い)である。願望自体にたとえ原因があるとしても,願望は行為の
原因である。我々はしたくないことをすることはできないが,そのような制約(があ
ること)に文句を言うことは不合理だと思われる。我々の顧望が妨げられる時は不愉
快であるが,願望が妨げられることは,願望に原因がない時よりも原因があるときの
方がより起りそうである(可能性がある)ということはない。また,決定論は,我々
は無力であるという感情を(必ず)起させることはない。権力の本質は意図した結果
を得ることができるということにあり,それは,我々の意図の原因が発見されること
により増加したり減少したりしない。

Chapter 6 Determinism, n.13

Psychology and physiology, in so far as they bear upon the question of free 
will, tend to make it improbable. Work on internal secretions, increased 
knowledge of the functions of different parts of the brain, Pavlov's 
investigation of conditioned reflexes, and the psycho-analytic study of the
 effects of repressed memories and desires, have all contributed to the 
discovery of causal laws governing mental phenomena. None of them, of 
course, have disproved the possibility of free will, but they have made it
 highly probable that, if uncaused volitions do ever occur, they are very 
rare. 

The emotional importance supposed to belong to free will seems to me to rest
 mainly upon certain confusions of thought. People imagine that, if the will
 has causes, they may be compelled to do things that they do not wish to do.
This, of course, is a mistake ; the wish is the cause of action, even if the
 wish itself has causes. We cannot do what we would rather not do, but it 
seems unreasonable to complain of this limitation. It is unpleasant when our
wishes are thwarted, but this is no more likely to happen if they are caused
 than if they are uncaused. Nor does determinism warrant the feeling that we
are impotent. Power consists in being able to have intended effects, and 
this is neither increased nor diminished by the discovery of causes of our 
intentions. 
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 6: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-130.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/10 部数:  71部

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