バートランド・ラッセルの言葉366

再配信 ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.8

カテゴリー: 2018年11月30日
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 再配信 ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.8
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 ◆タイプミスがありましたので、再配信します。◆
  ×1939年には約8602万人→◯1939年には約860万人
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 第6章 決定論 n.8

 決定論者にとって不運なことに,原子の気まぐれ(不確定性)に関する現代の理論
にはさらなる一歩前進があった。我々は,物体(bodies)が常にその動きを完全に決
定する法則に従って運動することを証明する傾向のある,大量の証拠を一般物理学
(注:ordinary physics:量子力学や相対性理論のような現代物理学ではない,従来
の古典物理学のことか)は持っていた-あるいは持っていると考えていた。今日では
,これらの法則はみな単に統計的なものにすぎないだろうと思われている。原子は一
定の比率で(多くの)可能性の中で選択を行う。そうして原子はとても膨大な数があり
,(選択の)結果は -旧来の方法で充分観察されるほど十分に大きな物体に関しては
-,完全な規則性を持つという外見(様子)をしている(注:have the appearance 
of 様子をする/外見を持つ)。(たとえば)あなたは,個々人を見ることができない
ほどの巨人であり,百万人の個人の集団でないと気づかないと想定してみよう。する
と,あなたは,(数百万の人口を持つ)ロンドン(注:ロンドンは当時世界最大の都市
であり,1901年には約650万,1939年には約860万人までに増加した。)は夜間より
も昼間により多くの物体(物体/もの)を含むという程度のことに気付くことはでき
るだろうが,しかし,多分,ある日ディクソン氏は具合が悪くなって床に伏したため
に彼はいつもの汽車には乗らなかったという事実にはあなたは気付かないだろう。
従って,あなたは,朝ロンドンに流れ込み,夕方そこから出てゆく物体(物質)の運
動を,実際以上(than it is)に規則的な出来事(affair)であると信ずるだろう。
あなたは疑いもなく(ロンドンの)霧深い気候の中では運動が遅滞するという観察に
よって確証される仮説を,太陽の中にあるある特殊な力に帰するだろう。もし,後に
あなたが個々の人間を観察できるようになった時には,あなたが(以前)考えていた
ほどの規則性はないことを発見するだろう。(たとえば)ある日にはディクソソ氏が
病気になり,別の日にはシンプソン氏が病気になる。(だれが病気になろうと)統計
的な平均は影響されない(注:病気になる確率は変わらない)。大規模な観察の場合
は違いはない(差は生じない)。あなたが以前に観察した全ての規則性はデイクソン
氏やシンプソン氏が朝ロンドンへたまたま行かなかったことに気まぐれ以上の何かの
理由(注:病気だった)があったと想定しなくても,統計学の大数の法則(laws of 
large numbers)によって説明されることが分るだろう。これがまさに物理
学が原子に関して(現在)到達している状況である。物理学は原子の行動(運動)を完
全に決定するいかなる法則も知らない。そうして物理学が発見した統計学的法則は大
きな物体の運動において観察された規則性に対する説明としてはそれで十分である。
そうして,決定論を是とする主張はこれらの大きな物体の運動に依拠していたもので
あったので,その論拠は破たんしたように思われる。

Chapter 6 Determinism, n.8

Unfortunately for the determinists, there is a further step in the modern 
doctrine of atomic caprice. We had - or so we thought - a great mass of 
evidence from ordinary physics, tending to prove that bodies always move in
 accordance with laws which completely determine what they will do. It now 
appears that all these laws may be merely statistical. The atoms choose 
among possibilities in certain proportions, and they are so numerous that
 the result, as regards bodies large enough to be observed by old-fashioned
 methods, has an appearance of complete regularity. Suppose you were a giant
 who could not see individual men, and never became aware of an aggregate of
 less than a million of them. You would just be able to notice that London 
contains more matter by day than by night, but you could not possibly be
aware of the fact that, on a given day, Mr. Dixon was ill in bed and did not
 take his usual train. You would therefore believe the movement of matter 
into London in the morning and out of it in the evening to be a much more 
regular affair than it is. You would no doubt attribute it to some peculiar
 force in the sun, a hypothesis which would be confirmed by the observation
 that the movement is retarded in foggy weather. If, later, you became able
to observe individual men, you would find that there is less regularity than
 you had supposed. One day Mr. Dixon is ill, and another, Mr. Simpson ; the 
statistical average is not affected, and to large-scale observation there is
 no difference. You would find that all the regularity you had previously 
observed could be accounted for by the statistical law of large numbers, 
without supposing that Mr. Dixon and Mr. Simpson had any reason beyond 
caprice for their occasional failure to go to London in the morning. This is
 exactly the situation at which physics has arrived in regard to atoms. 
It does not know of any laws completely determining their behaviour, and the
 statistical laws which it has discovered are sufficient to account for the
 observed regularity in the motions of large bodies ; and as the case for 
determinism has rested on these, it seems to have broken down.
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 6: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-080.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/12 部数:  71部

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