バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.6

カテゴリー: 2018年11月28日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.6
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 第6章 決定論 n.6

 それゆえ,陳述(statement)がいくらか複雑ではないかと恐れるが,今や我々は,
決定論の仮説を述べることが出来る。その仮説は以下のとおりである。

「十分な(しかし超人的でない)計算能力が与えられさえすれば,ある一定の領域内
で起こっている全てのことを知っている人間が,その領域の境界からその領域の中心
まで光が進むのに要する時間(内)に起るであろうことを予言できるような,発見可
能な因果律(因果法則)が存在する。」

 私がこの原理(説)を真理であると主張しているのではないことははっきり理解し
ていただきたい。私はただ,もし「決定論」を是(正しい)とするあるいは非(間違
っている)とする証拠が何か存在しなければならないとするならば,この原理こそ
「決定論」という言葉が意味すべきことであると主張しているだけである。私はこの
原理が真理であるかどうか知らない。また私以外の誰も知っていない。それは,これ
は科学が自らの前に抱くひとつの理想とみなされるかも知れないが,しかし,何らか
の「先験的な(a priori)」根拠にのとってということでなければ,確実に真理とも
虚偽とも見なすことはできない。もしかすると,我々が決定論を肯定あるいは否定す
る議論(論拠)を吟味すると,人々が心に抱いていたものは,我々が到達した原理
(注:上述)よりもどちらかというと明確でないものであったということを発見する
(気づく)かも知れない。

 史上初めて,決定論は,今日,科学者から科学的根拠に基づく挑戦を受けている。そ
の挑戦は,量子力学の新しい方法による原子の研究を通して成し遂げられてきている
(has come through)。この攻撃の指導者は(これまで)アーサー・エディントン卿
であり,最良の物理学者たちの何人か(例えばアインシュタイン)は,この問題に関
する彼の見解に同意していないが,彼の議論(論拠)は強力であり,我々はそれをで
きるだけ専門技術的な言葉を使わずに(without technicalities)吟味しなければな
らない。

Chapter 6 Determinism, n.6

We can therefore now state the hypothesis of determinism, though I am afraid
 the statement is rather complicated. The hypothesis is as follows ; 

There are discoverable causal laws such that, given sufficient (but not 
superhuman) powers of calculation, a man who knows all that is happening 
within a certain sphere at a certain time can predict all that will happen 
at the centre of the sphere during the time that it takes light to travel 
from the circumference of the sphere to the centre. 

I want it to be clearly understood that I am not asserting this principle to
be true ; I am only asserting that it is what must be meant by "determinism"
 if there is to be any evidence either for or against it. I do not know 
whether the principle is true, and no more does anybody else. It may be 
regarded as an ideal which science has held before itself, but it cannot be
 regarded, unless on some a priori ground, as either certainly true or 
certainly false. Perhaps, when we come to examine the arguments that have
 been used for and against determinism, we shall find that what people have
 had in mind was something rather less definite than the principle at which
 we have arrived. 

For the first time in history, determinism is now being challenged by men of
 science on scientific grounds. The challenge has come through the study of
 the atom by the new methods of quantum mechanics. The leader of the attack
 has been Sir Arthur Eddington, and although some of the best physicists
 (e.g. Einstein) do not agree with his views on this matter, his argument is
 a powerful one, and we must examine it as far as is possible without 
technicalities.
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 6: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-060.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/12 部数:  71部

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