バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.3

カテゴリー: 2018年11月22日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第6章 決定論 n.3
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 第6章 決定論 n.3

 因果律そのものの中には,過去によって未来が完全に規定されるということは必ず
しも含まれていない(involve 伴う,中に含む)。白人の息子は両親同様に色が白いと
いうのは一つの因果法則であるが,これだけが既知の法則であるとすれば,白人の両
親を持つ息子について,我々は多くのことを予言することはできない。一般理論(一
般原理)としての決定論は,もし我々が過去(の事実)と因果律(因果法則)につい
て十分知っていれば,過去によって未来を決定づけることは理論的には常に可能であ
ると主張する。何らかの現象を観察している研究者は -この原理によれば- その現
象(の生起)を不可避にしている(その現象発生)以前の状況や因果律を見つけ出す
ことが可能である。そうして,その法則(因果律)を発見してしまえば,彼が同様の
状況を観察すれば,同様の現象が起こるであろうことを推論できるはずである。

 この理論(原理)を正確に(precisely 厳密に)述べることは不可能でないにして
も困難である。我々がそうしようとする時,自分(たち)はしかじかのことが「理論
的に」可能であると主張しているということに気付くが,「理論的には」とは何を意
味しているのか誰もわからない。未来を決定する法則が「存在する」と主張すること
は,我々はその法則を発見しうるかもしれないということを付言するのでなければ役
に立たない(注:たとえそのような法則が存在するとして,我々人間がその法則を発
見できなければ意味がない)。未来はそうなるであろうところのものになるであろう
ことは明らかであり,そう意味では(未来は)既に決定されている。正統信仰の人々
が信じているような全知なる神は,現時点において,未来の成り行きを知っていなけ
ればならない(注:知っていると言わなければならない=それが「全知」の定義だか
ら)。従って,もし全知なる神が存在するなら,現在の事実 -すなわち,神の予知
- から,未来は推論することが可能であろう。けれども,このことは科学的に検証
できることの範囲を超えている。もし,決定論(という原理/理論)が,証拠によって
,可能性があるすることできたりあるいは可能性がないとすることができたりする何
らかのものごとを主張するものだとしたら,それは我々人間の能力との関係において
述べられなければならない。そうでないしたら,我々は(J. ミルトンの9「失楽園」
における悪魔たちと運命を共にする危険を冒すことになる。その悪魔たちは,次のよ
うに言っている(嘆いている)。

高邁な思想と議論にふける
神慮,先見,意思(意志),運命について
不動なる運命, 自由意思, 絶対の先見
そうして結論に至らず迷路に彷徨い行き暮れる。

Chapter 6 Determinism, n.3

Causal laws, in themselves, do not necessarily involve a complete 
determination of the future by the past. It is a causal law that the sons
 of white people are also white, but if this were the only law of heredity 
known, we should not be able to predict much about the sons of white 
parents. Determinism as a general doctrine asserts that complete 
determination of the future by the past is always possible, theoretically,
 if we know enough about the past and about causal laws. The investigator,
 observing some phenomenon, should, according to this principle, be able to
 find previous circumstances, and causal laws, which together made the
 phenomenon inevitable. And, having discovered the laws, he should be able,
 when he observes similar circumstances, to infer that a similar phenomenon
 is going to occur. 

It is difficult, if not impossible, to state this doctrine precisely. When
 we try to do so, we find ourselves asserting that this or that is 
"theoretically" possible, and no one knows wha "theoretically" means. It is
of no use to assert that "there are" laws which determine the future, unless
 we add that we may hope to find them out. The future obviously will be what
 it will be, and in that sense is already determined : an omniscient God, 
such as the orthodox believe in, must now know the whole course of the 
future ; there is therefore, if an ommiscient God exists, a present fact -
 namely, His foreknowledge - from which the future could be inferred. This,
 however, lies outside what can be scientifically tested. If the doctrine of
determinism is to assert anything that can be made probable or improbable by
 evidence, it must be stated in relation to our human powers. Otherwise we 
run a risk of sharing the fate of the devils in "Paradise Lost," who

reason'd high
Of Providence, Foreknowledge, Will, and Fate, 
Fixt Fate, free will, foreknowledge absolute. 
And found no end, in wandring mazes lost. 
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 6: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-030.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/10 部数:  71部

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