バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第5章 魂と肉体 n.15


カテゴリー: 2018年11月02日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第5章 魂と肉体 n.15
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 第5章 魂と肉体 n.15

 その対象(物)が主な原因であるような何かが我々(の身体/感覚器官)に起こり、
そうして,その対象に対して我々が推論することを許すような性質を持っているよう
な何かが我々(の身体/感覚器官)に対して起こる時,おおざっぱな意味で(in a 
loose sense),我々はその対象を「知覚」すると言うことが出来る。ある人物が話
しているのを聞く時,我々の聞くことの内にある相違(点)はその人物の話している
ことの内にある相通(点)に対応している。(対象とその人物との間に)介在する媒
体の影響はおおざっぱに言って定常的であり,従ってほとんど(more or less)無視
してもよいだろう(注:Those chairs are more or less the same. それらの椅子
はほぼ同じ)。同様に,我々が赤い斑点と青い斑点が隣り合っているのを見る時,そ
の赤い光と青い光がやってくるそれぞれの場所(注:2つの光の発生源)の間にある
相違は -両者の相違は赤の感覚と青の感覚との間にある相違と類似していると想定
することはできないけれども- 赤い光がくる場所と青い光がくる場所との間に何ら
かの相違があることを想定する権利を持っている。このように,我々は「知覚」概念
を救う試みをしてもよいかも知れないが,その試みに正確さを与えることに決して成
功しないだろう。両者の間にある媒体は常にある種の歪みをしょうじさせる影響力を
有している。(即ち)赤い場所は中間にある霧(やもや)のために赤く見えているの
かも知れないし,また(あるいは)青い場所は我々が色眼鏡(サングラス)をつけて
いるため青く見えるのかも知れない(注:荒地出版社刊の津田訳では「coloured 
glasses」を「色ガラス」と訳出。やれやれ)。我々が通常「知覚」と呼んでいる種
類の経験から(当該)対象に関して推論をするためには,我々は物理学や感動器官の
生理学について知らなければならなず,また我々と対象との間の空間に何があるかに
ついても徹底的に(網羅的に)知らなければならない。このような知識(情報)が全
て与えられ,また,外界(外的世界)の実在が仮定(想定)されるなら,「知覚され
る」対象についてある種の高度に抽象的な知識(情報)を引き出すことが出来る。し
かし,「知覚」という言葉の中に含まれているあらゆる直接性(immediacy)や温か
さは,難しい数学的公式による推論過程のなかで消滅してしまっているであろう。
太陽のように遠く隔った(ところにある)対象の場合には,このことを理解するのは
困難ではない。しかし,我々が触れ,匂いを嗅ぎ,味わうもの(注:身近なもの)に
関しても,同様に真理である。なぜなら,そのようなものの「知覚」も,神経を通っ
て脳に達する複雑な(elaborate 入り組んだ)過程によるものだからである。

Chapter 5: Soul and body, n.15

We can say, in a loose sense, that we "perceive" an object when something 
happens to us of which that object is the main cause, and which is of such a
 nature as to allow us to make inferences as to the object. When we hear a 
person speaking, the differences in what we hear correspond to differences 
in what he says ; the effect of the intervening medium is roughly constant,
 and may therefore be more or less ignored. Similarly, when we see a patch 
of red and a patch of blue side by side, we have a right to assume some 
difference between the places from which the red and blue light come, though
 this difference cannot be supposed to resemble the difference between the
 sensation of red and the sensation of blue. In this way we may attempt to
 save the concept of "perception," but we shall never succeed in giving it
 accuracy. The intervening medium always has some distorting effect : the 
red place may look red because of intervening mist, or the blue place blue
 because we are wearing coloured glasses. To make inferences as to the 
object from the sort of experience which we naturally call a "perception,"
 we must know physics and the physiology of the sense-organs, and we must 
have exhaustive information about what is in the intervening space between
 us and the object. Given all this information, and assuming the reality of
 the external world, we can derive some highly abstract information as to 
the object "perceived." But all the warmth and immediacy that are implicit
 in the word "perception" will have vanished in this process of inference by
 means of difficult mathematical formula. In the case of distant objects, 
like the sun, this is not difficult to see. But it is equally true of what
 we touch and smell and. taste, since our "perception" of such things is due
 to elaborate processes which travel along the nerves to the brain.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 5: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-150.HTM

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