バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第5章 魂と肉体 n.9


カテゴリー: 2018年10月25日
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 ラッセル『宗教と科学』第5章 魂と肉体 n.9
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 第5章 魂と肉体 n.9

 哲学がこのような中途半端な場所(a half-way house)に留まっていることは不可能
だった。カントの学説の懐疑的な部分のほうが,正統説を救おうと試みた部分よりも,
より永続的な価値を持っていることが証明された。まもなく,その不可知性が強調さ
れた旧い「実体」(の概念)にすぎない物自体の存在を想定(仮定)すべき必要のない
ことがわかった。カントの理論において、観察可能な「現象」は単なる見かけ(上の
もの)であり,それらの現象の背後にある実在は,もし倫理の要請(← the postulates
 of ethics 倫理の公理/仮定/前提/必要条件)がなければ,単に存在(実在)するとい
うことだけ(only the bare existence)が知られるようなあるもの(何らかのもの)
である(注:逆に,倫理的な問題については,その倫理の中身がわからないといけな
いという要請が出てくる,ということ)。カントの後継者たちにとって - カント
が示唆した考え方がヘーゲルにおいて頂点に達した後 ー 「現象」は我々が知りうる
いかなる実在をも(全て)持ち、知覚されえないもの(知覚できないもの)に属する上
級の品質の実在(a superior brand of reality)を想定する必要はないことが明ら
かになった。もちろん、そのような上級の品質の実在が「あるかも」知れないが、
「存在しなけらばならない」ということを証明する論拠は薄弱である。従って、その
可能性は、現在知らている,あるいは,今後知られるかも知れないことの領域外にある
ことから,無視されるべき無数の単なる可能性の一つにすぎない。そうして、知られ
うることの領域内には、実体の概念あるいは主観や客観という実体の概念の修正版を
いれる余地はまったくない。我々が観察しうる主要な事実はそのような二元論を持っ
ておらず,また,「事物」あるいは「人物」を,現象の集合以外のものとみなす理由を
まったく与えない(のである)。

Chapter 5: Soul and body, n.9

It was impossible for philosophy to rest long in such a half-way house, and 
the sceptical parts of Kant's doctrine proved of more lasting value than 
those in which he tried to rescue orthodoxy. It was soon seen that there was
 no need to assume the existence of the thing-in-itself, which was merely 
the old "substance" with its unknowability emphasized. In Kant's theory, "
phenomena," which can be observed, are only apparent, and the reality behind
them is something of which we should know only the bare existence if it were
 not for the postulates of ethics. To his successors - after the line of 
thought which he suggested had reached a culmination in Hegel - it became 
evident that "phenomena" have whatever reality we can know of, and that 
there is no need to assume a superior brand of reality belonging to what 
cannot be perceived. There may, of course, be such a superior brand of 
reality, but the arguments proving that there must be are invalid, and the
possibility, therefore, is merely one of those countless bare possibilities
 which should be ignored because they lie outside the realm of what is known
 or may be known hereafter. And within the realm of what can be known there 
is no room for the conception of substance, or for its modification in the
 form of subject and object. The primary facts which we can observe have no
 such dualism, and give no reason for regarding either "things" or "person"
 as anything but collections of phenomena.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 5: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-090.HTM

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