バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第5章 魂と肉体 n.8

カテゴリー: 2018年10月24日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第5章 魂と肉体 n.8
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 第5章 魂と肉体 n.8

 ヒユーム(の問い)に答えようと企図したカントは,その難解さ(不明瞭さ)ゆえ
に深遠と思われた一つの方法を見つけ出した,と考えた(注:profound 深遠:簡単
には理解できないことからカントは自分の考えは深い=深遠だと考えたということ。
因みに荒地出版社の津田訳では「深刻」と訳している。何が深刻?)。彼が言うには
,感覚(器官)に(おいて)物(もの/事物)は我々に作用するが(act upon 影響を
与える),我々(人間)はその本性上,必然的に物それ自体(the things as they 
are in themselves)ではなく,我々(人間)が多くの(多様な)主観的な附加物を加
えた結果生ずる何か別のものを知覚するように強いられる。これらの主観的附加物の
なかで最も注目に値するのは,時間と空間である。カントによれば,我々の本性は事
物があたかも時間や空間の中に存在しているかのように見る(見える)ように強いる
が(余儀なくするが),事物そのものは,時間や空間の中に存在はしていない。物自体
としての自我(あるいは魂)も,観察可能な現象としてはその両者(時間と空間)の
中に存在しているように思われるが,実際はそうではない。我々が知覚において観察
できるのは,現象としての自我の現象としての対象に対する関係であるが,その両者
の背後には真の「自我」と真の「物自体」が存在し,そのどちらも(ever 決して)
観察することはできない。
では,なぜそれら(両者/真の自我と真の物自体)は存在する(実在する)と想定
(仮定)するのか? なぜならそう想定(仮定)することが宗教と道徳のために必要
だからである。人間は,科学的な手段によっては真の自我について何も知ることはで
きないがそれが自由意志をもつこと,有徳でありうることあるいは罪深くありうるこ
と,(時間の中においてではないが)不死であること,この世において善人が明らか
に不公平な苦しみを受けていることは天国(あの世)での歓喜によって償われなけれ
ばならないこと(など)を我々は知っている(とカントは言う)。
 このような理由(根拠)で,カントは -彼は「純粋」理性は神の存在(実在)を
証明することはできないと考えていた- その証明(神の存在証明)は「実践」理性
にとっては -神の存在は我々が道徳の領域において直覚的に知ることからの必然的
結果であることから(a necessary consequence 必然的結果)- 可能であると考え
た。

Chapter 5: Soul and body, n.8

Kant, who undertook to answer Hume, thought he had found a way out, which 
was considered profound because of its obscurity. In sensation, he said, 
things act upon us, but our nature compels us to perceive, not the things as
 they are in themselves, but something else, which results from our having 
made various subjective additions. The most notable of these additions are 
time and space. Things-in-themselves, according to Kant, are not in time or
 in space, though our nature obliges us to see things as if they were. 
The Ego (or Soul), as a thing-in-itself, is also not in time or space, 
though as an observable phenomenon it appears to be in both. What we can 
observe in perception is a relation of a phenomenal Self to a phenomenal 
Object, but behind both there is a real Self and a Real thing-in-itself, 
neither of which can ever be observed. 
Why, then, assume that they exist? Because this is necessary for religion 
and morals. Although we cannot, by scientific means, know anything about 
the real Self, we know that it has free will, that it can be virtuous or 
sinful, that (though not in time) it is immortal, and that the apparent 
injustice of the sufferings of the good here on earth must be redressed by
 the joys of heaven. 
On such grounds Kant, who held that "pure" reason cannot prove the existence
 of God, thought that this was possible for the "practical" reason, since it
 was a necessary consequence of what we intuitively know in the sphere of 
morals.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 5: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-080.HTM

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