バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.20

カテゴリー: 2018年10月11日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.20
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 第4章 悪魔研究と医学 n.20

 医学上の問題に対する神学の介入はまだ終っていない。(即ち,)産児制限のよう
な問題に関する意見や一定の場合における流産の法的許可は,今日でも聖書の章句や
(キリスト)教会の布告(ecclesiastical decrees)に影響されている。例えば,数年
前教皇ピオ11世によって出された結婚に関する回勅(the encyclical 回勅とは,ロー
マ教皇から全世界のカトリック教会の司教へあてた公文書で,道徳や教えの問題につ
いての教皇の立場を示すもの)を見よ。彼は,産児制限を行なう者は「自然に対して
罪を犯し,恥ずべきまた本質的に不道徳な行いをすることになる。従って,主(the
 divine Majesty 神,主)がこの恐るべき犯罪を最大限の憎悪をもって注視し
(regards with greatest detestation),時には死をもって罰したことを聖書(Holy
 Writ)が証言している(が聖書に書かれている)(bear witness 証言する)のも驚く
べきことではない(small wonder)」と述べている。教皇は,さらにアウグスティヌ
スの創世記に関する著作(注:アウグスティヌス著作集(第16巻) :創世記注解)第38
節の第8~10項までを引用する。産児制限を非難する理由はそれ以上必要ないと不要
だと考えられている(教皇はそれ以上の理由は必要ないと考えている/いた)。経済
上の理由に関しては,(教皇は)「極度の貧困で子供を養うのに大きな困難を経験し
ている親たちの苦しみには深く心を動かさえる」が,「本質的に不道徳なあらゆる行
為を禁じている神の綻を脇に置くことを正当化するほどの困難は生じ得ない」と述べ
ている。「医学上あるいは治療上の」理由による妊娠中絶(the interruption of 
pregnancy),即ち,女性(妊婦)の生命を救うため中絶が必要と考えられる時も,そ
れらは(妊娠中絶の)正当な理由にならないと彼(教皇)は考える。「形はどうであ
れ(in any way 多少なりとも)無実の者(嬰児)を直接殺害することを許すような
(弁解を与えるような)充分な理由が存在するであろう? 母親(妊婦)を害しよう
と子供(嬰児)を害しようと,それは『汝殺すなかれ』と言う神の教えと自然の法
(則)に反するものである」。教皇は,さらにすぐに続けて,この(聖書の)章句は
戦争や死刑(capital punishment)を非難しているのではないと説朋し,次のように
結論づけている。

「公正でありかつ熟達した医者は,母親と子供の両方の生命を守るため,極めて称賛
に値する努力をする。反対に,医術(医療)を行なうという口実のもと,あるいは,
誤った同情という動機のもと,(母と子の)どちらかの命を失くさせる者(who 
encompass the death 死を引き起こす者)は,気高い医療職(医者の仕事)に最も値
しない者であることを示す(show oneself 証明する)」。

Chapter 4: Demonology and Medicine, n.20

The intervention of theology in medical questions is not yet at an end ; 
opinions on such subjects as birth control, and the legal permission of 
abortion in certain cases, are still influenced by Bible texts and 
ecclesiastical decrees. See, for instance, the encyclical on marriage issued
 a few years ago by Pope Pius XL. Those who practise birth control, he says,
 "sin against nature and commit a deed which is shameful and intrinsically 
vicious. Small wonder, therefore, if Holy Writ bears witness that the divine
 Majesty regards with greatest detestation this horrible crime and at times
 has punished it with death." He goes on to quote St. Augustine on Genesis
 xxxviii. 8-10. No further reasons for the condemnation of birth control are
 thought necessary. As for economic arguments, "we are deeply touched by the
sufferings of those parents who, in extreme want, experience great 
difficulty in rearing their children," but "no difficulty can arise that 
justifies the putting aside of the law of God which forbids all acts 
intrinsically evil." As regards the interruption of pregnancy for "medical
 or therapeutic" reasons, i.e., when it is considered necessary in order to
 save the woman's life, he considers that this affords no justification. 
"What could ever be a sufficient reason for excusing in any way the direct
murder of the innocent? Whether inflicted upon the mother or upon the child,
 it is against the precept of God and the law of nature : 'Thou shalt not kill.'
"He goes on at once to explain that this text does not condemn war or 
capital punishment, and concludes :

"Upright and skilful doctors strive most praiseworthily to guard and 
preserve the lives of both mother and child ; on the contrary, those show
 themselves most unworthy of the noble medical profession who encompass the
 death of one or the other, through a pretence of practising medicine or 
through motives of misguided pity."
(掲載日:2018.10.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 4: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-200.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/12 部数:  71部

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