バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.19

カテゴリー: 2018年10月10日
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「(ほぼ日刊)バートランド・ラッセルの言葉366」
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.19
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 第4章 悪魔研究と医学 n.19

 人類(人間)の苦しみを和らげること阻止するための神学的干渉のもう一つの機会
(場合)は,麻酔の発見であった。シンプソン(Sir James Young Simpson,1811-1870
:スコットランドの産科医でクロホルムによるの医学への応用を初めて実施)は,
1847年,それを出産に用いることを勧めた(因みに、華岡青洲(はなおか せいしゅ
う, 1760-1835)は,1804年に,世界で初めて全身麻酔を用いた手術(乳癌手術)に
成功)が,牧師たちは神がイブに言ったこと,即ち,「汝は苦しみて子を産まん」
(という言葉)を思い出した(『創世記』第3章第16項)。しかし(← and そうして)
,クロロフォルムの影響下において(注:昏睡状態にあって),イブはいかにして苦
しむことが出来たであろうか? 神は(イブを誕生させるために)アダムの肋骨を抜
く時に彼を深い眠りに陥れたという理由で,シンプソンは男性は麻酔(薬)を用いて
も害がないことを証明することに成功した。だが,男性の聖職者たちは,女性の苦し
みに関しては,少なくともそれが出産の際のものである時には,依然(麻酔を使用す
ることを)納得しないままであった。創世紀の権威が認められていない日本において
は,いかなる人工的な軽減措置もなされずに,女性は依然として陣痛の苦しみに堪え
ることが期待されていることに注目してよいかも知れない(注:「endure the pains
 of labour」を津田氏は「労働の苦しみ」と訳出しているが陣痛のことを「labour 
pain」と言うことから,ここは「陣痛の苦しみ」と訳すべきであろう)。(こういっ
たことから)多くの男性にとって,女性の苦しみは楽しみであり,従って,苦しみを
避ける正当な理由がある時にも(←避けない正統な理由がまったくない時でも),忍
耐強く苦しみを甘受することを義務づける何らかの神学的あるいは倫理的行動規範に
固執する傾向があるという結論に反対することは困難である。神学が(これまで)与
えてきた害悪は,残酷な衝動を生み出したことではなく,そうした衝動に高尚(高貴)
な倫理という裁可(認可/是認)を与え,無知で野蛮な時代から伝わってきた諸習慣
(行為)に外見上において神聖な性格を与えたことにある。

Chapter 4: Demonology and Medicine, n.19

Another occasion for theological intervention to prevent the mitigation of
 human suffering was the discovery of anaesthetics (= anethetics). Simpson,
 in 1847, recommended their use in childbirth, and was immediately reminded
 by the clergy that God said to Eve ; "In sorrow shalt thou bring forth 
children" (Gen. hi. 16). And how could she sorrow if she was under the 
influence of chloroform? Simpson succeeded in proving that there was no harm
 in giving anaesthetics to men, because God put Adam into a deep sleep when
 He extracted his rib. But male ecclesiastics remained unconvinced as 
regards the sufferings of women, at any rate in childbirth. It may be noted
 that in Japan, where the authority of Genesis is not recognized, women are
 still expected to endure the pains of labour without any artificial 
alleviation. It is difficult to resist the conclusion that, to many men, 
there is something enjoyable in the sufferings of women, and therefore a 
propensity to cling to any theological or ethical code which makes it their
 duty to suffer patiently, even when there is no valid reason for not 
avoiding pain. The harm that theology has done is not to create cruel 
impulses, but to give them the sanction of what professes to be a lofty 
ethic, and to confer an apparently sacred character upon practices which
 have come down from more ignorant and barbarous ages. 
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 4: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-190.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/12 部数:  71部

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