バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.3

カテゴリー: 2018年09月13日
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「(ほぼ日刊)バートランド・ラッセルの言葉366」
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.3
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 第4章 悪魔研究と医学 n.3

 聖フランシスコ(注:1506-1552:カトリック教会の司祭・宣教師で,イエズス会
の創設者の一人で,日本ではフランシスコ・ザビエルという名前で知られている。通
常,聖フランシスコというとアッシジのフランシスコを指すがここでは別人)は,イ
ンド,中国,日本で多くの年月を過し,とうとう1552年に亡くなった(at last met 
his death)。彼と彼の同僚は,自分たちの仕事(任務)を説明する多数の長文の手
紙 -それは今も残っている- を書いたが,そのいずれにも,聖フランシスの生存中
のものに関する限り,奇蹟の力(を自分が持っていること)を主張しているものはな
い(but in none of them, so long as he was still alive, is there any claim 
to miraculous powers. → but so long as he was still alive, there is any 
claim to miraculous powers in none of them. 倒置に注意 )。ホセ・デ・アコス
タ(注:Joseph Acosta = Jose de Acosta, 1540-1600 スペインの博物学者で,アメ
リカ大陸の初期記録者の一人) -ザビエルと同じイエズス会士でペルーにいる動物
に大変当惑- は,これらの伝道(宣教活動)が異教徒を(キリスト教に)改宗させ
る努力において奇蹟に助けられていなかったことを明確に主張している。しかし,ザ
ビエルが死んですぐに奇蹟の説明が現われ始めた。彼の手紙には日本語の難しさや良
い通訳がいないこと(the paucity of good interpreters)についていっぱい書かれ
ているけれども,彼(ザビエル)には語学の才(gift of tongues)があったと言わ
れた。(また)ある時,彼の同僚が海(上)で喉が乾いた時,彼(ザビエル)は海水
を真水に変えたとか,彼が海で十字架をなくした時,蟹がその十字架を彼のもとに持
ってきたとか,言われた(そうカニ,=冗談)。後の版(解釈)によると,彼は大暴
風雨を鎮めるために十字架を船外へ(overboard 海中に)投げた(ことになっている)
(he threw the crucifix overboard to still a tempest)。1622年,彼が列聖
(注:キリスト教会において,信仰の模範となるにふさわしい信者を聖人の地位にあ
げること)に加えられた時(when he was canonized),ヴァチカンの権威者達を満
足させるためにザビエルが奇蹟を行なったことを証明することが必要となった。とい
うのは,そのような証拠がなければ,誰も聖人になりえないからである。ローマ教皇
はザビエルの語学の才を公認し,特に彼が油の代りに聖水(holy water)を用いてラン
プを灯したという事実に感銘した(新地出版社刊の津田訳では,"holy water" を 
"hot water" と見間違えたらしく,「湯」と訳されている(笑))。この教皇は,ガ
リレオが言ったことは信じがたいとした教皇 -ウルバヌス八世- (と同一人物)で
あった。この伝説はどんどん成長し,ついには,ブーウール神父(Dominique 
Bouhours, 1628-1702)によって1682年に出されたザビエルの伝記の中では,この聖
人(ザビエル)は生涯において14名の人を死から蘇えらさせたと(raise ~ the 
dead 眠りから覚ます;よみがえらせる),我々は学ぶ(知る)ことになった。カト
リックの著作家たちは今日でも彼の奇蹟の力を信じている。こうして,イエズス会の
コールリッジ神父は,1872年に出版した伝記の中で,ザビエルの語学の才を再確認し
た(のである)。
 この例からみても(わかるように),ザビエルの場合より記録の少ない時代に,驚
異的な出来事(marvels)に与えられた説明が如何に信頼がおけないものかは明らか
である。

Chapter 4: Eemonology and Medicine, n.3

St. Francis spent many years in India, China and Japan, and at last met his
 death in 1552. He and his companions wrote many long letters, still extant,
 giving accounts of their labours, but in none of them, so long as he was 
still alive, is there any claim to miraculous powers. Joseph Acosta -- the
 same Jesuit who was so puzzled by the animals of Peru -- expressly asserts
 that these missionaries were not aided by miracles in their efforts to 
convert the heathen. But soon after Xavier's death accounts of miracles 
began to appear. He was said to have had the gift of tongues, although his
 letters are full of the difficulties of the Japanese language and the 
paucity of good interpreters. It was said that, on one occasion when his 
companions were thirsty at sea, he transformed salt water into fresh. When
 he lost a crucifix in the sea, a crab restored it to him. According to a
 later version, he threw the crucifix overboard to still a tempest. In 1622,
 when he was canonized, it became necessary to prove, to the satisfaction 
of the Vatican authorities, that he had performed miracles, for without such
 proof no one can become a saint. The Pope officially guaranteed the gift of
 tongues, and was specially impressed by the fact that Xavier made lamps 
burn with holy water instead of oil. This was the same Pope -- Urban VIII 
-- who found what Galileo said incredible. The legend continued to grow, 
until, in the biography published by Father Bouhours in 1682, we learn that
 the saint, during his lifetime, raised fourteen persons from the dead. 
Catholic writers still credit him with miraculous powers ; thus Father 
Coleridge, of the Society of Jesus, reaffirmed the gift of tongues in a 
biography published in 1872. 
From this example it is evident how little reliance can be placed upon 
accounts of marvels in periods when the documents are less numerous than 
in the case of St. Francis Xavier.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 4: 
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-030.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2019/02/19 部数:  70部

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