バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第3章 進化 n.26

カテゴリー: 2018年09月10日
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 読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありましたら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第3章 進化 n.26
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 第3章 進化 n.26

 進化論に基礎を置くいかなる神学にも,(上記以外の)別のより重大な反対がある。
この学説が流行しはじめた1860年代及び1970年代には,進歩は世界の法則として受け
とられた。我々年ごとに豊かになり,減税したにもかかわらず予算が余る状態にあっ
たではないか? 我々(英国)の機械装置は世界の驚異であり,我々(英国)の議会
政治は啓蒙された外国人のためのお手本ではなかったか? そうして,進歩が無限に
続くことを誰が疑うことができたであろうか? 進歩を生み出した科学と機械の発明
の才は,確かに,進歩をずっとより十分に生み出し続けるだろうと信頼されることが
可能であった。そのような(雰囲気の)世界においては,進化(の概念)は日常生活
を一般化したものにすぎないように思われた(のである)。

 しかし,その場合にも(even then その時でさえ),より思慮深い人々には別な側
面がよく見えた(to the more reflective, another side was apparent)。成長を
生み出す同一の法則が衰退も生み出す。いつかは,太陽は冷たくなるであろうし,地
上の生命は死に絶えるであろう。動物や植物の全時代(動植物が栄えた全期間)も,
熱すぎる時代と寒すぎる時代の幕間(まくあい)にすぎない。宇宙進歩の法則などま
ったく存在せず,エネルギーの拡散のために,均衡をとりつつ,ゆっくりした下向き
に向かう傾向を伴った,上下の方向への振動が存在するのみである(注:このあたり
は熱力学の第二法則,即ち、エントロピー増大の法則について言っているのか? 
つまり、熱というモノは熱い方から冷たい方に向かって(downward)流れるのであり
、その逆はない)。これが,少なくとも,今日,科学が最も蓋然性があるとみなして
いることであり,我々幻想を抱かない世代が容易に信じやすい考えである。今日,我
々人類が持っている知識の限りでは,進化(理論)から窮極的に楽天主義的な哲学
(注:進歩幻想)を論理的に導き出すことはできない(のである)。

Chapter 3: Evolution, n.26

There is another and a graver objection to any theology based on evolution. 
In the ’sixties and ’seventies, when the vogue of the doctrine was new, 
progress was accepted as a law of the world. Were we not growing richer year
 by year, and enjoying budget surpluses in spite of diminished taxation? 
Was not our machinery the wonder of the world, and our parliamentary 
government a model for the imitation of enlightened foreigners? And could
 anyone doubt that progress would go on indefinitely? Science and mechanical
ingenuity, which had produced it, could surely be trusted to go on producing
 it ever more abundantly. In such a world, evolution seemed only a 
generalization of everyday life. 

But even then, to the more reflective, another side was apparent. The same
 laws which produce growth also produce decay. Some day, the sun will grow
 cold, and life on the earth will cease. The whole epoch of animals and 
plants is only an interlude, between ages that were too hot and ages that 
will be too cold. There is no law of cosmic progress, but only an 
oscillation upward and downward, with a slow trend downward on the balance
 owing to the diffusion of energy. This, at least, is what science at 
present regards as most probable, and in our disillusioned generation it is
 easy to believe. From evolution, so far as our present knowledge shows, no
 ultimately optimistic philosophy can be validly inferred.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 3: Evolution.
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_03-260.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2019/02/15 部数:  70部

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