バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第2章 コペルニクス革命 n.14

カテゴリー: 2018年07月26日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第2章 コペルニクス革命 n.14
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 『宗教と科学』第2章 コペルニクス革命(コペルニクス的転回) n.14

 しかし,科学界は賞讃した一方,(キリスト教の)聖職者たちは怒り狂った。ガリレ
オが沈黙を強いられた時代の間に,ガリレオの敵たちは,答えることは無分別であっ
たであろう議論によって,その機会(ガリレオが沈黙している時)を利用して偏見を
増していった。ガリレオの教えはキリストの現存説(実在説(the doctrine of the
 Real Presence)と矛盾すると強く主張された(It was urged that ~)。イエズス
会士のメルキオル・インコフェル神父は,「地球が動くという説(地動説)はあらゆ
る異端の中で最も忌まわしく,最も有害で,最も恥さらしのものである。地球の不動
性はまことに神聖である。霊魂の不滅,神の存在,(キリストの)顕現(化身)に反
対する議論の方が,地球が動くことを証明する議論よりもむしろ耐えるべき議論であ
る(まだましである)」と主張した。「タリホー(tally-ho)」(注:英国のキツネ
狩りの時に発せられる叫び)といったようなかけ声とともに,神学者たちは互いに血
潮を沸き立たせ,今や,病によって衰弱し,盲目になりつつある過程の一人の老人
(注:ガリレオ)を追求する準備を全て整えていた。

 ガリレオは,再度,異端審問所に出頭するようにとロ-マに召喚された。異端審問
所(の裁判官たち)は屈辱を受けたという感情を抱いており,1616年の召喚の時より
も厳しい雰囲気にあった。(注:荒地出版社刊の訳書では,津田氏は「Galileo was
 once more summoned to Rome to appear before the Inquisition, which, feeling
itself flouted, was in a sterner mood than in 1616」を「ガリレオは再び,ロー
マに召喚され,宗教裁判に立たされた。馬鹿げたことのようだが,それは1616年より
も厳しいものだった」と訳出している。どうして「馬鹿げだことのようだが」という
ような訳になるのか,誰が馬鹿げたことだと思っているのか不明。なお,「the 
Inquisiton」の定訳は「異端審問所」) 彼は,当初,病が重くてフローレンス(フ
ィレンツエ)から(ローマへ)の旅に耐えられないと言い訳した。ここに至って,ロ
ーマ教皇は自分の医師(侍医)を罪人(culprit)を診察するために送り,もし病気
が深刻な状態でないことがわかれば鎖につないで連れてくると脅かした。この脅しに
よって,ガリレオは彼の敵の医学上の密使の裁断を待たずに,旅に出る決意をした。
というのは(教皇になる前は親しい友だった)ウルバヌス八世は今や彼の厳しい敵で
あったからである。彼はロ-マに着いた時,異端審問所の牢獄に入れられ,主張を撤
回しなければ拷問するぞと脅かされた。(注:津田氏は「and (he was) threatened
 with torture if he did not recant. 」を「(宗教裁判の獄に投ぜられ))取り消
しを迫られ拷問でおどされた」と訳出している。if 文をまったく無視している上に
,「threatened with torture」は「拷問するぞ」という脅かしであり、拷問され
「た」と取れるような訳し方はいただけない。因みに、「The employees thretened 
the manegement with a strike.」は「従業員はストライキをするぞと言って経営者
側を脅かした」のであり、ストライキをして脅かしたわけではない。) 異端審問所
は,「(ガリレオが)我らの主イユス・キリスト及びキリストの最も輝かしき聖母マ
リア(or 処女マリア)の最も聖なる御名を呼び」「もし真心と偽らぬ信仰をもって,
我らの前で(in Our presence /なぜ大文字なのか不詳),上述の誤謬と異端とを誓っ
て取り消し(abjure),呪い,嫌悪するならば」,ガリレオは異端のために与えられ
る処罰を受けるべきではないと布告した(decreed)。それでも,自説を取消し
(recantation)と懺悔(penitence)にもかかわらず
「我らはあなたを有罪とし,この聖庁(バチカン法庁)の正式の獄に,我らの意志に
より決定される期間,入獄させる。また,有益な贖罪(罪の償い)として,我らは汝
に以後三年間,週一度,七つの懺悔の賛美歌を朗唱することを命ずる」(ということ
になった)。

Chapter 2: The Copernician Revolution, n.14

But while the scientific world applauded, the ecclesiastics were furious. 
During the time of Galileo's enforced silence, his enemies had taken the 
opportunity to increase prejudice by arguments to which it would have been 
imprudent to reply. It was urged that his teaching was inconsistent with the
 doctrine of the Real Presence. The Jesuit Father Melchior Inchofer 
maintained that "the opinion of the earth's motion is of all heresies the 
most abominable, the most pernicious, the most scandalous ; the immovability
of the earth is thrice sacred ; argument against the immortality of the soul
, the existence of God, and the incarnation, should be tolerated sooner than
an argument to prove that the earth moves.” By such cries of "tally-ho" the
 theologians had stirred each other's blood, and they were now all ready for
 the hunt after one old man, enfeebled by illness and in process of going 
blind. 

Galileo was once more summoned to Rome to appear before the Inquisition, 
which, feeling itself flouted, was in a sterner mood than in 1616. At first
 he pleaded that he was too ill to endure the journey from Florence ; 
thereupon the Pope threatened to send his own physician to examine the 
culprit, who should be brought in chains if his illness proved not to be 
desperate. This induced Galileo to undertake the journey without waiting for
 the verdict of his enemy's medical emissary -- for Urban VIII was now his 
bitter adversary. When he reached Rome he was thrown into the prisons of the
 Inquisition, and threatened with torture if he did not recant. 
The Inquisition, "invoking the most holy name of our Lord Jesus Christ and
 of His most glorious Virgin Mother Mary,” decreed that Galileo should not
incur the penalties provided for heresy, "provided that with a sincere heart
 and unfeigned faith, in Our presence, you abjure, curse, and detest" the 
said errors and heresies." Nevertheless, in spite of recantation and
 penitence, "We condemn you to the formal prison of this Holy Office for a
 period determinable at Our pleasure ; and by way of salutary penance, we 
order you during the next three years to recite, once a week, the seven 
penitential psalms."
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 2.
 情報源:http://russell-j.com/beginner/RS1935_02-140.HTM

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発行周期: ほぼ 日刊 最新号:  2018/12/18 部数:  71部

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