バートランド・ラッセルの言葉366

ラッセル『宗教と科学』第2章 コペルニクス革命 n.2


カテゴリー: 2018年07月09日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『宗教と科学』第2章 コペルニクス革命 n.2
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『宗教と科学』第2章 コペルニクス革命 n.2

 コペルニクス(1473-1543)は,もしかするとそれに値しないかも知れないが,コ
ペルニクスの体系(=地動説)にその名(自分の名前)を冠する栄誉(名誉)を持っ
ている(荒地出版社刊の津田訳では「perhaps scarcely deserved」を「おそらくそれ
(名誉)の値しないのだが」と訳している。次の段落でラッセルは「コペルニクス理
論は,想像の実り豊かな努力であり,その後の発展を可能にした点に於て重要である
けれども・・・」と書いており,矛盾する。「pobably」なら「多分(おそらく)」
というニュアンスになるが,「perhaps」は「可能性はあるが確実性はないことを示
し,可能性の大小を問題にしない」ことから、「もしかすると」あるいは「ことに
よると」の訳し方の方がよいと思われる。)。彼は(ポーランドの)クラクフ大学
(注:the University of Cracow = University of Krakow:ポーランド最古の大学
/現地読みでは「クラクフ」)で学んだ後,青年の時イタリアに行き,1500年まで
にローマで数学の教師になった(津田氏は「by the year 1500 he had become a 
mathematical professor in Rome」を「1500年まで,ローマで数学教師になった。」
と訳している。「by」は「~までに」であり,「had become(~になった)」と書かれ
ているので,誤訳)。けれども,彼は,3年後にポーランドに帰国し,通貨の改革や
チュートン騎士団(注:十字軍時代の3大宗教騎士団の1つでドイツ騎士団とも言わ
れる。)との闘争に専心した。1507年から1530年に至る23年間,彼の余暇の時間は,
大著「天体の革命について」の著述に費やされ,この本は,彼の死の直前の1543年に
出版された。

 コペルニクス理論(地動説)は,その後の発展を可能にした想像力の実りある努力で
あったけれども,それ自体はそれでもとても不完全なものであった。惑星は,現在我
々が知っているように,太陽の周りを円形ではなく楕円形で回っており,太陽は,そ
の回転の中心ではなく,焦点の一つを占めている。(また,)コペルニクスは,惑星
の軌道は円形でなければならないという見解に固執し,それら(惑星)の(軌道の)
不規則性を太陽が任意の惑星の軌道の完全な中心にいないからだと想定することによ
って説明した(注:惑星が一つならその惑星は太陽の回りを円形で回転するが,多く
の惑星があるのでそうはならない,ということか?)。このことは(この想定/考え
方は),彼の(理論)体系から,プトレマイオス(の理論)に対する最大の長所であ
った(その)簡潔性を,一部奪った。そして,もしケプラー(の法則)によって訂正
されなかったなら,ニェートンによる一般理論化を不可能にしてしまっていたであろ
う。コペルニクスは自分の中心的な学説(doctrine)は既に(ギリシア人の)アリス
タルコスによって説かれていたことに気づいていた。そのアリスタルコスに関する断
片的知識は,イタリアにおける古典研究の復活に負っており,それなしには(古典研
究の復活がなければ),限りなく古代が讃美されていた当時において,彼は自分の説
を発表する勇気をもたなかったであろう(注:讃美された古代ギリシアの人物が言っ
たことだということで権威付けになったということ)。そのような状況であったので
(As it was),彼は教会の厳しい非難(ecclesiastical censure)を恐れ,地動説
の発表を長い間遅らせた。彼自身,聖職者であり,自分の著作を法皇に献呈した。
そうして,その本の発行者のオジアンダーは,地動説は単なる仮説として提出される
のであって疑いようがなり真理(positive truth)として主張されているのではない
という序文を付け加えた。(もしかすると,その序文はコペルニクスにより是認され
ていなかったかも知れない)。しばらくの間,これらの戦術で充分だった。そして,
ガリレオ(1564-1642)のより反抗的な態度によって初めて(過去に)遡ってコペル
ニクスに対する公的な非難がもたらせれた(のである)。

Chapter 2: The Copernician Revolution, n.2

Copernicus (1473-1543) has the honour, perhaps scarcely deserved, of giving
 his name to the Copernican system. After studying at the University of 
Cracow, he went to Italy as a young man, and by the year 1500 he had become
 a mathematical professor in Rome. Three years later, however, he returned 
to Poland, where he was employed in reforming the currency and combating 
the Teutonic Knights. His spare time, during the twenty-three years from 
1507 to 1530, was spent in composing his great work On the Revolutions of 
the Heavenly Bodies, which was published in 1543, just before his death. 

The theory of Copernicus, though important as a fruitful effort of 
imagination which made further progress possible, was itself still very
 imperfect. The planets, as we now know, revolve about the sun, not in 
circles, but in ellipses, of which the sun occupies, not the centre, but
 one of the foci; Copernicus adhered to the view that their orbits must be
 circular, and accounted for irregularities by supposing that the sun was 
not quite in the centre of any one of the orbits. This partially deprived
 his system of the simplicity which was its greatest advantage over that of
 Ptolemy, and would have made Newton's generalization impossible if it had 
not been corrected by Kepler. Copernicus was aware that his central doctrine
had already been taught by Aristarchus -- a piece of knowledge which he owed
 to the revival of classical learning in Italy, and without which, in those 
days of unbounded admiration for antiquity, he might not have had the 
courage to publish his theory. As it was, he long delayed publication 
because he feared ecclesiastical censure. Himself an ecclesiastic, he 
dedicated his book to the Pope, and his publisher, Osiander, added a 
preface (which may perhaps have been not sanctioned by Copernicus) saying
 that the theory of the earth's motion was put forward solely as a 
hypothesis, and was not asserted as positive truth. For a time, these 
tactics sufficed, and it was only Galileo's bolder defiance that brought
 retrospective official condemnation upon Copernicus.
 出典:Religon and Science, 1935, chapt. 2.
 情報源:http://russell-j.com/beginner/RS1935_02-020.HTM

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