バートランド・ラッセルの言葉366

n.1402 ラッセル『権力』 第18章 権力を手懐けること n.29


カテゴリー: 2018年06月12日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『権力』 第18章 権力を手懐けること n.29
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 第18章 権力を手懐けること n.29

 戦争は専制政治(独裁)を促進する主要なものであり,無責任な権力を可能な限り
さける体制(制度)を確立しようとする際の最大の障害物である。従って,戦争を防
止することは我々の問題の不可欠な一部であり,私としては,最も不可欠のものであ
ると言いたい。もしひとたび世界が戦争の恐怖から解放されるならば,いかなる統治
形態のもとであろうと,いかなる経済体制のもとであろうと,いずれは,世界は(自
分たちの)支配者の兇暴性を抑制する方法(curbing the ferocity )を発見するで
あろう。一方(これに反して),あらゆる戦争は,しかし特に(注:but especially
 : but の使い方に要注意)近代の戦争は,臆病な人たちに指導者を求めさせ,大胆
な精神(の人々)を,一つの(まとまりのある)社会から烏合の衆(群れ a pack)
に変えてしまうことによって,独裁政治を助長するである。

 戦争の危険(リスク)は,ある種の群集心理を引きおこし,こんどは逆に
(reciprocally 相互的に),この種の群集心理が -それが存在する場合- 専制政
治の可能性(likelihood)や戦争の危険を増大させる。従って,我々は社会を最も集団
ヒステリーにかからないようにする教育を,また社会を最もうまく民主主義を行わせ
るようにする教育を熟考しなければならない。

 民主主義は - 成功をおさめるべきだとすれば - 一見相反する方向に向かうよう
に見える二つの性質が広く行き渡ることが必要である。(即ち)一方では,人はある程
度の自立(self-aliance 独立独歩)がなければいけないし,自分の判断をある程度具
体的に示さなければならない。(また,)正反対の方向の政治的宣伝が行われて,多
くの人たちが(いずれかに)参加しなければならない。しかし,他方では,多数者の
決定が自分と反対の方向にある場合は(場合でも),進んでその決定に従わなければ
ならない。これら二つの条件のどちらかが欠けていても(民主主義は)失敗する。
(即ち)人々(the population 国民;住民)は従属的過ぎるかも知れないし,勇敢
な指導者に従って独裁政治(独裁)に陥ったりするかも知れないし,あるいはどの政
党も自己主張をし過ぎるかも知れない。その結果,その国家(the nation 国民国家)
は無政府状態に陥ることになる(であろう)。

Chapter 18: The taming of Power, n.29

War is the chief promoter of despotism, and the greatest obstacle to the 
establishment of a system in which irresponsible power is avoided as far as
 possible. The prevention of war is therefore an essential part of our 
problem - I should say, the most essential. I believe that, if once the 
world were freed from the fear of war, under no matter what form of 
government or what economic system, it would in time find ways of curbing
 the ferocity of its rulers. On the other hand, all war, but especially
 modern war, promotes dictatorship by causing the timid to seek a leader
 and by converting the bolder spirits from a society into a pack.

The risk of war causes a certain kind of mass psychology, and reciprocally
 this kind, where it exists, increases the risk of war, as well as the 
likelyhood of despotism. We have therefore to consider the kind of education
 which will make societies least prone to collective hysteria, and most 
capable of successfully practising democracy.

Democracy, if it is to succeed, needs a wide diffusion of two qualities 
which seem, at first sight, to tend in opposite directions. On the one hand,
 men must have a certain degree of self-reliance and a certain willingness 
to back their own judgment; there must be political propaganda in opposite 
directions, in which many people take part. But on the other hand men must 
be willing to submit to the decision of the majority when it goes against 
them. Either of these conditions may fail: the population may be too 
submissive, and may follow a vigorous leader into dictatorship; or each 
party may be too self-assertive, with the result that the nation falls into
 anarchy.
 出典: Power, 1938.
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