バートランド・ラッセルの言葉366

n.1401 ラッセル『権力』 第18章 権力を手懐けること n.28


カテゴリー: 2018年06月11日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『権力』 第18章 権力を手懐けること n.28
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 第18章 権力を手懐けること n.28

 信仰復興論者(Revivalist: 昔の習慣や思想を復活させようとする人)のもつ熱狂
は,たとえばナチスの熱狂のように,それが生じさせるエネルギーと自己犠牲らしき
ものを通して,多くの人々に称賛(の念)を引き起こす。集団的な興奮は,苦痛に対
して,また死に対してさえ,無関心を伴っておりて,歴史上において珍しいもの(稀な
もの)ではない。信仰復興論者のもつ熱狂が存在するところでは自由は存在しない。
熱狂家は力(強制力)によってのみ抑制(抑止)することができ,また,熱狂家は抑
制(抑止)されなければ,彼らは他の人々に力(強制力)をふるうであろう。私は
1920年に北京で出会ったあるボルシェビイキ(ソビエト共産主義者)のことを覚えて
いるが,彼は次のような(彼らにとっての)完全な真理を声高に言いながら,部屋の
中をいったりきたりしていた。(即ち)「もし我々が彼ら(旧体制の人々)を殺さなけ
れば,彼らが我々を殺すであろう」と('If vee do not keel zem, zey vill keel 
us!' = 「If we do not kill them, they will kill us!」のロシアなまりの英語)。
こういった気分が一方の側にあれば,当然のこと,相手側(敵対側)にも同様の気分
を生み出す。その結果,最後まで戦うということになり,あらゆることが勝利のため
に二の次にされる(軽視される)。その戦いの間,政府は,軍事的な理由から,独裁
的な権力を獲得する。戦いの最後に,もし勝利すれば,政府はその権力をまず敵の残
党を掃討するためにふるい,次に政府の支持者たちに対する独裁権の継続を確保する
ために権力をふるう。その結果は,当初熱狂家たちが闘ったもの(目的や大義)から
はかなり異なったものである。熱狂は,一定の結果を達成することができる一方,それ
が望んだものをほとんど達成することはできない。集団的熱狂を讃美することは,無
謀であり無責任である。というのは,熱狂の結果として得られるもの(成果)は,凶
暴さであり,戦争であり,死であり,奴隷状態だからである。

Chapter 18: The taming of Power, n.28

Revivalist enthusiasm, such as that of the Nazis, rouses admiration in many
 through the energy and apparent self-abnegation that it generates. 
Collective excitement, involving indifference to pain and even to death, is
 historically not uncommon. Where it exists, liberty is impossible. 
The enthusiasts can only be restrained by force, and if they are not 
restrained they will use force against others. I remember a Bolshevik whom
 I met in Peking in I920, who marched up and down the room exclaiming with
 complete truth: 'If vee do not keel zem, zey vill keel us!' The existence
 of this mood on one side of course generates the same mood on the other 
side; the consequence is a fight to a finish, in which everything is
 subordinated to victory. During the fight, the government acquires despotic
 power for military reasons; at the end, if victorious, it uses its power
 first to crush what remains of the enemy, and then to secure the 
continuance of its dictatorship over its own supporters. The result is 
something quite different from what was fought for by the enthusiasts. 
Enthusiasm, while it can achieve certain results, can hardly ever achieve
 those that it desires. To admire collective enthusiasm is reckless and 
irresponsible, for its fruits are fierceness, war, death, and slavery.
 出典: Power, 1938.
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