バートランド・ラッセルの言葉366

n.1379 ラッセル『権力』第18章 権力を手懐けること n6


カテゴリー: 2018年05月10日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『権力』 第18章 権力を手懐けること n6
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 第18章 権力を手懐けること n.6

 権力を手懐けるという観点から,政治(統治)の単位の最適な規模に関して非常に
難しい(諸)問題が出てくる。現代の大国においては,民主主義国であってさえ,普通
の一般市民は政治的な権力の意識(自分は政治的権力を持っているという意識)をほ
とんど持っていない。(即ち)選挙の争点は何であるべきかということを選挙民(一
般市民)は決定しないし,それらの争点は多分一般市民の日常生活からはかけ離れた
事柄に関わるものであり,また,ほとんど一般市民の経験の外にある事柄であり,一
市民の投票などは,無視できると自分自身感じるほど,全体に対してとても小さな寄
与しかしない(と彼は考える)。古代の都市国家(注:古代ギリシアなど)において
は,そうした弊害はずっと少なかった。現在でも,地方政治においてはそうである
(そういった弊害は少ない)。公衆というものは,国民的な(全国的な)問題よりも
,地方的な問題のほうにより関心をを示すだろうと(これまで)思われてきたかも知
れないが,しかし,それは事実ではない。逆に,関係する地域が広ければ広いほど,
投票の労を惜しまない選挙民の比率は,よりいっそう多い(多くなる)。これは一つ
には重要な選挙において選挙の宣伝により多額のお金が使われるからであり,一つに
は選挙の争点がそれ自体(地方選挙よりも)より興奮させるものだからである。選挙
の争点で最も興奮を催すものは,戦争に関係する争点及び仮想敵国に対する関係を含
む争点である。1910年1月に,ある田舎者老人(an old yokel)が私に自分はこれから
(英国)保守党(それは彼の経済的利害に反する政党であった)に投票しに行くと言
ったのを覚えている。(自分の経済的利益に反する)保守党に投票した理由は,もし
(英国)自由党が勝利すれば,一週間もしないうちに,ドイツ人が英国内に進駐してく
ると説得されて信じていたからである。この老人が教区会 (注:地方行政区の自治機
関)の選挙において,争点について幾分理解していた可能性はあるが,しかし,彼
(一般市民)が教区会の選挙で投票をしたことがあるというふうに考えてはならない
。こうした争点が彼の心を動かすことができなかったのは,それらの争点が,集団ヒ
ステリーを引きおこすようなものではなかったからか,あるいは,集団ヒステリーが
餌を与えて育む神話でなかったからである。

Chapter 18: The taming of Power, n.6

From the point of view of the taming of power very difficult questions arise
 as to the best size of a governmental unit. In a great modern State, even 
when it is a democracy, the ordinary citizen has very little sense of 
political power; he does not decide what are to be the issues in an elction,
 they probably concern matters remote from his daily life and almost wholly
 outside his experience, and his vote makes so small a contribution to the
total as to seem to himself negligible. In the ancient City State these 
evils were much less; so they are, at present, in local government. It might
have been expected that the public would take more interest in local than in
 national questions, but this is not the case; on the contrary, the larger 
the area concerned, the greater is the percentage of the electorate that 
takes the trouble to vote. This is partly because more money is spent on 
propaganda in important elections, partly because the issues are in 
themselves more exciting. The most exciting issues are those involving war
and relations to possible enemies. I remember an old yokel in January, 1910,
 who told me he was going to vote Conservative (which was against his 
economic interests), because he had been persuaded that if the Liberals were
 victorious the Germans would be in the country within a week. It is not to
 be supposed that he ever voted in Parish Council elections, though in them
 he might have had some understanding of the issues; these issues failed to
 move him because they were not such as to generate mass hysteria or the 
myths upon which it feeds.
 出典: Power, 1938.
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