バートランド・ラッセルの言葉366

n.1312 ラッセル『権力』第14章 競争 n.12


カテゴリー: 2018年02月10日
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 「ラッセルの英語」では,英語の学習に参考になりそうな例文をラッセルの著作
  からご紹介していますが,「ラッセルの言葉366」では,日本語にした時の'内容'
  に注目して,ラッセルの発言をご紹介していきます。
  読者と一緒に育てていきたいと思っていますので,誤訳や不適切な訳等がありま
  したら,お知らせいただければ幸いです。

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 ラッセル『権力』(Power, 1938) 第14章 競争 n.12
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 第14章 競争,n.12

 次に,一般市民はどうかと言うと,一般市民は -宣伝の自由が政府にとって危険な
ものに思われる状況を除いて,即ち,宣伝の自由が政府の存在に最大限の脅威を与え
る状況でなければ - 宜伝の自由にほとんど関心を抱かない,ということがわかる。
政府は,宗教や国籍において,その被統治者(subjects 国民/臣民)と異なるかも知れ
ない(異なることがある)。(つまり)政府は,貴族に対立する王を代表するかも知
れないし,ブルジョアに対立する貴族を代表するかも知れないし,あるいは,貧民と
対立するブルジョアを代表するかも知れない。(また)政府は,チャールズ二世や第
一次大戦後のドイツの歴代の政府のように,愛国心に欠けるているように見えるかも
知れない。そのような状態においては,一般市民は,反政府的なアジ(扇動)に関心
を抱くかも知れないし,一般市民を擁護する者(闘士)が投獄される場合には,言論
の自由の原則に訴えるであろう。しかし,これらは革命前夜の状態であり,そうした
状態でも,政府は(政府に)敵対する宣伝に耐えるべきである(寛容であるべきであ
る)と言うことは,結果として,政府は退陣すべきだと言うことである。このことは
,政府の観点(見地)からみてさえ,真実である。というのは,退陣することによっ
て失うのは(彼らの)権力だけであるが,その反対に,いつまでも権力に居座り続けれ
ば,おそらく,自分たちの命まで落すことになるだろうからである。しかし,(これ
まで)ほとどの政府はこのことを理解する賢明さを持っていなかった。このことは,
強国が弱国を抑圧する場合には,常に真(理)であるということはない。

かつてこれほど悲惨な国はなかった,
線色のリボンを着けているだけで,
男も女も首をくくられる。
(注:英国政府の役人は,緑色のリボンをつけているアイルランド人民をみな絞首刑
にしてしまう。緑色はアイルランドのナショナル・カラー)

 イングランドはアイルランドに対して,8世紀(800年)の間,この政策をつらぬ
くことができたが,最後には,金銭を若干失うとともに,国としての威信をかなり失
墜させた。この8世紀の間,英国の政策がうまくいったのは,農民(小百姓)は飢え
ていたが地主は豊かであったからである。

Chapter 14: Competition, n.12

Coming now to the average citizen, one finds that he takes very little 
interest in freedom of propaganda except in those circumstances in which it
 seems to government most dangerous, namely, when it threatens the existence
 of governments. The government may differ from its subjects in religion or 
nationality ; it may represent the king as against the nobles, the nobles as
against the bourgeoisie, or the bourgeoisie as against the poor; it may seem
 lacking in patriotism, like Charles II and the German governments after the
 war. In such situations, the average citizen may become interested in an 
agitation against the government, and will invoke the principle of free 
speech when his champions are imprisoned. But these are pre-revolutionary 
situations, and to say that, where they exist, governments should tolerate 
adverse propaganda, is to say, in effect, that they ought to abdicate. This
 is often true even from their point of view, since by abdicating they lose
 only their power, whereas if they persist they probably ultimately lose 
their lives. But few governments have had the wisdom to see this. Nor is it
 always true when a strong country oppresses a weak one.

She's the most distressful country
That ever yet was seen,
For they're hanging men and women there
For wearing o' the green.

England was able to pursue this policy towards Ireland for eight centuries,
 with, in the end, only some loss of money and a considerable loss of 
prestige. During the eight centuries British policy was successful, since
 landowners were rich while peasants starved.

 出典: Power, 1938.
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