MORI社労士・行政書士事務所の「ここが変だよ労働法」

意外とグレーなパートの社保加入基準


カテゴリー: 2015年10月20日
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 ■MORI社労士・行政書士事務所の「ここが変だよ労働法」/2015年10月号■
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こんにちは。MORI社労士・行政書士事務所です。

本メルマガをご購読いただきありがとうございます。

【今号の内容】
●人事・労務スケジュール帳
●最近の注目ニュース
●「ここが変だよ労働法」第21回:意外とグレーなパートの社保加入基準
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            人事・労務のスケジュール帳
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10月13日 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付
          労働保険一括有期事業開始届の提出
11月2日 健保・厚年保険料の納付
     労働保険料第2期法定納付期日(事務組合委託事業場除く)
     労働者死傷病報告書の提出(休業4日未満、7月~9月分)

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              最近の注目ニュース      
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前月は、労働者派遣法の改正とその施行までに注目して取り上げました。これほど
の大改正でありながら、公布から施行までの時間が非常に短く、周知期間としては
全く不十分だった点については、もっと批判されてしかるべきと思います。

そうはいっても、既に有効に施行されたH27改正労働者派遣法です。都度ネタを
拾っているので雑多な内容ですが、次のような記事を掲載しましたので、ご参考に
していただければ幸いです。

・改正派遣法による労働契約申込みみなし制度の通達が公開
 →http://office-mori.biz/news/archives/1489

・改正派遣法が成立見込み~参議院での修正内容~
 →http://office-mori.biz/news/archives/1578

・H27改正労働者派遣法の施行にあたって派遣先の留意点まとめ
 →http://office-mori.biz/news/archives/1587

・改正労働者派遣法施行令、施行規則、派遣元先指針等が答申~水曜から施行~
 →http://office-mori.biz/news/archives/1655

・改正派遣法関係法令告示が官報に掲載※9月30日追記あり
 →http://office-mori.biz/news/archives/1661

・改正労働者派遣法の通達を読む
 →http://office-mori.biz/news/archives/1693

・新業務取扱要領で見る労働者派遣事業の許可基準
 →http://office-mori.biz/news/archives/1715

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        連載コラム「ここが変だよ労働法」第21回
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今回は、健康保険・厚生年金保険(社会保険)の適用範囲について定めた、いわゆ
る「55年内かん」について取り上げてみたいと思います。
--------------------------------------------------------------------------
・・・短時間就労者が当該事業所と常用的使用関係にあるかどうかについては、今
後の適用に当たり次の点に留意すべきであると考えます。
1 常用的使用関係にあるか否かは、当該就労者の労働日数、労働時間、就労形態、
 職務内容等を総合的に勘案して認定すべきものであること。
2 その場合、1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所
 において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数の
 おおむね4分の3以上である就労者については、原則として健康保険及び厚生年
 金保険の被保険者として取り扱うべきものであること。(以下略)
--------------------------------------------------------------------------

1.「55年内かん」ってこんなの++++++++++++++++++++++

「55年内かん」は、社会保険の適用範囲、特にパートタイマーが社会保険に加入で
きるかどうかの基準を定めたものです。

ここでは、引用した「内かん」の2にあるように、「1日または1週の所定労働時
間」および「1月の所定労働日数」が、いわゆる正社員の「おおむね4分の3以上」
である場合に、「原則として」社会保険に加入することが定められています。

これが、いわゆる「4分の3基準」と呼ばれるもので、現在でも実務ではこれに基づ
いて取り扱われています。

ところで、「55年内かん」とは何かについて、そろそろ説明しないわけにはいかない
でしょう。

「55年」とは、昭和55年に出されたというだけなので、これ以上は説明不要ですね。

では、「内かん」とは何かというと、上位の行政機関が出した内部的な定め、通達
というような意味です。本来は行政内部の指示にすぎないものなのですが、行政の
実務がこれに従うため、事実上の「正解」として機能しています。我々社労士も、
以下のような議論があることは承知の上で、(いや、知らない人もきっといるので
すが・・・)そのまま説明で用いることがほとんどです。

「正社員の4分の3未満しか働かないのであれば、社保には入れられませんよ」と。


2.ここが変だよ「55年内かん」+++++++++++++++++++++++

しかし、すでに述べたように、このような取扱いについては、批判があります。

たとえば、そもそも法律では、「日々雇入れられる者」というような労働契約の期間
による適用除外が定められているにすぎないにもかかわらず、内かんのような行政内
部の文書で労働者の権利が阻害されるのはけしからん、というものです。

しかし、この手の批判は、法学的な観点によるものですので、一般の人には、それほ
ど問題とは思わないかもしれませんね。

社労士のような実務家としては、その基準のあいまいさに難儀します。内かんをよく
読めば明らかなように、「おおむね」とか「原則として」といった、例外があること
をほのめかすような語句が含まれているためです。

実際、必ずしも労働時間的には不足している場合でも加入していることは、ままあり
ます。が、ギリギリラインのところでは、特に年金事務所から何か言ってくるという
ことは、私の経験ではありません。

おもしろいところでは、「租税法律主義」に反するというものもあります。これは、
社会保険の適用範囲が社会保険料にかかわるところに注目した議論です。

このような問題点を抱えながらも、55年内かんは30以上の長きにわたって実務上の基
準として機能して今日に至ります。


3.30年以上運用された「55年内かん」と法改正++++++++++++++++

このように55年内かんが長期間運用され続けたことには、この内かんがそれなりに現
実に促していたという事情もあるように思います。

また、その法律的な妥当性はともかくとして、基準があればそれに則した雇用慣行が
進みます。それが長期にわたったため、現在では社会に定着したといっていいような
状況があるのも事実でしょう(この点をとらえて「慣習法」となっているという説も
あります)。

しかし、55年内かんが前提としていたであろう雇用状況は、現在に至っては大きく異
なるものとなりました。

そのため、平成24年の法改正により、大企業において社会保険の適用範囲が拡大され
ることが決まっています。

すなわち、平成28年10月から、従業員 501人以上の企業について、(1)週20時間以
上、(2)月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)、(3)勤務期間1年以上、
(4)学生でないこと、の要件を満たす従業員を社会保険の適用対象とするものです。

今月でこの法改正の施行まで1年を切りました。この記事を書こうと思って資料を集
めるまで、私もまだ先のように思っていましたが、この改正への対応は労働条件の見
直しも伴うと考えられますので、方向性についてそろそろ検討すべき時期が来ている
と言えるでしょう。

ところで、社会保険の適用対象範囲の拡大の問題は、会社の社会保険料負担の問題で
もあります。「非正規労働者の保護のための法規制を強化する場合には、労働市場に
おける副作用や反作用が生じうることにも十分に注意する必要がある」(後掲菅野)
といった指摘は、パートタイム労働者への社会保険の適用対象の拡大についても、考
慮される必要があるでしょう。


参考文献:
・木下秀雄「『被用者保険加入の権利』の視点からみた2012年厚生年金適用『拡大』
 法改正-1980年内かんの批判的検討と今後の課題」労働法律旬報1843号
・菅野和夫「労働法」弘文堂

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 発行者:MORI社会保険労務士・行政書士事務所
    代表 森 慎一
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