知的財産と調査

「Fタームの使い方、調査はAIで可能?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
平成31年2月18日

            知的財産と調査
                            第48号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 本メールマガジンでは、

 弁理士である著者が、知財に関するニュース、セミナーの情報、書籍の
 紹介の他、特許調査等で役立つ実務上のテクニックをお伝えします。

----------------------------------------------------------------------
■弁理士の角田 朗です。メルマガを第48号を発行しました。

本号のメニューは以下になります。
本号もよろしくお願いいたします。

■Fタームの使い方
■調査はAIで可能?
■知財の書籍紹介
■編集後記
___________________________________

■Fタームの使い方
___________________________________

Fターム(FT)を使うときに、FIやIPCと同じように、FTにキーワードを掛けて
使用している方もおられます。
この検索のやり方も間違いではないのですが、FTとFTを掛ける方法もあります。

Fタームは発明の構成・構造だけでなく、明細書の実施例、目的、効果、用途等
についても分類されています。
そして、特許分類を用いれば、同義語等の違いを気にすることなく調査できます。

具体的には、AとBからなる目的Cの発明であれば、以下のような多面的な検索も
可能です。なお、FT(A)等はA、B、Cに関係するFT、キーワード(KW)等です。

FI(A)×KW(B)
FT(A)×KW(B)
FT(A)×FT(B)
FT(B)×FT(C)
FT(A)×KW(C)
・・・・・

実際には、このような多面的な検索式ができていないことが多いです。


それから、関係するFTについて、キーワードやFTを掛けずに丸々調査したから、
安心、調査完了などと言われる方もいます。しかし、FTは30万以上に細分化され、
かつ実施例に付与される場合もありますので、付与漏れもあります。

関係するFTを全て調査したから大丈夫、とはなりません。

AIなど検索の自動化が進みつつありませんが、人が同義語や特許分類を指定して
検索しなければならない場面が、必ずあるはずです。

調査には、多観点、多面的な検索が必要です。
___________________________________

■調査はAIで可能?
___________________________________

先週、知的財産協会のシンポジウムに参加しました。
https://ameblo.jp/123search/entry-12440579739.html

そのパネルディスカッションの中で、主に調査系からAIが導入されると言う
意見も出ました。
AIが調査系に導入されるのは確かでしょうが、AIで調査をできるかと言えば、
かなり疑問があります。

ブログに書きましたが、ノイズ除去したり、似た図面を探したり、統計的な
処理を行うのはAI・コンピュータの得意分野です。
しかし、請求項や明細書の実施例を読み、特許の権利範囲や技術的思想を
理解するのは、コンピュータには不可能です。

調査の一番の肝は、発明・技術の理解と、ノイズ除去後、残った公報を読んで
判断、選択する部分です。ノイズ除去は新人にもできます。

そして、文章が読めず、意味を理解できないと特許調査はできません。
https://ameblo.jp/123search/entry-12439132744.html

実際にお客さんからの苦情で最も多いのは、検索式ではなく、関連性の低い
公報を高い評価で報告しているケースです(一致点と相違点の認定誤り)。

AIは文章の意味を理解できませんので、あくまで人間のアシスタントに留る
でしょう。
___________________________________

■知財の書籍紹介
___________________________________

1.「著作権判例百選 第6版」
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641115422
第5版刊行以降の重要判例を掲載するとともに、掲載判例・配列等を見直して
います。

2.「ジュリスト2019年2月号」
http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/020170
TPP関連法案について、知的財産法分野と独占禁止法分野の改正に焦点を絞り、
改正の経緯や内容、さらに実務上の対応について検討を加えています。

3.「発明の容易想到性・進歩性の判断基準-事例研究-」
http://books.chosakai.or.jp/books/catalog/30350.html
日・米・欧の特許庁の進歩性判断基準の対比の他、審査基準と判決について
検討を重ねた結果を、特許実務に反映できる形でまとめたとのことです。

4.「東弁協叢書 Q&A商標法律相談の基本」
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/103495.html
商標に関する法律相談を、企業の事業段階(商品名の検討段階、商品化段階、
市場導入段階、事業発展段階)ごとにQ&Aで解説しています。

5.「競争力を高める機械系特許明細書の書き方」
https://www.hanketsu.jiii.or.jp/store/top_f.jsp
機械系明細書の作成における一般的な注意事項のほか、代表的な機械部品に
関する明細書等の作成方法を紹介し、外国出願を意識した場合の注意事項に
ついても紹介しています。

6.「実務家のための知的財産権判例70選 2018年度版」
https://www.hanketsu.jiii.or.jp/store/top_f.jsp
2017年度に出された知的財産権に関連する裁判の判決から、注目の判決を掲載
しています。判決を、事実関係 争点 裁判所の判断 実務上の指針の4つの視点
から解説されています。

7.「週刊エコノミスト 2019年2/19号 弁護士・会計士・弁理士特集」
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190219/se1/00m/020/048000c
進化する弁護士・会計士・弁理士が特集されています。
エコノミスト誌で弁理士が採り上げられたのは、初めてと思います。
士業による起業が増えたこと、企業内弁護士等が増えたこと、知財部のない
ベンチャー支援が弁理士の重要な業務となることなどが書かれています。
___________________________________

■編集後記
___________________________________

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

1月、2月は各種セミナー・シンポジウムが多く開催される時期で、自分も
いくつか参加しました。

最近、部下の指導やお客様の対応といった管理業務が増えて来ています。
しかしながら、専門的な仕事では技術や新しい手法を一生勉強することが
必要です。

幸い、新しいことを学ぶのは苦にならないので、今のところ経営者、
マネージャーに徹することなく、何とか両立できているように思っています。

なお、知財高裁の所長は、マネージメントが半分、裁判長が半分です。
自分もマネージメント半分、実務半分を心がけています。

ご感想・ご意見等、ありましたら、いつでもご連絡下さい。
                              (角田)
___________________________________

メールマガジン「知的財産と調査」

☆発行責任者:角田特許事務所
☆公式サイト:http://www.tsunoda-patent.com/
☆問い合わせ:info@tsunoda-patent.com/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001621127.html

知的財産と調査

発行周期: ほぼ 月刊 最新号:  2019/02/18 部数:  236部

ついでに読みたい

知的財産と調査

発行周期:  ほぼ 月刊 最新号:  2019/02/18 部数:  236部

他のメルマガを読む