BOMB書店☆静かなる読書

BOMB書店☆静かなる読書 No.292


カテゴリー: 2018年11月11日
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            - 市川裕子劇場 - 
                                                    No.292
                                                                                                        
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市川裕子の詩や物語を紹介する「BOMB書店☆静かなる読書」です。
■発行者プロフィール ⇒ http://ichikawayuko.com/


こんにちは☆ 発行者の市川裕子です。

毎週日曜日に、市川裕子の描く、

様々な作品をお届けするメルマガです☆

私は、詩を中心とした創作活動をしていますので、

小説は、「詩的なものを物語化している」と思っていただけたら、

分かりやすいかと思います。

現在は、「オレンジとアップルと9cm王国」をお届けしています☆

オレンジとアップルという二人が、

屋敷を取り囲む塀を作り、部屋の壁に絵を描いたことから、

白いネコのキャロルが行方不明になるという事件が起こります。

そして、何かの異変により太陽が出なくなり、

暗闇の中をいろんな人物たちが彷徨います。

支配していた者たちが囚われ、

囚われていた者たちが逃げ出すなど、

それぞれが、それぞれの目的で動き回り、

そして、いろんな出会いを経験していきます。

さて、太陽は戻るのか?

オレンジとアップルは、キャロルを捜し出すことができるのか?

どうぞ、お楽しみくださいませ☆


☆前回のラストシーン☆

こんなに震えているのに、
なぜ、希望を失わないのだろうと思う。
瓶詰め鳥に寄りかかっている8の鍵ですら、
何かの信念を持っているかのように見える。
赤い鳥は頷く。
瓶詰め鳥は、ホッとする。
「ありがとう」
赤い鳥は答える。
「君を信じる」

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【★】「オレンジとアップルと9cm王国」  第四部  
 ☆    第百八章  瓶詰め鳥と赤い鳥の運命 ☆ 
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風が唸りを上げて吹き付けてくる。

どちらの方向から風が吹いてくるのか。

風は、四方八方から強くなったり弱くなったりしながら吹き続ける。

まるで、渦を巻くように。

その風に煽られているかのように、
塀は、キシキシと更に揺れる。

赤い鳥は、真上を見上げた。

どこまでも暗い空。

夜の暗闇とは違う、誰もいない、誰も呼吸しない世界。

だが、その暗闇の中で、
支配者L氏と思われる笑い声が風に乗って響いてくる。

「アー、ハッハッハ! オー、ホッホ!
ウー、フッフッ、へー、ホッホ! 
ヒャー、ホッホ、フー! 
私は、支配者である! 
私は、支配者である! 
私は、支配者である!」

「さあ」
と瓶詰め鳥が促す。

赤い鳥は羽を動かす。

とにかく、
支配者L氏の居場所と塀が揺れている原因を探そうと、
赤い鳥は考えたのである。

だが、その時だった。

風に乗って、別の喚く声が聞こえたのである。

あの支配者L氏の笑い声とは違う声だ。

「…私は、ドクターJ・ジョーカーだ! 
私が支配者だ! 
私が創造主であり、支配者であるのだ!」

赤い鳥と瓶詰め鳥は、顔を見合わす。

「お前か? 十五番目の部屋にいたのは? 
私は、ドクターJ・ジョーカーだ! 
ジャック・ジョーカーだ! 
お前は、私の屋敷に住み付いていた奴だな?」
 
そして、その声は、更に大きくなり、
「私は、ジャック・ジョーカーだ!」
と連呼する。

その声を聞きながら、
「あの声は、間違いなくドクターJ・ジョーカー氏だ」
と赤い鳥は呟く。

「…二人? 支配者が二人?」
と瓶詰め鳥は、訳が分からないという顔で赤い鳥に聞く。

「僕にも分からない。
僕は、L氏は知らない。
だけど、ドクターJ・ジョーカー氏は知っている。
ドクターJ・ジョーカー氏は、僕を作った人だからね」
と赤い鳥は答える。

「え?…君は…」
と瓶詰め鳥は次の言葉を呑み込む。

「そうだよ。
僕は、作り物。
ドクターJ・ジョーカー氏が作ったものなんだ」
と赤い鳥は答える。

「…」
 
瓶詰め鳥は、赤い鳥を見詰める。

「僕は、ドクターJ・ジョーカー氏の屋敷の中の
一つの部屋の中で作られ、育てられたんだよ。
でも、本当は、
ドクターJ・ジョーカー氏が作ったんじゃないって思ってる。
彼は、命令しただけなんだ。
本当に僕を育てたのは、ダルエスなんだよ。
ダルエスが僕を作ったんだ。
僕は、そう思っている」

「…」

「誰だって、どこから産まれたなんて、
本当は分からないじゃない? 
自分が産まれたところなんて、
見ていないし、覚えていないしね。
最初に、君の親は私だよと言われたから、
親だと信じているだけでしょ? 
僕は、ドクターJ・ジョーカー氏に作られた鳥だと言われたけれど、
…でも、僕は、ダルエスに作られたダルエスの鳥なんだって思っているんだ」

赤い鳥は、思わず、
瓶詰め鳥に言ってしまったことを少し恥ずかしく思い、俯いた。

瓶詰め鳥は、しばらく、目をパチパチと瞬きさせてから、
「その通りだよ。ダルエスだって言ってたもの。
あの黒い手の大きな人。
あの人は、君のことを私の鳥と言っていたもの。
君は、ダルエスの手によって産まれたんだよ」
と言った。

瓶詰め鳥の横で、8の鍵も頷くように寄りかかる。

「…ありがとう」
 
赤い鳥は、自分が抱いていた一つの問題が解けたようで、
心が軽くなったような気がした。

だが、暗闇に、風に乗って二人の叫び声が永遠と続き、
塀も、キシキシと音を立てて揺れている。

「この塀を揺らしているのは誰なんだろう? 
L氏なんだろうか?」

「ドクターJ・ジョーカー氏なんだろうか?」
 
その問いに答えるかのように、
更に遠い暗闇から、
ひどく低い地鳴りのような声が聞こえてきた。

風に乗って、はっきりと。

「ジャック・ジョーカー! 
この屋敷は、私のもの。
我が名は、ジャック・ジョーカー!」
 
その声を聞いた瞬間、瓶詰め鳥と赤い鳥は、目を見開いた。

二羽は、同時に叫び声を発した。

「泥人間!」
 
次の瞬間に、シュッと赤い光が立ち昇った。

あの花火のような光である。

「あ!」
と赤い鳥が声を上げた。

「どうしたの?」
と瓶詰め鳥が聞く。

赤い光がまた、シュッと立ち昇る。

続けて、同じ所に光が立ち昇ったのである。

「あ! やっぱり!」
と赤い鳥は小さく叫ぶ。

「どうしたの?」
とまた、瓶詰め鳥が聞く。

赤い鳥は、瓶詰め鳥からは見えない方の空を見ているのだ。

赤い鳥は、瓶詰め鳥の目を見る。

「見えたんだ。あの、妙に先の尖ったポールが」

「え?」
 
瓶詰め鳥は思い出す。

妙に先の尖ったポールを。

L氏の屋敷の窓から見えていたポールを。

鳥たちが集まっていたポール。

窓から落ちた時に、目の端っこに見えたポール。

「妙に先の尖ったポールがあるということは、
L氏の屋敷があり、
L氏の声が聞こえるのも当然なのか…」
と瓶詰め鳥は呟く。

「え? 妙に先の尖ったポールがある場所は、
ドクターJ・ジョーカー氏の屋敷だよ。
君は、ドクターJ・ジョーカー氏の屋敷にいたの?」
と赤い鳥は、驚いて聞く。

「僕は、L氏の屋敷にいたんだ。
L氏の部屋の窓から、
妙に先の尖ったポールが見えていたんだよ」
と瓶詰め鳥は答える。

「…ということは、ドクターJ・ジョーカー氏とL氏は、
同じ屋敷に住んでいたということになる…」
と赤い鳥は、呻くように呟いた。

「ジャック・ジョーカー! 
この屋敷は、私のもの。
我が名は、ジャック・ジョーカー!」
 
遠くの闇から聞こえてくる声は、明らかに、泥人間の声である。

瓶詰め鳥と赤い鳥は、見詰め合う。

「ということは…泥人間は?」

「ジャック・ジョーカー! 
この屋敷は、私のもの。
我が名は、ジャック・ジョーカー!」

瓶詰め鳥と赤い鳥は、お互いの目を見ながら、
思考を回転させる。

「妙に先の尖ったポール。
そのそばにある屋敷に、
L氏とドクターJ・ジョーカー氏と泥人間がいる? 
いや、違う。
どの声も、違う場所から聞こえる。
どういうこと?」
 
瓶詰め鳥と赤い鳥は、
お互い、答えのない質問を投げかけ合う。

二羽は、どうすればいいのか混乱する。

塀は揺れる。

キシキシと。

その揺れは、だんだん大きくなっていく。

二羽は、この塀を
L氏とドクターJ・ジョーカー氏と泥人間が揺すっているのかと考える。

それぞれ違う場所で。

塀のどこかで。









To be continued. 

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【★】編集後記
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「市川裕子の聖なる創作空間」

「HOUSE OF D」vol.29で

発表する新作詩集と短編小説のアートブックが

先ほど、出来上がりました。

と言っても、

コラージュだけですが。

ここから、

「海賊本」と呼んでいるアートブックに

作り上げるんですね〜

でも、あと少し。

その「HOUSE OF D」vol.29の 日程は、

2018年 12月8日(土)〜11日(火)

時間は、12時〜20時。

場所は、「風花」。

ジャズ音楽が流れるカフェ・バーです♪

http://www.yakuoji.net/fuka.html


DMは、もうそろそろ出来上がるかな?

詳細は、
流星ラビットパンチ」のブログに
アップしていきます〜


http://ameblo.jp/rabittpunch/





それでは、また次回!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪


「オレンジとアップルと9cm王国」は、
2013年8月25日から第一部開始、
2014年7月20日〜2015年7月19日までが第二部。
2015年7月26日〜2016年10月16日までが第三部。
そして、2016年10月23日から第四部を開始しています。

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