F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

【F.M.Letter No.162】

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.162◇
 2019年2月17日(火)[和暦 十五日]発行
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◆ F.M.豆知識  おにぎりとサンドイッチへの支出額の比較
◆ O.カレント  山田 みきさん(笑むすび∞)
◆ ほんのさわり 増淵 敏之『おにぎりと日本人』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 和暦では正月十五日(小正月)。この日に小豆粥を頂くのは、小豆の朱色が邪気を払うとされているためとのこと。二十四節気では雨水(うすい)、雪から雨に変わる時候を指します。
 和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している拙メルマガ、今号は睦月十五日の配信です。
 おにぎり(おむすび)特集になりました。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/mame/

-おにぎりとサンドイッチへの支出額の比較-

 食の外部化・簡便化が進むなか、家計における調理食品(いわゆる「中食」)への支出額も増加しています。
 リンク先の図115は、調理食品の内、おにぎりとサンドイッチのへの支出が苦を年階級別、地域別に図示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/02/115_onigiri.pdf

 これによると、2人以上世帯における1ヶ月のおにぎり(赤飯等を含む。)への支出額は4,500円と、サンドイッチ(ホットドッグ等を含む。)への支出額(5,353円)に対して84%となっています(2018年)。

 この状況を都市階級別にみると、おにぎり、サンドイッチへの支出額ともに大都市から小都市・町村に向けて減少していますが、両者の差は次第に縮小することが分かります。

 また、この状況(両者の比率)は地域別にみても特色があり、東北(特に盛岡市、仙台市)、中国(岡山市)、四国(松山市、高知市)ではおにぎりへの支出額がサンドイッチへの支出額を上回っています。これら地域では、相対的にサンドイッチよりもおにぎりを好む傾向があるようです。
 さらに特徴的なのは沖縄で、おにぎりへの支出額はサンドイッチへの支出額を65%も上回っています。これは、沖縄においては米生産が盛んではないことに加え、ポーク卵おにぎり、油味噌おにぎりといった特色あるメニューがあるためかも知れません。

[資料]
 総務省「家計調査」(家計収支編、2人以上の世帯、2018年)
 https://www.stat.go.jp/data/kakei/

◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/pr/

-山田 みきさん-

 おむすびのケータリング事業等を行う「笑むすび∞」(わらいむすび、笑むすび合同会社)代表の山田みきさんは、福島・会津喜多方市の米農家のご出身。
 かつて「どうしたら人は幸せでいられるんだろう」と地球一周を目指したこともある山田さん。現在はバックパックに「コメ」と「ユメ」を詰めた「ライスパッカー」として、おむすびを通して人と人、笑いと笑いをむすぶ活動を展開されています。

 山田さんがおむすびのケータリング事業を始められたきっかけは、2011年3月の東日本大震災と原発事故でした。
 故郷・福島が元気を失ってしまったなか、「今の私にできることはなんだろう」と考え抜いた末、その答は日本人の食の基本「お米」にあることを発見。福島のお米が安心で美味しいことを、おむすびを作って伝える取組みを始められたのです。

 山田さんのおむすびは、実家である農業法人(有)やまだズ。の特別栽培米のご飯に、東北各地の具材を細かく刻んで混ぜるというスタイル。
 「青のり紅しょうが」「揚げ玉いぶりがっこ」「しじみ潮だしわかめ」など、お洒落でユニークなものも多く、今までにない味わいが楽しめます。地域の伝統的な食文化を、現代的にアレンジ・再現しています。
 なお、2013年に公開されたドキュメンタリ映画「生きてこそ」は、昔話の語り部である山田さんのお祖母様を主人公に、会津盆地での米作りや暮らしの様子を描いたものです。

 「笑むすび∞」は注文を受けてのケータリングのほか、様々なイベントにも出品されています。
 去る2月16日(土)に開催されたふくしま有機ネット交流サロン in 東京(福島県有機農業ネットワーク主催)の際にも、山田さんの美味しいおむすびが会場を彩ってくれました。

 日本人のソウルフード・おむすびは、人のこころをほどき、世界の「人」と「笑い」をむすび、地球を元気にする可能性さえ持っていると語る山田さん。
 山田さんのアイディアと真心が込められたおむすび、ぜひ、賞味してみて下さい。

[参考]
 笑むすび∞ ~OMUSUBIで地球をむすぶ~
 https://waraimusubi.com/
 農業法人(有)やまだズ
 https://www.yamadazu4410.jp/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/br/

-増淵 敏之『おにぎりと日本人』 (2017.12、洋泉社y 新書) -
 http://chiikizukuri.gr.jp/blog/2017/12/01/1816/

 法政大学教授である著者の専門は「コンテンツツーリズム」。コンテンツ(作品)を通じて醸成された地域の物語性を、観光資源として活用することだそうです。
 マンガに出てくる料理の再現レシピ集を出したことをきっかけに作品と食との関係に興味を持ち始めたという著者が、最近、最も注目しているのが「おにぎり」だそうです。

 おにぎりは、米と具材、海苔のシンプルな組合せながら、様々な形、豊かな地域特性を反映した食材など、創造性に満ち溢れているとのこと。

 最古のおにぎりは弥生時代の遺跡(石川・中能登町)から発掘されていること、米をまとめる(むすぶ)行為は一種の祈祷であった可能性があること、鎌倉時代以降は戦時の携行食として普及した等の歴史が語られます。
 そして1970年代にコンビニが登場することによって、おにぎりは国民食としての地位を固めました。現在、コンビニでは年間60億個(!)ものおにぎりが販売されているそうです。

 また、冷たいものを手づかみで食べるという食習慣は、日本特独特のものだったそうですが、おにぎりが登場する日本製アニメ等を通じて、今やおにぎりはアメリカやアジアに進出、現地化されているそうです。

 さらに、おにぎりが登場するアニメ(『千と千尋の神隠し』等50本近く)について分析し、おにぎりは一緒に食べる相手との関係を象徴する食べ物であるとしています。つまり、手で握るおにぎりを食べることは、信頼関係に基づく身内と他人との線引きになっているというのです。

 巻末近くには、全国各地のオススメおにぎり店や美味しいおにぎりレシピの紹介もあります。
 そして最後に著者は「おにぎりを食べることは日本の食の歴史を知ることであり、その地域の特色を味わうことでもある。これほど豊かな食べものを楽しまない手はない」と「むす」んでいます。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ イベント(2/17)に寄せる思い[2/14]
 http://food-mileage.jp/2019/02/14/blog-175/

○ 林薫平先生「福島の漁業は今」[2/18]
 http://food-mileage.jp/2019/02/18/blog-176/

 筆者主催のイベント「空が青いからお寿司を巻くんです」(2/17)に参加して下さった皆さま、関心を持って頂いた皆さま、有難うございます。
 結果は追って拙ブログで紹介させて頂きます。
 https://www.facebook.com/events/554343368388966/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 廃線の危機からv字回復-その実例に学ぶ
 日時:2月22日(金)18:00~22:30
 場所:なみへい-全国うまいもの交流サロン(東京・神田)
 主催:なみへい-全国うまいもの交流サロン
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/789684441374161/

○ ☆森の食卓 早春のんびりbar☆ 今回はアフリカンnight
 日時:2月23日(土)18:00~21:00
 場所:森の食卓(東京・三鷹市井の頭)
 主催:森の食卓
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/380834192693837/

○ 都市だから農業!
 日時:3月2日(土)14:00~16:00
 場所:生活クラブ館(東京・経堂)
 主催:CSまちデザイン
 (詳細、お問合せ先等↓)
 http://cs-machi.com/?p=4102

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*今号のコツコツ小咄
「雪道のドライブは、ドブ板選挙に似てるね」
「えっ、どういうこと?」
「チェーン(地縁)が欠かせませんから」

 コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
 http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号 No.163は3月7日(木)[和暦 如月朔日]の配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
  https://archives.mag2.com/0001579997/
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  http://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
  http://food-mileage.jp/category/blog/
 発行システム:『まぐまぐ!』 
  http://www.mag2.com/

F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

発行周期: 月2回(和暦の1、15日:新月とほぼ満月の日)に発行します。 最新号:  2019/03/21 部数:  137部

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発行周期:  月2回(和暦の1、15日:新月とほぼ満月の日)に発行します。 最新号:  2019/03/21 部数:  137部

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