F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

【F.M.Letter No.160】

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.160◇
 2019年1月20日(日)[和暦 師走十五日]発行
────────────────────
◆ F.M.豆知識  食事の楽しさと食行動との関連
◆ O.カレント  八幡名子さん
◆ ほんのさわり 早川タダノリ『まぼろしの「日本的家族」』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
────────────────────
 今日から大寒。二十四節気の最後で一年で最も寒い季節を迎えます。インフルエンザも猛威も流行、どうぞ身体をに気を付けてお過ごし下さい。
 和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している拙メルマガ、今号は 師走十五日の配信です。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータを今年もコツコツと紹介していきます。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/mame/

-食事の楽しさと食行動との関連-

 食事の楽しさは、食に関わる行動と関連しています。
 山梨県都留市内の全公立小学校8校の小学校4・5・6年生児童及び全公立中学校3校の生徒を対象とした研究では、食事の楽しさ(いつも楽しく食事しているかどうか)と、食行動の有無との関連が明らかになっています。

 これによると、ほぼ毎日、夕食を共食している児童・生徒のうち73.2%が「いつも楽しく食事している(○)」とし、26.7%が「そうでない(×)」(○-×のポイント差46.3)となっているのに対し、ほぼ毎日、夕食を共食していない児童・生徒では53.2%が○、46.8%が×(ポイント差6.5)となっています(リンク先の図113参照)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/01/113_tanosisa.pdf

 また、食卓での会話については、ある児童・生徒はポイント差54.1に対して食卓での会話がない児童・生徒は26.3となっており、ほぼ毎日、食事作りを手伝う児童・生徒は47.5に対してそうではない児童・生徒は30.9等となっています。

 この研究成果は、子どもの食育にとっては家庭の役割が重要であることを示唆しています。
 国の2017年度食育白書においても、「家族が食卓を囲んで共に食事をとりながらコミュニケーションを図ることは食育の原点であり、共食を通じて、食の楽しさを実感するだけでなく、食や生活に関する基礎を習得する機会にもなっていきます」と、家庭や家族の役割の重要性が強調されています。

 ただし、食育と「家族」との関連については、留意する必要がある見解もあります(「ほんのさわり」欄参照)。

[資料]
 西中川まき他「小学4・5・6 年生児童および中学1・2・3年生生徒における食事の楽しさと食行動との関連:横断研究」『健康支援』第20巻1号、2018
  http://jshp.umin.jp/journal/20_1_27.pdf

 平成29年度食育白書
  http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h29_index.html

◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/pr/

-八幡名子さん-

 八幡名子(やはた・めいこ)さんは大阪府の出身で現在の八王子市在住。
 美術大学を卒業し映像の制作・編集に携わる一方、「食べる通信」や「ポケットマルシェ」を通じて全国の農家や漁師さんと出会い、あるいは地元の伝統野菜等の生産者の方たちと交流する中で、「食」の大切さや楽しさに改めて気付いたそうです。

 名子さんは、それを単なる個人的な「気付き」で終わらせず、多くの人たちに広めていくための様々な具体的な実践につなげられています。
 例えば昨年12月26日(水)に開催された「車座座談会・大忘年会」の際には率先して料理を担当して下さったり、山梨で新規就農した女性のところに手伝いに行ったり。

 また、2018年度巻寿司大使、JSIA(寿司インストラクター協会)認定の飾り巻き寿司1級インストラクターとして、首都圏を中心に巻き寿司教室を開催されています。
 名子さんによると、巻き寿司は、その1本の中に食材に関わった生産者の方の思いや地域の伝統を巻き込めるのが魅力とのこと。昨年夏の豪雨被害を受けた広島に何度かボランティアで通われたのが縁で、広島でも教室を開催されたそうです。

 「その食材はどこから来たのか」「誰がどんな思いで作ったのか」を考えながら料理をするのが趣味という名子さん。その企画力と行動力で、2019年もますます活躍されることを期待したいと思います。

[参考]
 やはためいこさんInstagram
  https://www.instagram.com/meikoyahata/
 拙ブログ「平成最後の『顔の見える』忘年会」
  http://food-mileage.jp/2018/12/30/blog-168/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/br/

-早川タダノリ編著『まぼろしの「日本的家族」』(2018.6、青弓社)-
 https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234377/

 編著者は1974年生まれ。フィルム製版工などを経て現在は編集者。
 本書においては、近年、自民党の「日本国憲法改正草案」(2012年)に代表される右派の言説において「伝統的家族像」が理想的なものとして推奨されているとし、その事例として、食育の第一人者・H氏(本書中では本名で登場)の以下のような発言(概要)が取り上げられています。

 「昔、朝と晩の二回は一家団欒で食卓を囲んだものでした。みんなで食事をすることこそ家族なんです。憲法は個人だけを強調することで、家族をバラバラにして、その流れの中で食卓も崩壊しているのです」

 しかしながら、日本の家庭では大正末期に卓袱台(ちゃぶだい)が普及するまでは一人ずつの箱膳が使用されていたこと、また、厳格な家族ヒエラルキーの下で食事中は会話をしないことがマナーだったとのこと等が明らかにされます。
 また、サザエさんに代表されるような食事風景が見られるようになったのは、公団住宅が普及する高度経済成長期以降とのことです。

 さらに、「家族の団欒」は、明治20年代から敗戦までの間に国家によって称揚された国策であったそうです。1941年当時の国定教科書では「絵に描いたような三世代同居」の食事風景が掲載されていることも紹介されています。

 本書は、これら近代から現代までの歴史的事実(家族の変遷)をたんねんに追うことにより、「日本的家族とは、幾重にも幻想が積み重ねられた観念フィクション」に過ぎないことを証明しているのです。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 2019年 市民研・新年交流会[1/14]
 http://food-mileage.jp/2019/01/14/blog-169/

○「多謝」-逢坂泰精さんデビュー20周年ライブ[1/16]
 http://food-mileage.jp/2019/01/16/blog-170/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 共奏キッチン♪@自由が丘シェア奥沢
 日時:1月21日(月)18:00~
 場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢3)
 主催:共奏キッチン
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/825430784308674/

○ 脱成長ミーティング 第17回公開研究会
 日時:1月27日(日)14:00~17:00
 場所:ピープルズ・プラン研究所(東京・文京区関口1)
 報告:若森資朗さん(「ソウル宣言の会」)
 主催:脱成長ミーティング
 (詳細、お問合せ先等↓)
 http://umininaru.raindrop.jp/datsuseichou/tuo_cheng_zhangmitingu/di17hui_kai_cui_jiang_zuo.html

────────────────────
*今号のコツコツ小咄
「成人式の会場には、靴を脱いでお入り下さい」
「えっ、なんで?」
「二十歳(裸足)の式典ですから」

 コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
  http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号 No.161は 2月5日(火)[和暦 睦月朔日]の配信予定です。
 和暦でもいよいよ年が改まります。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
────────────────────
◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
  https://archives.mag2.com/0001579997/
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  http://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
  http://food-mileage.jp/category/blog/
 発行システム:『まぐまぐ!』 
  http://www.mag2.com/

F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

発行周期: 月2回(和暦の1、15日:新月とほぼ満月の日)に発行します。 最新号:  2019/02/19 部数:  140部

ついでに読みたい

F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

発行周期:  月2回(和暦の1、15日:新月とほぼ満月の日)に発行します。 最新号:  2019/02/19 部数:  140部

他のメルマガを読む