F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-

【F.M.Letter No.137】


カテゴリー: 2018年02月16日
◇フード・マイレージ資料室 通信 No.137◇
 2018年2月16日(金)[和暦 睦月朔日]発行
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◆ F.M.豆知識   輸入量と平均輸送距離の比較
◆ O. カレント 大塚洋一郎さん
◆ ほんのさわり 水上 勉『土を喰う日々』
◆ 情報ひろば   ブログ更新、イベント情報等
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 明けましておめでとうございます。和暦でも新しい年を迎えました。ピョンチャン冬季五輪では熱戦が続いています。
 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は和暦朔日の配信です。本年も読者の皆さまに有益な情報の発信に努めてまいりますので、よろしくお願いします。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるようなデータをコツコツと紹介していきます。

-各国の輸入食料のフード・マイレージの比較(輸入量と平均輸送距離)-

 総量でみても1人当たりでみても、日本のフード・マイレージの大きさは際立っている ことを前々号、前号で紹介しました(リンク先参照)。
[総量] 
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/89_FM.pdf
[1人当たり]
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/90_FM2.pdf

 フード・マイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせて累積した指標です。
 そこで、輸入食料のフード・マイレージを、輸入量と平均輸送距離に分割して図示したものがリンク先の図91です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/02/91_FM3.pdf

 横軸が食料の輸入量、縦軸が輸入食料の平均輸送距離(フード・マイレージを輸入量で除したもの。)で、長方形の面積がフード・マイレージの大きさを表しています。
 2001年について諸外国と比較すると、まず輸入量は、韓国は日本の約4割にとどまっているものの、欧米各国は5~8割の水準となっており、フード・マイレージほどの格差はありません。

 それにもかかわらず日本のフード・マイレージの大きさが際立っているのは、縦軸で示される平均輸送距離が、欧米各国では日本の2~4割の水準にとどまっているためです。
 ちなみに日本の輸入食料の平均輸送距離は約1万5千km ですが、これはニューオーリンズ港から東京港までの海上輸送距離の約9割に相当し、直線距離では東京からアフリカ大陸南端のケープタウンまでの距離にほぼ等しくなります。

 つまり、日本の食料輸入を特徴づけているのは、その量の大きさもさることながら、諸外国に比べてかなりの長距離を輸送されてきているということにあると言えるのです。

 ところで、日本については2010年、2016年のデータも記載してあります。
 近年の食料価格高騰の影響を受けて輸入量が減少することによりフード・マイレージは縮小しているものの、平均輸送距離はやや長くなっている状況がみて取れます。

[参考]
 中田哲也『フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える』([新版]2018.1、日本評論社)pp.116~117(イラストで掲載されています。)
 https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7625.html

◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。

-大塚洋一郎さん-

 大塚洋一郎さんは1954年、東京・府中市のご出身。
 北海道大学大学院修士課程(原子工学)を修了後、旧科学技術庁に入庁し、国際課長、文部科学省宇宙開発利用課長等を歴任。その後、経済産業省に出向され、大臣官房審議官(地域経済担当)として農商工連携促進法の制定と運用に参画されていましたが、一大決心して2009年に早期退職され、NPO法人農商工連携サポートセンターを設立されました。

 大塚さんは「公務員からNPOに転じて一番良かったことは、人に感謝されるという実感があること。それまでモノクロームだった人生は、NPOの活動を始めてからはフルカラーになった」と語っておられます。

 農商工連携サポートセンターのミッションは「農商工連携による地域の雇用創出-地域に元気を!食と農の新しい出会いをサポートする!」。
 その具体的な取組みのひとつが「ちよだいちば」(東京・神田錦町)です。全国の市町村の特産品を販売するアンテナショップで、お客さんは近隣に勤める女性会社員などで多くがリピーターとのこと。ここに出店する市町村は月替わりで、毎月、異なった地域の特産品を購入することができ、特産品を使ったお弁当も販売されています(毎日25食限定)。
 また、その期間内に「○○町のちょい飲み」等と称するイベントを開催し、特産品を実際に味わいつつ、生産者と都会の消費者が直接交流できる場を設けられています。
 さらには、定期的に希望者を募って都会から産地の農作業体験等に出かけるツアーも開催しており、都会と地方との間でヒトとモノ双方の流れを作るというユニークな活動をされているのです。

 また、コンサルタント業務も重要な活動になっています。
 国の交付金制度等も活用し、都市農村交流を通して所得や雇用を増やそうという地方自治体等の相談に乗り、多くの実績を上げています。

 大塚さんは、「食」とそれを支える「農」が、都市と農村の交流のきっかけになるとされます。
 「今、都会人は、再び農とつながることを求めている」と、大塚さんは実感されているそうです。

[参考]
 特定非営利活動法人 農商工連携サポートセンター
  http://www.npo-noshokorenkei.jp/
(拙ブログより)
 大塚洋一郎さん講演会「食農交流で地方を元気に!」(2018.1/11)
  http://food-mileage.jp/2018/01/15/blog-72/
 ちよだいちば「下関ふく飲み大会」(2018.2/7)
  http://food-mileage.jp/2018/02/11/blog-80/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。

-水上 勉「土を喰う日々-わが精進十二ヵ月」(新潮文庫、1982/8)-
 http://www.shinchosha.co.jp/book/114115/

 著者は1919年、福井・本郷村(現おおい町)生まれ。『飢餓海峡』『雁の寺』『華岡青洲の妻』等で著名なベストセラー作家で、2004年に逝去されました。
 生家は貧しかったために9歳の頃から京都の禅寺に修業に出され、16~18歳の頃には典座(てんぞ、禅宗寺院で食事を司る役職)を務め、精進料理の作り方を覚えたそうです。

 本書の各章は月ごとになっており、調理をする著者の姿とともに、旬の素材を用いた料理の写真がふんだんに掲載されています。
 例えば、蕗の薹のあみ焼き(2月)、こごめの胡麻和え(3月)、筍としょうがのいためもの(5月)、しめじの淡味炊き(9月)、山芋のまる焼き(12月)など。

 著者によると、精進料理とは「畑と相談し、土にいま出ている旬の菜を用いること、つまり、土を喰うもの」とのこと。「台所は土と結びついていなければならない」ともされています。
 そして「万物枯死の真冬、貯蔵庫から撫でさすりながらとり出した芋のありがたさ」(1月)。「ひとにぎりのよもぎの若葉や芹の葉に、いじらしくて涙がこぼれてくる」(4月)といった記述もあります。

 さらに「調理の時間は、じつはその人の全生活がかかっている一大事」「いかに食事をつくり、いかに心をつかうか、工夫するか、の行為は、人間のもっとも尊い仕事」であるとし、また、食事をする時には「食べものを料理した人たちの苦労を思い、その食をいただけるありがたさをまず感謝せねばならぬ」「一粒の米も無駄にできぬ」ともされています。

 座右か枕頭に置き、新しい月がめぐってくる度に、その月の章を改めて読み直すという楽しみもある好著です。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 『しあわせになるための「福島差別」論』シンポジウム[2/4]
 http://food-mileage.jp/2018/02/04/blog-77/

○ 夜の対話 Cafe 21[2/5]
 http://food-mileage.jp/2018/02/05/blog-78/

○ 宮沢賢治研究会・第297回例会[2/7]
 http://food-mileage.jp/2018/02/07/blog-79/

○ 美味三題-産地、生産者とつながる[2/11]
 http://food-mileage.jp/2018/02/11/blog-80/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 共奏キッチン♪@自由が丘シェア奥沢81
 日時:2月19日(月)18:00~22:00
 場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢 2)
 主催:共奏キッチン
 (詳細、お問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/964940740347666/

○ 『カタツムリの知恵と脱成長』出版記念エキシビション
 日時:2月24日(土)13:00~18:00
 場所:森の食卓(東京・三鷹市井の頭 5)
 主催:高橋孝予さんほか
 (詳細、お問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/139972253317995/

○ 松山城と源氏ゆかりの吉見を訪ねて
 日時:3月4日(日)10:00~15:00
 場所:東武東上線・東松山駅東口集合
 主催:ECOM エコ・コミュニケーションセンター
 (詳細、お問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/1770157809947243/

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*今号のコツコツ小咄。
「あなた、コツコツなんかやってないで、スケート選手を目指したら?」
「えっ、素質あるかな?」
「滑(スベ)るのは得意でしょ」
 コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
  http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.138は3月2日(金)、[和暦 睦月十五日]の配信予定です。
 より役立つ情報発信に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  http://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
  http://food-mileage.jp/category/blog/
 発行システム:『まぐまぐ!』 
  http://www.mag2.com/

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