映画野郎【無料メルマガ版】

映画野郎【無料メルマガ版】2017.1.13 vol.486

カテゴリー: 2017年01月13日
《映画情報サイト「映画野郎」の「無料」メールマガジン版!! 》

【「まぐまぐ大賞2016」エンタメ部門・3位入賞のメルマガです! ※結果発表ページ⇒http://www.mag2.com/events/mag2year/2016/ 】

映画野郎【無料メルマガ版】  2017.1.13 vol.486

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   INDEX

(1) 特集・野郎魂
 ◆激選! 2016年度「映画野郎」ベストテン特集!! PART2《友情出演編》
(2) ガチンコ!!シネマレビュー
 ■この世界の片隅に ■ネオン・デーモン

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(1) 特集・野郎魂

[※コーナー紹介:ワンテーマを掘り下げる特集企画! 毎年恒例の年間ベストテンアンケート企画の続きです!]
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◆激選! 2016年度「映画野郎」ベストテン特集!! PART2《友情出演編》

毎年恒例、「映画野郎」編集部が選定した、年間ベストテン企画!! 今回は映画野郎をいつも応援していただいている「友情出演者」たち21名の個別ランキングを掲載いたします! 
(※編集部注:友情出演者の方には「ベスト10」ではなく「ベスト5」でもいいという形で、自由選択で回答いただいております)

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【(前号おさらい)2016年度 映画野郎ベストテン!! 】
1位:シン・ゴジラ  80点
2位:この世界の片隅に  66点
3位:ヘイトフル・エイト【R18+】  44.5点
4位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  40.5点
5位:帰ってきたヒトラー  40点
6位:デッドプール【R15+】  31点
6位:シング・ストリート 未来へのうた【PG12】  31点
8位:リップヴァンウィンクルの花嫁  30点
9位:ロブスター【R15+】  27点
10位:セトウツミ  24.5点

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【以下、友情出演者によるアンケート回答 ※到着順】

《ウクレレえいじの2016年ベスト5》

1位:健さん
2位:シン・ゴジラ
3位:ヘイトフル・エイト
4位:ヘイル、シーザー!
5位:鏡は嘘をつかない

■総評:
1位、高倉健は永遠に不滅です。
2位、圧巻。夜空に無数の光線を放つゴジラの場面が凄かった。胸にくる音楽も良かった。映画史に残る名場面だと思った。初上陸した大蛇みたいな動きのゴジラを見て、飼っていた老猫を思いだし、ぶっ倒れる姿に感情移入して泣いてしまった。ずっとゴジラに感情移入していた。スペイン人だらけのスペインの映画館(超満員)で見たのだが、会議の場面はブーイングの嵐。
しかし、ゴジラが出てくるアクションシーンでは物凄い割れんばかりの拍手喝采だった。俺は会議の場面も好きだったけどスペイン人は闘牛好きだから無理もない。世界で通用する数少ない歴史的傑作日本映画。
3位、自分が見たいと思う映画をあの規模でやってしまう凄さ、覚悟。タランティーノは凄い。年々ディープになっていく。閉塞感バリバリの骨太残酷アクションどん底密室劇。
4位、水着で華麗に泳ぎ舞うスカーレットヨハンソンがとにかくセクシー。スカーレットヨハンソンが泳いでる場面だけ2時間ずっと見ていたかった。
5位、ひたすら子供が可愛い。子役の子供じゃなく、地元の子供を使ってるからとてもいい。即興で失恋の歌とかを熱唱する歌の上手い、ませたガキが爆笑する。アジア映画って凄く落ち着く。

◇ウクレレえいじ (お笑い芸人)
ウクレレ漫談とマニアックものまねの名手。『とんねるずのみなさんのおかげでした/細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で2008年に優勝。映画好きが高じて映画製作も手がける。
・ワハハ本舗HP プロフィール⇒http://wahahahompo.co.jp/member_profile/ukuleleeiji.pdf
・ブログ「ウクレレえいじのマニアックでごめんネ!」⇒http://blog.livedoor.jp/ukuleleeiji/

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《まつかわ ゆまの2016年ベストテン》

1位:シリア・モナムール
2位:チリの闘い 第二部クーデター
3位:サウルの息子
4位:この世界の片隅に
5位:永い言い訳
6位:シング・ストリート 未来へのうた
7位:チリの闘い 第一部ブルジョワジーの叛乱
8位:チリの闘い 第三部民衆の力
9位:マイケル・ムーアの世界侵略のススメ
10位:シン・ゴジラ

■総評:
野郎どもよ。「シリア・モナムール」を見たか、「チリの戦い」を見たか。現実と戦うということはこういうことなのだ。
選挙権すらなかった1945年の呉の花嫁すずさんはいやだと声を上げる機会すらなかったのだ。野郎どもよ、声をあげよ。安倍を倒せ。街に出よ。
与党とその傀儡政治家を引きずり落とせ。始まってからでは遅すぎる。始まる前に、止める力を持っていることに気付かないと手遅れになるのだ。それが、16年の映画たちが教えてくれたことなのだ。GIVE PEACE A CHANCE! POWER TO THE PEOPLE!

◇まつかわ ゆま (シネマアナリスト)
映画ライター歴30年。映画から時代を分析すべく、書いてしゃべって教えて30年のシネマアナリストです。16年は久しぶりにラジオに復帰、映画紹介番組を始めました。月~金の夜10時からFM856で「カレイドシアター」やってます。ネットでも聞けます。また、16年は万華鏡誕生200年で、日本万華鏡博物館はスコットランド他各地で行った万華鏡200年展をまとめた本、『万華鏡、故郷へ帰る──灯台と宝島とスコットランド』を出しました。

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《望月苑巳の2016年ベストテン》

1位:ルーム
2位:レヴェナント 蘇えりし者
3位:すれ違いのダイアリーズ
4位:帰ってきたヒトラー
5位:淵に立つ
6位:永い言い訳
7位:ヒトラーの忘れもの
8位:セトウツミ
9位:サウルの息子
10位:緑はよみがえる

■総評:
まず断っておくが、順位というものは極めて恣意的なものだからあまり意味がない。取りあえずつけたことを知っておいて欲しい。
「ルーム」は密室劇にもかかわらず飽きさせないミステリアスさが監督の手腕だと思う。「レヴェナント」は何といってもディカプリオの迫真の演技と実話に基づくドラマティックな展開が特筆もの。「すれ違いのダイアリーズ」はインド映画もこんなハートフルなものも作れるんだという意外さがいい。小さな作品だがこういうものを見落としてはいけない。
「帰ってきたヒトラー」は非常にうまく出来たアイロニーでありコメディだ。人間とはこうして騙されてゆくんだという見本を映画にしてみせてくれた。「淵に立つ」は強烈なインパクトがあった。これも人間の心理の底を見せてくれて秀逸。「永い言い訳」はどこにでもある人間ドラマだが、それだけに共感できるところがミソ。もっくんの演技が素晴らしい。「ヒトラーの忘れもの」は背筋が寒くなる映画。終戦後も死と直面させられる少年兵の哀れが何とも言えない。
「セトウツミ」これはほとんど会話だけで構成された作品だが、セリフのやりとりがまるで漫才のようで飽きさせない。池松壮亮と菅田将暉の掛け合いに脱帽。「サウルの息子」は地味だがとても意味のある映画だ。死の収容所で仲間を死に追いやる人間の心の葛藤がずっと画面いっぱいの顔のアップの表情だけで演出するという意表を突いた撮り方が面白い。「緑はよみがえる」これもモノクロの地味な映画だが、最前線の塹壕の中で死と背中合わせの人間性に焦点を当てた労作。結局映画はどう人間を描くかによって評価されるものだ。

◇望月苑巳 (詩人)
東京スポーツ新聞記者をへてフリーに。詩人。著書は詩集「紙パック入り雪月花」「ひまわりキッチン」など多数。日本現代詩人会理事などをへて日本ペンクラブ、日本文芸家協会会員。

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《佐々木誠の2016年ベスト5》

1位:湯を沸かすほどの熱い愛
2位:君の名は。
3位:シング・ストリート  未来へのうた
4位:トランボ  ハリウッドに最も嫌われた男
5位:下衆の愛

■総評:
上位3本は“野郎”らしくない作品で申し訳ないが、残念ながらこの3本は絶対に外せない。第1位の『湯を沸かすほどの熱い愛』は、宮沢りえや杉咲花ら役者陣の素晴らしすぎる演技に、中野量太監督が描く、伏線を含めた見事なストーリー構成など、どれをとっても一級品で文句なしの傑作だった。
第2位の『君の名は。』は、東宝のラインアップが発表された時から気になっており、観ないとあとで後悔すると直感が働きいち早く鑑賞した作品だ。まさか、ここまでの“おおごと”になるとは思ってもいなかったが。第3位の『シング・ストリート  未来へのうた』は、『ONCE  ダブリンの街角で』や『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督による最新作だが、実は今回が“初カーニー体験”となった。音楽が繋ぐ絆に胸が熱くなり、とにかくその音楽自体が素晴らしかった。
そして、第4位の『トランボ  ハリウッドに最も嫌われた男』は、稀代の脚本家ダルトン・トランボの、まさに生き様を描いた秀作。赤狩りに遭い、名前を狩られながらも、その才能だけは狩られなかったという実話の物語。第5位の『下衆の愛』は、2016年を象徴するような不倫の話などではなく、下衆で下品で下劣な[3下]人間が、映画を作るということに関してだけは純粋で、恋は盲目ならぬ、“映画は盲目”になってしまうという物語。4位と5位はともに、映画愛や人間愛に溢れた作品だった。

◇佐々木誠 (編集者)
映画業界紙「日刊  情報プレス」を編集・発行。日々これ、記者会見や舞台挨拶の現場に出没中。

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《井口健二の2016年ベスト5》

1位:太陽(4月23日公開:PG12)
2位:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(3月25日公開:G)
3位:クズとブスとゲス(7月30日公開:レイティング不明)
4位:デッドプール(6月1日公開:R15+)
5位:バイオハザード:ザ・ファイナル(12月23日公開:PG12)

■総評
試写で観た作品に限定したため、大ヒットシリーズのスピンオフや、日本の怪獣映画は除外した。その中で1位に選んだのは『サイタマノラッパー』などの入江悠監督による前田知大原作、受賞舞台劇の映画化。VFXも絡めたSFの世界観も適切で、インディペンデント出身の監督が日本のSF映画の未来を切り開いた感じがした。
2位は映画の最後の一瞬を見逃してはいけない作品。マスコミ試写は1回しか行われなかったが、そのシーンは目に焼き付いた。試写を観られなかった人の妬みも心地よかった。3位は日本のインディペンデント映画の極致とも言える問題作で、題名に怖気づいた人も多かったようだが、内容は特定の状況を見事に描いたしっかりした作品だった。この監督にも期待したい。
4位は『X-MEN』と『アベンジャーズ』の間に位置する作品だが、今後はどちらに向かうのか、それも楽しみな作品だ。そして5位は、2001年にスタートしたシリーズがようやくファイナルを迎えた感慨にも浸れる作品。前作、前々作に比べると多少物足りなく感じる人もいるかもしれないが、これがこのシリーズの本来の姿なのだ。シリーズを全うした監督と主演女優に敬意を表したい。

◇井口健二 (SF映画評論家)
ここ数年は毎年500本以上の映画を試写で観ている。元々はSF映画が専門だが、観る映画は拘らない。作品は自分のホームページ(井口健二で検索:On the Production)で紹介していますので参考にしてください。

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《安田3号の2016年ベスト5》

1位:シン・ゴジラ
2位:この世界の片隅に
3位:オデッセイ
4位:デッドプール
5位:君の名は。

■総評:
今年の一番はやっぱり「シン・ゴジラ」! 特撮興味ないし…とスルーしてた自分を全力で殴りたい。ゴジラとの戦闘より、会議シーンの方が多いにも関わらず、全く飽きがこないしぐいぐい引き込まれていく。むしろ会議シーンの方が面白い。そして何回観ても無人在来線爆弾のシーンで鳥肌が。
そして「この世界の片隅に」。映画館でボロ泣きした。過酷な環境だからこそあえて明るく振る舞う人達。モノクロ写真に色がついたように、遠く思えた戦争の話が息づいて見えた。「オデッセイ」も凄く良かった。絶望的な状況でのサバイバルを明るく、淡々と、前向きに描いている。主人公の生への執着と、一人の男を助けるために動く世界という構図も大変胸熱。
「デッドプール」はライアン・レイノルズ演じるデップーがもう最高。デップー実在してた。全編に徹底してふざけたノリと小ネタがまぶされていて、原作愛に満ちている。
映画野郎っぽくなくて申し訳ないが、それでも「君の名は。」を入れたかった。綺麗さとリアルな日常感を絶妙なバランスで織り込んだ、まさにアニメでしか描けない映像。メガヒットは伊達じゃない。
あと2017年公開なのですが「マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション」が最高でした…皆様もお正月はV8! V8!

◇安田 三号 (イラストレーター)
なんの因果か映画野郎に寄稿することになる。現在東中野の「BARバレンタイン」と都内某シネコンに勤務中。父親は安田理央。
Twitter→@ysd_03

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《赤松新の2016年ベスト5》

1位:さらば あぶない刑事
2位:帰ってきたヒトラー
3位:ゴーストバスターズ
4位:PK
5位:ディストラクション・ベイビーズ

■総評
はじめまして。僕は「コメディ」という括りのランキングです。
好きな映画とかになったら大人気のアレとかアレは外せないし、外したら外したで嘘っぽくなるのもなぁ…ということで、こんな括りでやらせていただきました。
しかし、「ヘイル、シーザー」も「変態だ」も「ソーセージ・パーティー」も「超高速!参勤交代リターンズ」すらまだ観てないくせに、何がコメディのランキングだ! 何様だテメェ! というお叱りを受けそうで…誠にすみません。すぐ観ます。裸で正座して観ます。なのでお許しください。今回、コメディと銘打ってますが、中にはコメディじゃないやつもあります。でも面白いし、声出して笑っちゃったからランキング入りしたと思ってください。
「ディストラクション・ベイビーズ」はい、すみません…いきなりコメディじゃないです。でもね、でもね、菅田将暉さんが面白いのよ! 柳楽優弥さんももちろんすごいんですが、菅田さんの仮面ライダーWを彷彿させる飛び蹴りが披露されるの。これがもうね…! 「え?! 嘘でしょ?」の飛び蹴りは素晴らしかった!
「PK」の“神様を探す”というシンプルだけど奥が深く、かなりタブーに挑戦してる素敵なコメディ。インド映画のいきなり歌って踊る感じもくどさが無くすんなり観れる映画です。前作の「きっと、うまくいく」もめちゃくちゃ良かったしね。
「ゴーストバスターズ」なかなか賛否両論が激しいですが、僕は完全に初期のゴーストバスターズ世代、つまりビックリマンチョコで中身だけ捨てる金持ちの子から、中身だけもらってた世代ですから、あの曲が、あのマシュマロマンが、あの緑のアグリー・リトル・スパットが映画館で観れるだけでテンションMAXなんです。個人的にはケイト・マッキンノン(装備開発担当)が2丁のショットガンを駆使するのが最高!!
「帰ってきたヒトラー」これぞまっとうなブラックコメディ! 現代に蘇ったヒトラーの行動と大衆を魅了していく様…ネットを駆使して発信するヒトラー。これ、ヒトラーをっていうより「大衆」というものを揶揄してるように見えるかな。よくドイツで上映できたよな。とてもしっかりとしたお話とブラックさが融合してる作品。必見です!
そして第1位「さらば あぶない刑事」本当にすみません…これも世代なんです。そう、ドラクエ3に抱き合わせでバンゲリングベイも買わされた世代なんです。
大きいスクリーンに柴田恭兵の「RUNNING SHOT」が流れて街を走り回るシーンや、舘ひろし大型バイクを手放しで運転してショットガンを撃つシーンを見たら感涙ものなんですよ。
「敵の数、多すぎない?」「よくそれで生きてるね」「なんで敵の銃は当たらないの?」等などありますが、そんなことよりタカ&ユウジのバブルを引き摺るカッコよさなんですよ。
もし観られてない方は、是非ドラマ版から観てください。仲村トオルの「海猿」などのシリアスな役とのギャップでクラクラきますから。
あ~、今度は「キン消し集めたはいいけど、最終的には爆竹を巻きつけて爆破してた世代」もキュンとくる恋愛映画のランキングやりたいな。

◇赤松新 (お笑い芸人)
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。ルミネtheよしもとにて、新喜劇・SPコメディなどに出演中。
Twitter→@akamatushin

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《及川莉乃の2016年ベスト5》

・湯を沸かすほどの熱い愛
・淵に立つ
・スポットライト 世紀のスクープ
・トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
・シング・ストリート 未来へのうた
(※順位なし)

■総評:
掘り下げた人間の描写、表現に唸った各作品。今年は洋画・邦画共に自分の趣味に囚われず観た1年。「湯を……」は張り巡らされ伏線を最後まで丁寧にこぼさず、ギリギリの表面張力であざとくないという監督の裁量と俳優力のバランスが素晴らしかったと思う。さすがの宮沢りえさん。個人的には、杉咲花ちゃんに泣かされた作品。
「淵に立つ」は筒井真理子さんの深さに鳥肌が立った。存在感と内に秘めた強さとが、ぐんぐん伝わってきて、改めて他の作品を観たくなった。浅野忠信さんの瞬時に変わる瞳の温度には、凍りついた。ふと「FOCUS」を思い出す秀逸な作品。
洋画に関しては、「スポットライト……」のマーク・ラファロは圧倒的によかった。真実を伝えようとする熱い思い、ジャーナリズムの信念とアメリカの文化の違いに戸惑った作品。「トランボ……」はここまで人生を放り出し、命を削る人間と初めて心を奪われた作品「ローマの休日」の衝撃の事実には映画館で身を乗り出してしまった。(笑) 「シング・ストリート……」はすごく前向きなメッセージ。ジョン・カーニーの作品はほのかな希望に満ちていて、どの作品も上位。

◇及川莉乃 (女優)
2017年1月21日 『東京ウィンドオーケストラ』新宿武蔵野館にて公開。
ブログ「世界にひとつだけの進む道」⇒http://ameblo.jp/rino-fight/ Twitter⇒@oikawarino

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《菱沼康介の2016年ベストテン》

1位:スポットライト 世紀のスクープ
2位:シン・ゴジラ
3位:レヴェナント:蘇えりし者
4位:エクス・マキナ
5位:帰ってきたヒトラー
6位:ハドソン川の奇跡
7位:この世界の片隅に
8位:イット・フォローズ
9位:最高の花婿
10位:フィッシュマンの涙

【総評】
2016年は、古典的な定番ジャンルに別のジャンルの語りを混ぜ込んだものが多かった。そのような語りを呼び起こした題材にどう取り組んだか、その同時代性を映画として昇華させた作品を評価して、ベストとして挙げた。
『シン・ゴジラ』も敵はゴジラよりもシステムで会議モノの語りで怪獣ものを政治劇にした。
『レヴェナント:蘇えりし者』は映画撮影の常識に挑んで、見たことのない映像を突きつけた。
『ハドソン川の奇跡』は現代版『羅生門』であり、3つの視点すべてが正しいがそれでも残る一つの現実をあぶりだした。
『この世界の片隅に』はアニメ化でスケッチ帖に描く絵物語(日記)として語り、戦争を絵空事(アニメであることが効いている)のように相対化しつつ、それを上回る痛みとして描き出した。
加えて、敵が変化する、または曖昧、複雑で複合的なものが多かった。
『イット・フォローズ』は怪物は姿を変え続ける。
『帰ってきたヒトラー』は主人公が敵であり敵を売り出した者、支持する大衆も敵で、ほぼ敵しか出てこない。
『エクス・マキナ』では思考と恋心いうとらえどころのない敵を描き出している。
『最高の花婿』もまた、身内、心の内、常識と多くの敵の姿を描きながら、敵と邂逅へと向かうコメディならではの強さを楽しんだ一本。
『フィッシュマンの涙』はもはや味方と敵の境界さえ曖昧で周囲は何度も敵が味方へ、味方が敵へと移ろう。
つまり、現代の敵の描き方を求めた結果、語りの混合が必要となったのだろう。
1位の『スポットライト 世紀のスクープ』は実話の事件ものであり記者ものだが、敵をほぼ印象、存在として描いたうえ、途中でもう一つの敵を暴く。構成と画面自体が扱うメディアのコンセプトを反映させている厳格さは映画史上稀にみる語りだった。
今まで、明確な悪役を退治すること留飲を下げさせていた映画の作法が変わりつつある。現実の敵も、複雑で、とらえどころがない、誰が敵なのか、身内さえも、自分でさえも信用ならない。だからこそ、<では何が信用できるのか>を、映画として目に見せる戦いに胸を打たれた。

【プロフィール】
◇菱沼康介 (映画監督、脚本家、映画家[年約500本鑑賞])
主な作品『くノ一忍法帖 影ノ月』、『ライフ・イズ・デッド』、『誘拐少女』等。
ブログ【丸い卵も切りよで四角】⇒http://blog.goo.ne.jp/monndori/
※所属事務所のプロフィールページ⇒http://www.azul.cc/profile/hishinuma.html

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《白石映子の2016年ベストテン》

・ブリッジ・オブ・スパイ
・ヘイトフル・エイト
・インサイダーズ/内部者たち
・ケンとカズ
・ヒメアノ~ル
・セトウツミ
・聖の青春
・ドント・ブリーズ
・ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
・ヒトラーの忘れもの
(※順位なし)

■総評:
5本に絞れず10本出しましたが順位つけられなくて困りました(公開順かな?これ)。男性目線かどうか想像しつつ、男優が印象的だった作品を集めました。
アニメは豊作&邦画も良作が多かった2016年。洋画のゾンビや宇宙戦争、地球滅亡はもうおなかいっぱい。『ドント・ブリーズ』は普段なら観ないですが、うっかり試写に行って怖い思いをした作品。ゾンビや怨霊より人間が怖い。
ここには入れませんでしたが、リバイバル上映の『アルジェの戦い』『木靴の樹』はやはり良かった!
番外で『あまくない砂糖の話』。オーストラリアの俳優が自分を実験台にして、砂糖取りすぎの現代人に警鐘を鳴らすドキュメンタリー。『スーパーサイズ・ミー』より我がこととして実感できるおすすめ作品。

◇白石映子 (シネマジャーナルスタッフ)
スプラッター、ホラーは苦手。孫と一緒に映画に行けるのも小学生のうちだけと思うと寂しいこのごろ(春には6年生)。
・シネマジャーナルHP⇒http://www.cinemajournal.net/

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《大越よしはるの2016年ベスト5》

1位:地獄に堕ちた野郎ども
2位:バッド・ブレインズ/バンド・イン・DC
3位:ザ・デクラインIII
4位:ジャニス:リトル・ガール・ブルー
5位:オールディックフォギー 歯車にまどわされて

■総評:
参加を辞退しようかな…と思うぐらい映画観なかった2015年の反省をバネに、16年は極力映画観るようにしました。結果として、全部音楽ドキュメンタリーだけでランキング構成します(ここでは『シン・ゴジラ』も『この世界の片隅に』もなかったことにさせていただきます)。
ダントツの1位は、70年代英国パンクで最初にレコードを出していながら、セックス・ピストルズやクラッシュのように伝説にはならず(なれず)、今もって現役で活動するバンド、ダムドのあれやこれやを余すところなく描いた『地獄に堕ちた野郎ども』で決定(監督は名作『極悪レミー』で知られるウェス・オーショスキー)。2位はパンク・ファンに熱狂的に支持されながら一般映画ファンはまったくノーチェックだったと思われるワシントンの黒人パンク・バンドのドキュメンタリー。
3位は1998年に制作されながらほとんど誰も観た者がいないという幻のパンク・ドキュメンタリー(出演者はパンク通り越してほとんどホームレス!)。4位はあの有名な女性シンガー、ジャニス・ジョプリンの約40年ぶりとなるドキュメンタリー映画。しかし実のところ映画野郎どもに一番観てほしいのは日本の現行バンドの活動ぶりを独特の角度で捉えた『オールディックフォギー 歯車にまどわされて』かも。

◇大越よしはる (フリーライター)
一応音楽ライターということになっているが、実のところ音楽以外の仕事で食っている万年貧乏ライター(最近のメインの仕事は漫画原作)。音楽・漫画・映画その他なんでも書けます。仕事募集中。

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《藤原伸介の2016年ベスト5》

1位:シン・ゴジラ
2位:この世界の片隅に
3位:君の名は。
4位:デッドプール
5位:日本で一番悪い奴ら

■総評:
「シン・ゴジラ」、「この世界の片隅に」、「君の名は。」に共通しているのは映画の世界観を支えているリアリティが素晴らしかったことだ。どの作品も現実社会とリンクしている部分を見つけることができる。
「デッドプール」は逆に、嘘と本気が入り混じった怪作といえる。
「日本で一番悪い奴ら」は、人間は環境に応じて染まってしまう怖さが垣間見える。ラストの字幕に驚いてほしい。

◇藤原伸介 (映画野郎スタッフ)
藤原伸介FBページ⇒https://www.facebook.com/lefthandead
Twitter ID @lefthandead

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《小原雅志の2016年ベストテン》

1位:シング・ストリート 未来へのうた
2位:リップヴァンウィンクルの花嫁 
3位:ハドソン川の奇跡
4位:神様メール
5位:海よりもまだ深く
6位:ロスト・バケーション
7位:この世界の片隅に
8位:淵に立つ
9位:ザ・ギフト 
10位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

■総評:
昨年よりも観た本数が少なかったせいか迷ったが、もらったラインアップを見て選出していったら結構な数が残った。その中から自分のよかった順に並べたのがこの10本。
第1位はやはり音楽。80年代のサウンドを思わせる曲の数々と『小さな恋のメロディ』(これはあくまで僕の主観)を思わせるラストの展開など唸らされてばかり。爽やかな余韻も素晴らしかった。第2位は上映時間3時間という長尺を感じさせないストーリーテリングと岩井俊二監督の演出にすっかり夢中になってしまった。第3位はイーストウッド師匠の映画なら文句なしに上位に来てしまう。
第4位は何も期待しないで観たら、これがまた大傑作というおまけ付き。面白かったなぁ。第5位は是枝裕和監督独独の間合いで見せる演出がズバリとハマっていて、実に深い人間ドラマ。第6位はワンシチュエーションで一気に見せる面白さとブレイク・ライブリーの水着姿での熱演に一票。
第7位はアニメらしからぬリアルな表現と日常生活の中に隠された反戦メッセージに感動したので。第8位は前半しか出てこない浅野忠信の後半で生きてくる存在感の凄さ。第9位はジョエル・エドガートンの才能溢れる演出力に。第10位は本シリーズにつながるネタの多さと、ラストのシーズン4への橋渡しの見事さに拍手ということで。2017年もさらにいい映画に出会いたいものだ。

◇小原雅志 (映画・海外ドラマライター)
小学館から発行されていたテレビ雑誌“テレパル”の映画担当を経てライターに転身。映画から海外ドラマまで、ジャンルも幅広く観ております。細々とですが、雑誌等で記事執筆をしています。原稿依頼、お待ちしております。

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《中根研一の2016年ベストテン》

1位:シン・ゴジラ
2位:山河ノスタルジア
3位:将軍様、あなたのために映画を撮ります
4位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
5位:大怪獣モノ
6位:残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-
7位:貞子VS伽椰子
8位:西遊記 孫悟空VS白骨夫人
9位:アイアムアヒーロー
10位:劇場版ウルトラマンX きたぞ! われらのウルトラマン!

【総評】
1位:事前の期待値をはるかに上回っていた。映画前半、圧倒的な力で虚構が現実を侵食していく過程に絶望し、クライマックスで現実が虚構へ反撃する様に涙する。また「発声可能上映会」やツイッター上での「#シンゴジ実況」など、実際にファンの間で巻き起こった様々なムーブメントにも、映像作品の枠を飛び出した「現実対虚構」を感じさせた。
2位:個人的なことだが1990年代末に中国の地方都市に暮らしていた者として、本作で描かれる私と同世代の人々の過去・現在・未来に、かつての友人たちの姿を重ねずにはいられなかった。私的な感情を揺り動かされる一本。
3位:北朝鮮による韓国人映画監督拉致事件を追ったドキュメンタリー。金正日将軍・申相玉監督という、ある意味究極の「映画野郎」たちを描いた作品と言えるかも知れない。
4位:宇宙最強のドニー兄貴が、とうとうスター・ウォーズ世界で大暴れ! 姜文とのバディっぷりも、ひたすら痺れる。そして、レイア姫よ、永遠に……。そう「希望は、死なない」。
5位:怪獣×プロレスという、永遠の少年たち狂喜の組み合わせをストレートに実現させてしまった河崎実監督に敬服。飯伏幸太もいろんな意味で破壊力抜群だ。

◇中根研一 (北海学園大学法学部准教授)
専門は中国文学・中国文化。研究テーマは怪獣文化全般。特撮同人誌界隈にも出没。著書に『中国「野人」騒動記』(大修館、2002)、『映画は中国を目指す 中国映像ビジネス最前線』(洋泉社、2015)等。

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《木下裕二の2016年ベストテン》

1位:この世界の片隅に
2位:淵に立つ
3位:湯を沸かすほどの熱い愛
4位:君の名は。
5位:シン・ゴジラ
6位:手紙は憶えている
7位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
8位:溺れるナイフ
9位:オデッセイ
10位:殿、利息でござる! 

■総評:
映画野郎【無料メルマガ版】のまぐまぐ大賞2016エンタメ部門3位入賞おめでとうございます!
さて、2016年の映画ベスト10ですが、1位はやはり「この世界の片隅に」をおいてないのではないかと。片渕監督の想いやこだわりが隅々まで溢れていて、淡々と静かに心に浸み込んできました。すずは戦時中の呉で厳しい中でもほんわかと日々を過ごしていますが、その先に何が起きるか知っている私たちにはそれさえも悲しみの素として徐々に膨らんでいき、無理やり泣かせようとしなくても自然と涙がこぼれてきました。
2位の「淵に立つ」は深田監督の精緻な演出と古館寛治、筒井真理子、浅野忠信といった役者陣の演技が濃密に絡み合い、スクリーンから緊迫感がひしひしと伝わってきて一瞬も目が離せません。
3位の「湯を沸かすほどの熱い愛」は、母親役宮沢りえのたくましいやさしさはもちろん、オダギリジョーのだらしない亭主などまわりの人たちがとても気持ちよく、いわゆる難病ものにも関わらず見終わった後にさわやかさを感じさせてくれました。
大ヒットした「君の名は。」ですが、見る前は「転校生」×「時かけ」じゃないかと思い、ツッコミどころはいろいろありますが、それでもおもしろかったし、SF好きじゃなくても楽しめるところがよかったかと。
「シン・ゴジラ」は、膨大なセリフと情報量で何度見ても新しい発見のある映画でした。
そして、今年一番見終わった後<やられた~!>と思ったのが「手紙は憶えている」。老人ホームで朝起きると妻が死んだことさえ忘れてしまうほどの老ユダヤ人がナチスの強制収容所の所長に復讐しようと旅に出るが、このおじいちゃん大丈夫? とハラハラしながら見てたつもりが思いもよらない結末が。
年末にレイア姫(キャリー・フィッシャー)の訃報が届いた「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」は、やはり入れておかなくては。
あまり期待してなかった「溺れるナイフ」は、触れたら切れそうなヒリヒリした青春を菅田将暉と小松菜奈が彼らにしか出せない存在感でみせてくれました。
宇宙に一人取り残される「オデッセイ」は究極の災害映画。宇宙飛行士として特別な訓練を受けているとはいえ、あきらめない前向きな姿には心うたれました。
最後に、「殿、利息でござる!」は、侍ではなく町人のパッとしないおじさんたちが力をあわせて困難に立ち向かっていく姿をクスっとした笑いの中に描いていて楽しめました。

◇木下裕二 (映画『天心』プロデューサー)
茨城復興支援映画「天心」は、2013年から始めた茨城県での上映が2017年中に全44市町村に到達するべく準備中です。また、8月には熊本での上映を予定しています。応援よろしくお願いします。

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《大畑創の2016年ベストテン》

1位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
2位:クリーピー 偽りの隣人
3位:オデッセイ
4位:ブリッジ・オブ・スパイ
5位:ズートピア
6位:キャロル
7位:ゴーストバスターズ
8位:幸せをつかむ歌
9位:ロスト・バケーション
10位:エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に

■総評:
1.中盤までの混迷が嘘のような、後半からの衒いやハズしの無い直球勝負に涙…。2.勝手口から火を噴く映画は面白いに決まってる…。3.NASAって頭良くて気持ちの良い人ばかりなんだなぁ…。4.何回も観ていられる、国家という組織のグロテスクさ…。5.映画製作時に動物を何ヶ月も見つめ続けるような人たちに僕らは勝てるんだろか…。
6.美しい…。7.なんとまあ、大らかな煩雑さ…。8.ジョナサン・デミ、余裕の貫禄…。9.こういう「良くできた普通の娯楽映画」を日本で作らせてくれる人はいないのか…。10.永遠に観ていたくなる…。
本来なら第2位は『ミッドナイト・スペシャル』(※Blu-ray&DVDセット3/8発売)なんだけど、ロードショー公開作のみが対象らしいので、入れること出来ず…。DVDスルーなのが超勿体無い!!!!!

◇大畑創 (映画監督)
『大拳銃』(2008年)と『へんげ』(2011年)は日本や海外各地の映画祭で上映され、シアターN渋谷にて7週間に渡るロングラン上映を果たした。他に『Trick or Treat』(2013年)、『劇場版稲川怪談かたりべ』(2014年)、『ABC・オブ・デス2』(2015年)、『リアル鬼ごっこ ライジング』(2015年)、『鬼談百景』(2015年)などを監督。シャイカー所属。
Twitter⇒https://twitter.com/hajimeohata

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《大泉りかの2016年ベストテン》

1位:ロブスター
2位:好きにならずにいられない
3位:リップヴァンヴィンクルの花嫁
4位:ノック・ノック
5位:山河ノスタルジア
6位:最愛の子
7位:裸足の季節
8位:世界の果てまでヒャッハー!
9位:イット・フォローズ
10位:ゴーストバスターズ

■総評:(略)

◇大泉りか (小説家・コラムニスト)
’04年に『ファック・ミー・テンダー』(講談社)よりデビュー。以後、官能小説や女性向けポルノノベルで活躍する。
・ブログ「スパンキング☆ライフ」⇒http://blog.livedoor.jp/ame_rika/

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《壬生智裕の2016年ベストテン》

1位:この世界の片隅に
2位:シン・ゴジラ
3位:無垢の祈り
4位:ディストラクション・ベイビーズ
5位:風に濡れた女
6位:下衆の愛
7位:闇金ウシジマくん ザ・ファイナル
8位:溺れるナイフ
9位:ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
10位:青春100キロ

■総評:
今年のベストテン候補の映画をリストアップしてみたら100本近くになり。そこから10本に絞るのはなかなか大変な作業だった。そして毎年のことだが、見逃した作品も多く、それも気がかりで。ただし1位の「この世界の片隅に」は即決。2015年だったか。この映画を制作中だった片渕監督を取材させていただく機会があり、物作りに対する誠実な姿勢に感銘を受け、思わずクラウドファンディングで寄付をした次第。しかし完成した作品は、徹底的なリサーチがあるからこその演出の数々にうなり。そして数日間は何気ない瞬間になぜか泣けてきたり。
2位。シン・ゴジラ関連の記事はたくさん書いて、やりきった感もあったし、反響もそれなりにあった。映画としても興奮したし、思い入れ深い一本なので。3位。決して楽しい映画ではないが、作り手の強い意志に感動して。4位。こんな得体も知れず、ゴツゴツした映画もなかなかない。5位。ロマンポルノ・リブートプロジェクトはどれも力作だったが、これはその中でも特に好きだった一本。
6位以下は『ブルーに生まれついて』『貞子vs伽椰子』『スポットライト 世紀のスクープ』『シング・ストリート 未来へのうた』『孤高の遠吠』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『日本で一番悪い奴ら』『ズートピア』『ヒメアノ~ル』『デッドプール』『FAKE』『クリーピー 偽りの隣人』『ヘイトフル・エイト』あたりとほぼ同列。ほかにもベストテンに入れたい作品は多数あった。

◇壬生智裕 (映画ライター/編集者)
映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、特に国内映画祭、映画館などがライフワーク。

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《内藤瑛亮の2016年ベストテン》

1位:オデッセイ
2位:この世界の片隅に 
3位:リップヴァンウィンクルの花嫁 
4位:ズートピア
5位:キャロル
6位:シン・ゴジラ
7位:ディーパンの闘い 
8位:ボーダーライン 
9位:シークレット・オブ・モンスター 
10位:エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に

■総評:
無理解と不寛容が広がった時代だからこそ、人が理性的に振る舞う姿を描いた作品に深い感動を覚えました。

◇内藤瑛亮 (映画監督)
1982年生まれ。愛知県出身。映画美学校フィクションコース11期生修了。短篇『牛乳王子』が学生残酷映画祭・スラムダンス映画祭はじめ国内外の映画祭に招待される。初長編『先生を流産させる会』がカナザワ映画祭で話題となり、2012年に全国劇場公開され、論争を巻き起こす。
2016年は小野不由美の同名原作を映像化した『鬼談百景』が順次配信。古屋兎丸の同名原作を実写映画化した『ライチ☆光クラブ』、オリジナル企画のホラー『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』が劇場公開された。

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《景山咲子の2016年ベストテン》

1位:オマールの壁
2位:エスコバル/楽園の掟
3位:エル・クラン
4位:ハリウッドがひれ伏した銀行マン
5位:暗殺
6位:ジョーのあした -辰吉丈一郎との20年-
7位:ロング・トレイル!
8位:緑はよみがえる
9位:ブレイク・ビーターズ
10位:お父さんと伊藤さん

■総評:
心惹かれるのはイスラーム文化圏の映画なので、真っ先に頭に浮かぶのは映画祭やミニシアター系が多いのですが、今回も映画野郎読者向け注目作リストの中から、野郎向けと思われるベストテンを選出。 2016年も、迷うほど、いい作品たくさんありました。
1位は、パレスチナ映画『オマールの壁』。イスラエルの作った分離壁を越えて恋人に会いにいくオマールですが、まんまと親友に恋人を奪われてしまう物語。パレスチナの現状を背景にしたスリリングな人間ドラマ。
2位『エスコバル/楽園の掟』は、1980年代のコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの、家族や民衆に愛される表の顔と、恐ろしい裏の顔を暴いた作品。3位の『エル・クラン』も、1980年代にアルゼンチン社会を震撼させた誘拐を家業とする一族の実話に基づく物語。
4位『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』は、映画の配給権を完成前に販売し制作費に充当する「プリセールス」システムを開発し、約900本もの映画に融資したオランダの銀行マンの回顧録。末期癌と知った娘が映画に。一人の上品な映画好きの紳士のお陰で、たくさんの名作が生み出されたことを知り、感謝!
5位『暗殺』は、日本統治時代の韓国が舞台。総督暗殺を謀る抗日派と見せかけ、実は日本の密偵イ・ジョンジェや、怪しい殺し屋のハ・ジョンウに惚れ惚れ。でも、なにより本作では、最近ママになったチョン・ジヒョンの華麗なアクションが素晴らしい。野郎必見!
6位『ジョーのあした -辰吉丈一郎との20年-』は、波乱万丈の天才ボクサーに20年にわたり密着したドキュメンタリー。何気ない言葉に人柄が溢れ出ていて、ほっこり!
7位『ロング・トレイル!』仲の悪い初老の男二人が、3500kmの自然歩道踏破に挑戦! 珍道中に大笑い。なぜだか心に残る。
8位『緑はよみがえる』 第一次世界大戦の塹壕戦の虚しさを祖父から聞いたエルマンノ・オルミ監督渾身の作品。「理不尽な命令をぬくぬくとした部屋から発している上層部こそ戦地に送られた若者たちの敵」という言葉は、今の世にも通じる。
9位『ブレイク・ビーターズ』。東独時代、国家権力がブレイクダンスを人民芸術集団として社会主義化。その先鋒に立たされた青年たちのあっぱれな反動。
10位『お父さんと伊藤さん』。 20歳年上のバツイチ男・伊藤さんと暮らし始めた彩のところに、「この家に住む!」と父がやってくる。ほんわかした伊藤さんと、爆弾のように激しいお父さん。一緒に暮らすうち家族の意識が。あ~楽しかった。

◇景山咲子 (シネマジャーナル編集スタッフ&日本イラン文化交流協会事務局長)
イスラームやユダヤ絡みの映画は、必ず押さえたい。一方で、香港映画や韓国映画は俳優重視で観ています♪ シネマジャーナル、今年で30周年。6月に100号発行!
シネマジャーナル:http://www.cinemajournal.net/
facebookプロフィール⇒https://www.facebook.com/sakiko.kageyama.3

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《梶野竜太郎の2016年ベストテン》

1位:シン・ゴジラ
2位:ジャングル・ブック
3位:バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 
4位:アイアムアヒーロー 
5位:日本で一番悪い奴ら 
6位:怒り 
7位:ヒメアノ~ル
8位:デッドプール 
9位:グランド・イリュージョン 見破られたトリック 
10位:ちはやふる 下の句 

■総評:
2016年日本人が映画をよく観た年と言われていますね。「君の名は。」の大ヒットに、ゴジラの名作誕生に、「ズートピア」「ファインディング・ドリー」のファミリー映画大ヒット。配信系が盛り上がる中、ちゃんと劇場へ足を運ぶ人も多かった事がなにより嬉しいことです。
では、私の2016年総評ですが、まず~~~
1位は、言わずもがな「シン・ゴジラ」。「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン、「ゴジラ」のギャレス・エドワーズ同様、その作品をどれだけ愛してるのかが作品に影響する良い例の典型。頭が下がる名作です。
2位は、少年以外オールCGの「ジャングル・ブック」。CGの凄さもあるけど、とにっかく楽しい♪幸せな時間でした。物語も良い意味でいつものディズニーなので裏切られませんでした。
3位は、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」。バットマンはベン・アフレックでいいのかい?とか、多々ありますが「DCコミックはマーベルの『アベンジャーズ』をやりたくてやりたくてしょうがないんだろうな~~」ってひしひし感じました。でも迫力は半端ない!! 演出に拍手!!
4位は、「アイアムアヒーロー」日本でもこれが出来るんだ・・・と感心。
5位は、「日本で一番悪い奴ら」綾野剛は流行だけの男優ではないと実力に感心。
そんな感じの1年でした。 今年も良い映画に出会えますように~♪

◇梶野竜太郎 (映画監督、タレントプロダクション代表)
・梶野竜太郎ブログ⇒http://www.diamondblog.jp/official/kajino/
・HP⇒http://rkajino.wix.com/ryutaro-kajino-films


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


(2) ガチンコ!!シネマレビュー

[※コーナー紹介:熱心に映画館へ足を運ぶ新作好きな映画ファンのため、精鋭レビュアーが気になるその内容をいち早く辛口レビューしまくります!]
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■この世界の片隅に

《作品データ》
「漫画アクション」で連載されていたこうの史代の伝説的な作品「この世界の片隅に」をアニメ映画化したドラマ! 広島市江波に住んでいた浦野すずは呉に住む北條周作のもとに嫁ぐが、日々戦況が悪化し、物資も少なくる。独自の工夫でささやかな暮らしをしていくが、遂に呉でも爆撃がはじまる。能年玲奈改め“のん”として初めての出演作。監督は『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直。

・テアトル新宿、ユーロスペースほか全国ロードショー中!
・上映時間:126分
・配給:東京テアトル
【スタッフ】
監督・脚本:片渕須直
【キャスト】
のん、細谷佳正、稲葉菜月、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、他
・公式HP:http://konosekai.jp/

《『この世界の片隅に』レビュー(レビュアー:じょ~い小川)》

アニメや漫画が好きな方にはこうの史代原作で、『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督の新作となるんだろうが、どちらも門外漢のボクにとっては能年玲奈改め「のん」として初めて世にでる作品を観る、という感覚で観た『この世界の片隅に』。なるほど、戦前・戦中・終戦直後の広島県の軍港・呉を舞台にし、主人公すずとその半径5mの逼迫しつつもホンワカな日常で展開した作品なんだが、戦争映画として必要悪である重さと悲壮感がないのでこの時代を描いたにしては物足りない。

戦時下の爆撃や空襲のシーンもあるにはあるが、そちらは最小限にし、大半は主人公すずとその半径5mの逼迫しつつもホンワカな日常である。要は木下惠介の『花咲く港』や今村昌平の『黒い雨』、黒木和雄の「戦争レクイエム三部作」+『紙屋悦子の青春』、斎藤寅次郎演出の『東京五人男』などの戦争関連の映画から重さを抜き、アニメの自由な表現と柔らかなタッチでポップに描いている。

このポップさは画風やすずのキャラクターだけでなく、声を担当したのんの功績も大きい。のんの声質とすずのノホホンとした性格がぴったり合い、それが心地よくもある。また、すずの実家の家業が海苔の養殖をやっていて、冷たい海に浸る仕事とあり、微かに連続テレビ小説「あまちゃん」ともかぶり、強引ながら震災のシーンとこの映画における肝心のシーンを重ねあわせられなくもない。

しかしながら、全体的にポップにしたことで、上記に挙げた戦争関連映画や戦争映画特有の重さがない。重い・不穏な映画特有の毒がまったくなく、そこが『火垂るの墓』や『はだしのゲン』と決定的に違い、この手の作品が好きな者にはまるで物足りない。毒がない上、薬膳料理のような世界観がダラダラと2時間以上も展開する。そこがまた連続テレビ小説のような作りでもあり、テレビドラマが嫌いな者には退屈極まりない。こういうのはテレビでやれ、だ。

要はこの原作のファン向けで、この雰囲気が好きな方はとにかく長くこの世界に浸りたいだろう、ということ。

評価:★★
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■ネオン・デーモン

《作品データ》
『ドライヴ』や『オンリー・ゴッド』で独特なセンス、ムードを世界に見せつけた鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン監督の最新作はファッション界を舞台にしたスリラー! 田舎からロサンゼルスに出て来たジェシーは直ぐにファッション界で注目の的になるが、周囲のライバル達による嫉妬と怨念により思わぬ方向に。主人公ジェシー役にエル・ファニング、他アビー・リーやキアヌ・リーブスが出演。

・1月13日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー【R15+】
・上映時間:118分
・配給:ギャガ
【スタッフ】
監督・脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン
【キャスト】
エル・ファニング、カール・グルスマン、ジェナ・マローン、ベラ・ヒースコート、アビー・リー、クリスティーナ・ヘンドリックス、キアヌ・リーブス、他

原題:THE NEON DEMON/製作国:アメリカ、デンマーク、フランス/製作年:2016年
・公式HP:http://gaga.ne.jp/neondemon/

《『ネオン・デーモン』レビュー(レビュアー:じょ~い小川)》

『ドライヴ』や『オンリー・ゴッド』で独自のセンスで異世界を見せてくれたニコラス・ウィンディング・レフン監督。その彼の最新作はロサンゼルスのファッション界を舞台にした美と怨念が渦巻く猛毒のワンダーランド! 前作『オンリー・ゴッド』に見られたデヴィッド・リンチ的なアプローチがより強く推し進められ、レフン監督の世界と融合している!

フッション界に煌めくナチュラルボーンビューティな主人公の周りにめくりめくヘドロの如くの嫉妬と憎悪。主人公の周りに取り巻くのは化粧や整形を施した人工の美。これを人工の光“ネオン”に例えている。この自然の美を持つ主人公の周りで蠢く人工的な美を持つモデルたちの不穏さがなんとも心地好い。また、こうした世界の毒気がある怪しき眩さと月光や自然の美との対比なども幾つか見られる。

分かりやすく言えば、『ブラック・スワン』meets『マルホランド・ドライブ』。これをニコラス・ウィンディング・レフンのピンク色に仕立てた。 元々レフン監督の映画の世界にあったピンクやモスグリーン、赤を基調とした映像美の世界がフッションモデルの世界を描くことでより昇華した! そこに夢うつつの幻を交え、前作よりもリンチ風のアプローチが散りばめられており、エレクトリカルなクラブシーンや突如山猫がでる不思議さ加減に『マルホランド・ドライブ』的なワンダーワールドを感じる。

『ネオン・デーモン』を観て不思議に思ったのは、これまで比較的に野郎目線で繰り広げられた世界観が女性の世界を描いている。これが今までのレフン監督の映画の世界では今回大きく違っているが、全く違和感なく、極上のニコラス・ウィンディング・レフンの世界に仕上がっている! ああ、この煌めく毒気に満ちた悪夢から覚めたくない!

評価:★★★★★

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【評価の星取りの見方→★★★★★:傑作!! ★★★★:秀作 ★★★:佳作。観て損はない。★★:凡作。★:駄作】

◇じょ~い小川 facebookプロフィール
⇒https://www.facebook.com/joeyogawa/about


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■編集後記

前号から発表の「映画野郎ベストテン特集」いかがでしたでしょうか。今号で掲載した友情出演者たちのベスト作選定とその総評も、皆さん考え抜いたラインナップ、そして映画愛にあふれるもの。見逃した作品があれば、なんで公開時に見落としたんだろう! と思えるくらい感化されて全部見たくなりますね。改めて友情出演いただいた皆さんのご協力に感謝したいと思います。
あと今回、「ガチンコ!!シネマレビュー」掲載の『この世界の片隅に』について、公開後かなり経っていますが、まぐまぐニュース!の編集部からの依頼があり、掲載しています。
今号は文字数が多くなったため、次号でベストテン結果について語るシネトークを掲載しますのでお楽しみに! (原口一也)
(※お知らせ:コラム「要ゆうじの『コメディ千本ノック』」ですが、特集掲載の関係で今週はお休みさせていただきます)

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