松永英明のゲニウス・ロキ探索――「場所の記憶」「都市の歴史」を歩く、考える

【ゲニウス・ロキ探索】No.111:「グリーンライン下北沢」とグリーンサークル


カテゴリー: 2011年12月01日
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         【松永英明のゲニウス・ロキ探索】
      「場所の記憶」「都市の歴史」を歩く、考える
     No.111:「グリーンライン下北沢」とグリーンサークル
           ◎◎2011年12月01日◎◎
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    【 目 次 】
■「グリーンライン下北沢」とグリーンサークル
■グリーンライン下北沢3回連続セミナー 第3回告知
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「場所」をキーワードにした内容でお届けします。

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■「グリーンライン下北沢」とグリーンサークル
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前号に引き続き、グリーンライン下北沢について考えていきます。

小田急線の東北沢駅・下北沢駅・世田谷代田駅の三駅区間が地下化するこ
とにともなって、その地上部(あとち)の利用について「グリーンライン
下北沢」を中心に議論が高まっています。

前号の最後で、ケヴィン・リンチによる都市の五つの要素を取り上げました。
・移動路=パス
・境界=エッジ
・地区=ディストリクト
・結節点=ノード
・目標=ランドマーク

線路はパスでもあり、同時にエッジでもあります。線路の進行方向に向か
っては当然パス=移動路ですが、それを横切ろうとする瞬間、線路はエッ
ジ=境界となってしまいます。

そのエッジが、あとちになることでエッジとしての性質を弱めます。それ
は地域のつながり方を変えることにもなるでしょう。

◎ニューヨークのハイライン

グリーンライン下北沢第1回セミナーで高橋ユリカさんが発表された「ニ
ューヨークハイラインレポート」のPDFが公開されています。

http://www.greenline-shimokitazawa.org/111110highlineREPORT.pdf

ハイラインは高架跡地をそのまま公園にしたもので、下北沢とは事情が異
なる面もありますが、ほぼ同じくらいの距離の計画として非常に注目すべ
きものです。

詳しくはPDFをじっくりお読みください。

このハイラインのようなものをそのまま下北沢にも、というわけではあり
ません。当然、場所に合った計画というのはまったく異なるはずです。し
かし、ハイラインの事例を参考にするとき、学ぶべきことは多々あります。
その中でも最も重要なのは、「数多くのアイデアが寄せられた」というと
ころにあります。

下北沢のあとち利用のデザイン案については、公募が行なわれていません。
グリーンライン下北沢が中心となって計画案を募集しようという動きもあ
りますが、実際に決定権を持つ小田急電鉄と世田谷区にもその動きを取り
入れてもらう必要があります。

市民案を検討することは、区は当然として、小田急にとっても利益こそあ
れデメリットはないと思われます。少なくとも市民・住民・利用者その他
興味を持つ人たちの意見に「耳を傾ける企業」であるというアピールは決
してマイナスではありませんし、社会と企業がともに作り上げる事例を打
ち立てるのはむしろよいプロモーションにもなると思います。

このメルマガでしばらくあとち利用について集中して書いてみようと思っ
ているのも、自分なりのアイデアをまとめたいという思いがあるからです。

◎グリーンラインとグリーンサークル、グリーントライアングル

グリーンラインというのはあくまでも仮称で、横浜地下鉄と名称がかぶる
というような指摘もありますが、「緑の帯」ができることには違いがあり
ません。グリーンベルトでも何でもいいとは思います。

ただ、このグリーンラインを地図上に置いてみたとき、一つのことに気づ
きました。下北沢周辺には、これからできるグリーンライン以外にも緑が
多くあります。

有名なのは北沢川緑道です。これはもともと北沢川・北沢上水を一旦暗渠
(地下水路)にし、その上に改めて浄水済みの水を流しているものです。

世田谷区 北沢川緑道
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/d00014287.html
特に環七から烏山川緑道・目黒川緑道との合流点までは下北沢地域南部の
美しいせせらぎとして、地元の人たちも誇りに思っているすばらしい緑道
です。

これは松沢病院の敷地内に水源があり、小田急線沿いに東へ流れ、梅ヶ丘
駅からやや南に折れて東へと流れていきます。この支流として、下北沢駅
東側を南北に流れて茶沢通り沿いに進む森厳寺川緑道もあります。

また、梅ヶ丘駅の名称のもとになった羽根木公園は、梅の木で有名な丘です。

こういった緑地をイメージしたところ、グリーンラインと合わせるとぐる
りとめぐるグリーンサークルになるんじゃないかと思いつきました。
そこで作ってみた地図がこちらです。
http://g.co/maps/rjh2v
(「ラベル」を外して少し拡大すると見やすくなります)

こうやって見ますと、二つのイメージが見えてきます。

仮に「グリーン・トライアングル」と「グリーン・サークル」と名付けて
みましょうか。

グリーン・トライアングルは下北沢南口から南・南西方向に伸びる形とな
ります。小田急線あとち・(梅ヶ丘駅または代田八幡)・北沢川緑道・(森
厳寺・代沢八幡)・森厳寺川緑道で囲まれた三角形です。

もしあとちが緑化されて安心して歩ける空間になるのであれば、一周六キ
ロくらいの周遊路ができることになります。徒歩で回遊できる緑のルート
が都会にできるとすればすばらしいでしょう。また、都市デザインにおい
ては「回遊性」、すなわちぐるりと回ることのできるルートは非常に重視
されます。

下北沢の街の賑わいと、それにすぐ接する回遊性グリーン・トライアング
ル。そう書いてみただけでもワクワクしてきます。

もう一つは、広域下北沢地域をぐるりと囲む緑の環、グリーン・サークル
です。
グリーン・サークルはもう一回り大きくなります。西の端は羽根木公園、
南の端は北沢川緑道、東の端は東大駒場IIキャンパスの西端の急斜面の緑、
北の端は下北沢北部のランドマークとして有名な五本のヒマラヤ杉を想定
しましょう。これをぐるりと囲んだ範囲が下北沢グリーン・サークルです。

一般的に広域の下北沢居住圏と比べると、北が少し欠け、西にはみ出して
いる感じになります。もう一回り大きく北に拡大すると玉川上水の緑道や
宇田川の水源近辺も含まれるのですが、さすがにそこまで拡大すると遠い
ようにも思われます。このサークルがおおよそ下北沢圏のイメージにも合
っていると思います。

(下北沢の範囲については藤谷治さんの小説『下北沢』でも不毛な議論と
して扱われていますが、このサークルのイメージは共通理解に近いと思い
ます)

地図には公園・寺社などの公共空間を中心にマッピングしましたが、これ
以外に学校や小公園、そして個人宅の緑なども加えると、緑の多い空間が
イメージされます。その中で、サークルを斜めに横切るグリーンラインは、
グリーン・サークルの中軸として大きな意味を持つことになるでしょう。

長さ約2km、幅約40メートルの「線」としてとらえるだけでなく、トライ
アングルの一辺でもあり、サークルの直径でもあると見て、広い視野から
グリーンラインの意味を見直すことも必要だろうと思われます。

また、この地図で浮かび上がるのは、森厳寺川の緑道が現在南北で分断さ
れていることです。井の頭線・小田急線で分断されており、その一部は駐
輪場になっています。

ところが、井の頭線は斜面の法面を削って高架に変える計画もあり、もち
ろん小田急も地下化するわけですから、これをつなぐこともできるのでは
ないかと妄想します。少なくともかつての川の名残としての細道がつなが
るだけでも、地域の記憶をよりよく伝承できるようになるのではないでし
ょうか。


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■グリーンライン下北沢3回連続セミナー 第3回告知
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12月4日(日)13:30~16:30 代沢小学校講堂(体育館)

「みんなでつくるグリーンラインと下北沢~公共空間を楽しもう!」

保坂展人(世田谷区長)
吉見俊哉(東京大学大学院情報学環教授)
太田浩史(建築家/東京大学生産技術研究所講師/東京ピクニッククラブ)
柏雅康(しもきた商店街振興組合理事長)
吉田圀吉(下北沢南口商店街振興組合理事長)
渡辺明男(おやじネット下北沢代表)
首藤万千子(羽根木プレーパーク世話人)
高橋ユリカ(グリーンライン下北沢代表)

小林正美(明治大学理工学部教授)モデレーター

主催:グリーンライン下北沢
共催:しもきた商店街振興組合
後援:世田谷区
協力:下北沢南口商店街振興組合、おやじネット下北沢

ちらしの写真はこちら→ http://bit.ly/tjmUbg
グリーンライン下北沢 http://atochi.net/

いろいろな立場の人たちが勢揃いする有意義なパネルディスカッションに
なりそうです。

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■ 編集後記
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