立命館大学生存学研究センター メールマガジン

立命館大学生存学研究センター メールマガジン第9号

カテゴリー: 2012年12月23日
◆立命館大学生存学研究センター メールマガジン
2012年12月23日発行 第9号[通巻46号]
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◇立命館大学生存学研究センター
http://www.ritsumei-arsvi.org/

◇立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点ウェブサイト
http://www.arsvi.com/

■生きて在るを学ぶ────────────────────────────

立命館大学生存学研究センターメールマガジン第9号です。

このメールマガジンでは、当研究センターに関する様々な情報を定期的に
お送りしていきます。

□目次──────────────────────────────────

1 生存学の4つの柱(3)「生存をめぐる科学・技術」
2 若手研究者研究力強化型 プロジェクト紹介(4)
3 研究センター関連の刊行物・書籍
4 開催報告 安斎育郎氏特別講演
  「福島原発事故と生命─研究者の倫理を考える」
5 研究センター関連イベント

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【1】生存学の4つの柱(3)「生存をめぐる科学・技術」
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生存学研究センターでは、生存学のさらなる発展に向けて今年度から4つのプ
ロジェクトを開始しました。そのひとつ「生存をめぐる科学・技術」につい
て、本学大学院応用人間科学研究科教授、中村正
( http://www.arsvi.com/w/nt02.htm )による紹介を掲載します。

科学技術振興機構のなかに「社会技術研究開発センター(RISTEX)」があり、
そのなかの「研究開発成果実装支援プログラム」に採択されたプロジェクトが
3年半の取り組みをおえました。私のテーマは「家庭内児童虐待防止に向けた
ヒューマンサービスの社会実装」です。生存学との関連では次のように位置づ
けています。逸脱行動をとおして社会との不具合を生きている人々がいて、
通例それは、矯正・更正(犯罪対策)、保護・更生とリハビリテーション(触
法と障がいの関係等)、教育・福祉的アプローチ(非行対策が典型)、加害者
臨床(子ども虐待やDV等)、養護者対応(高齢者虐待)等として構成されて
います。さらに、社会は「不適応行動」として、たとえば不登校、ひきこも
り、ニート等を「対策化」しています。ここを起点に多様な形態での「支援
実践」が組織されています。社会問題の解決としてある傾向をもった方向への
ディレクションがあります。心理臨床が隆盛することも含めて、これら一連の
組成やせめぎあいの過程を考察することに関心をもっています。

このプロジェクトは、社会技術、社会実装、援助技術というユニークな視点が
あります。社会問題として構築されていることの側面と現実の問題解決のため
の実践という側面の双方のバランス(理論と実践、分析と臨床)に配慮しなが
ら、実装implementation、移転translation、再参入re-entry、
修復restoration等の概念を用いて新しい社会システムを構想しています。社
会のありようが逸脱行動をとおして透視されてくるので、社会臨床の視点を活
かした臨床社会学という体系を提案しています。プロジェクトの内容は以下の
サイトをご覧ください。また、「対人援助学マガジン」というデジタルマガジ
ンで「社会臨床の視界」も連載しています。こちらもご笑覧ください。

http://www.ristex.jp/implementation/development/21family_reunification.html

◇関連リンク http://www.ritsumei-arsvi.org/aboutus/read/id/1

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【2】若手研究者研究力強化型 プロジェクト紹介(4)
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本研究センター・若手研究者研究力強化型プロジェクトより「草分け時代を生
きた「精神病」者運動家の個人史保存」をご紹介いたします。以下、本学大学
院先端総合学術研究科の桐原尚之( http://www.arsvi.com/w/kn05.htm )、
白田幸治( http://www.ritsumei.ac.jp/~gr0122ps/index.htm )による紹介
です。

本研究プロジェクトは、1960年代から1980年代前半の草分け時代を生きた「精
神病」者運動家4人に対してインタビュー調査を行い、彼女/彼らの個人史の
保存を目的とする。長瀬修は、障害学における歴史記述の在り様について「新
たな〈障害〉の視点の確立は、例えば歴史の分野でこれまで隠されてきた障害
者の存在を明らかにする」とし、「従来の歴史に障害者も付け加えるだけでは
なく、従来の歴史が非障害者の視点から見た歴史であったことをあらわにす
る」(長瀬修,1999,「障害学に向けて」石川准・長瀬修『障害学への招待』明
石書店)取り組みであると述べている。これまで前者にかかる報告は積極的に
されてきたが、後者の先行研究は十分にされていない。「精神病」者運動の歴
史は体系的研究がされていないため、断片的な記録が確認できる程度にとど
まってきた。そして、断片的な「精神病」者運動史の記録も、社会事業史、
戦後史の叙述に取り込まれ、医学モデルによる支配的な考えによって記述され
てきた。運動家らの個人史から「精神病」者運動の歴史と系譜を明らかにし、
さらに社会事業史、戦後史の叙述へのカウンターヒストリーとしての「精神
病」者運動史の体系化に一石を投じることが狙いである。

◇関連リンク http://www.ritsumei-arsvi.org/themes/read/id/211

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【3】研究センター関連の刊行物・書籍
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長瀬 修・東 俊裕・川島 聡編 2012/10/20 『[増補改訂] 障害者の権利
条約と日本――概要と展望』,生活書院,398p.
http://www.arsvi.com/b2010/1210no.htm

以下、編著者である本研究センター特別招聘教授 長瀬修
( http://www.arsvi.com/w/no01.htm )による紹介です。

2008年7月に初版を刊行してから4年以上もの時間が経った。その間には自公
政権の下での障害者の権利条約批准の動きと障害者組織による批准阻止
(2009年3月)、民主党政権の発足(2009年9月)、障害者制度改革の取り組
み(2009年12月から現在まで)があった。国際的にも批准は順調に進んでき
た。現時点では批准数は126に及んでいる。

増補改訂版では、新たに、前述の障害者制度改革の動きに関する藤井克徳、
条約の実施措置に関する山崎公士、地域組織として条約を「正式確認」(批
准)したEUに関する引馬知子それぞれの論文を加えた。既存の章についても
加筆を行った。条約の翻訳として、2009年3月に政府仮訳も掲載している。

旧版よりも、90頁以上の厚みを増し、内容が一層充実した本書は、発行の生活
書院には負担をかけてしまったが、値段は据え置きという<お買い得>の1冊
である。是非、皆様のお手元に。


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【4】開催報告 安斎育郎氏特別講演
   「福島原発事故と生命─研究者の倫理を考える」
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本研究センターポストドクトラル・フェロー(PD)の渡辺克典
( http://www.arsvi.com/w/wk06.htm )による紹介です。

10月28日(日)、小雨のなか日本生命倫理学会と本研究センターの共催企画
である安斎育郎氏特別講演「福島原発事故と生命─研究者の倫理を考える」が
開催されました。前日から開催されていた日本生命倫理学会第24回年次大会
から少しだけはなれた講演会場には、学会参加者だけでなく一般聴講者が多数
参加していました。

研究者として日本の原子力政策を批判し続けてきた安斎先生による講演は、
科学において客観的な「科学的命題」と研究者の「価値的命題」を分けて考え
る必要を述べながら、日本の原子力政策の問題点を語るものでした。たとえ
ば、原発批判という「価値的命題」によって、学会での研究発表が制限された
1970年代のエピソードがありました。さまざまな経験をまじえて、原子力政策
を推進する歴史が現在の福島原発事故をめぐる専門家(研究者)の問題につな
がる過程であったことが述べられました。研究者としての研究に対する態度、
研究成果が「生命」や「生存」に与える影響について考えさせられる講演でし
た。

◇関連リンク http://www.ritsumei-arsvi.org/news/read/id/490

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【5】研究センター関連イベント
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□シンポジウム ───────────────────────────
災/生――大震災の生存学
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日時:2013年1月14日(月・祝) 10:00~16:45(開場9:40~)
会場:立命館大学衣笠キャンパス創思館1階カンファレンスルーム
主催:立命館大学生存学研究センター
参加:参加無料・要事前申し込み(定員100名)

プログラム

10:00~10:10
開会挨拶

10:10~12:00
(1)災/外:災厄は移住者たちに何をもたらしたか
報告:郭基煥(東北学院大学) アンジェロ・イシ(武蔵大学)
ディスカッサント:石田智恵(立命館大学)
司会:小泉義之(立命館大学)

13:00~14:15
(2)特別講演:社会的排除を超えて――生存のための身振り
栗原彬(立命館大学)
司会:天田城介(立命館大学)

14:30~16:45
(3)震災における障害者の「生」
報告:土屋葉(愛知大学) 佐藤惠(法政大学) 野崎泰伸(立命館大学)
司会:立岩真也(立命館大学)

各報告タイトル・事前申し込み先については、下記のウェブサイトをご参照
ください。

http://www.ritsumei-arsvi.org/news/read/id/498


【お願い】───────────────────────────────
生存学ウェブサイトでは、アクセシビリティの向上に日々努めています。
表示が見にくい、分かりにくいなど、お気づきの点がありましたら、ご意見を
以下のアドレス宛にお寄せいただければ幸いです。よろしくお願いします。
宛先: webmaster@arsvi.com
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■発行者:立命館大学生存学研究センター センター長 西 成彦
〒603-8577京都市北区等持院北町56-1
TEL: 075-465-8475       FAX: 075-465-8342
E-mail: arsvive.mm@gmail.com

■編集担当:渡辺 克典・川端 美季
http://www.ritsumei-arsvi.org/contents/read/id/18
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