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会社法改正における社外取締役の選任義務化の議論


カテゴリー: 2012年09月15日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.78 ━2012.09.15━



日本IT会計士連盟公式メルマガ 【ITCPA通信】 毎月1日・15日発行

▼ 会社法改正における社外取締役の選任義務化の議論


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おはようございます。

日本IT会計士連盟(ITCPA)専務理事の五島伸二です。

今月の7日に会社法改正の要綱案が確定しました。
そこで今回は、会社法改正における社外取締役の選任義務化について考えて
みたいと思います。

なお本文中、意見にわたる部分は私見であることを予め申し添えます。


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1. 社外取締役選任義務化は見送り

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8月1日に公表されていた会社法改正の要綱案が9月7日に法制審議会で確定
しました。法務省は、この秋に開催される予定の臨時国会に会社法改正案を
提出する意向のようです。

今回の改正の目玉として注目されていた社外取締役の選任義務の新設は要綱案
には盛り込まれず、結局は見送りとなりました。
これは、経済界の強い反発に配慮したからだといわれています。

実際、経団連経済基盤本部長の阿部泰久氏は日本経済新聞のインタビューで
「(社外取締役の選任を)義務付けていたら、会社法の改正自体を実現させない
というのが経済界の立場だった。」という発言をしておられます。

なお、社外取締役の選任義務化は見送られましたが、有価証券報告書提出会社
で社外取締役を置かない会社は、事業報告において「社外取締役を置くことが
相当でない理由」を開示することになりました。


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2. 取引所ルールで社外取締役選任を促進

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また、法制審議会は要綱案をとりまとめたときに、「取引所の規則において、
上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を
設ける必要がある。」旨の附帯決議を行いました。
これは、社外取締役選任の推進を取引所のルールに委ねたということになり
ます。

この要綱案および附帯決議の公表を受けて、東証の斉藤社長は早々と(要綱案
が公表されたその日に!)「要綱案の確定を待って、速やかに上場規則の見直
しに向けた手続きを進める」といった社長談話を発表しています。

この分では、かなり早く(会社法の改正を待たずに?)上場規則の改正が行われ
るのではないでしょうか?
(大証等、他の取引所も東証の規則改正に沿って自所のルール改正を行うもの
と思われます。)

東証は社外取締役選任義務化を一貫して主張してきました。義務化見送りは
遺憾だったと思いますが、社長談話からは取引所として上場企業の社外取締役
導入を積極的に推進するという意気込みが感じられました。


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3. コンプライアンス態勢向上に議論が偏りすぎ?

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今回の会社法改正は、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の改革と親子会社
に関する規律見直しが二大テーマでした。

その中で、特に社外取締役の選任義務化といったガバナンスに関する議論が
大きく注目されたのは、オリンパスや大王製紙等の不祥事があったからだと
思います。
社会的に注目を集めた不祥事のせいもあり、社外取締役制度はコンプライアン
ス(法令遵守)態勢向上のための仕組みとして論じられることが大半でした。

しかし、本来的にはコーポレート・ガバナンスの議論は取締役が会社の持ち主
である株主のために企業価値を増大させるための仕組みを論じることである
はずです。

そういった意味で、コーポレート・ガバナンスを改善することで最近低迷して
いる日本企業の活性化ができないかといった議論の一環として社外取締役選任
義務化の議論が盛り上がってほしかった思う次第です。

筆者は、米国企業の企業価値が相対的に高いのは米国型のガバナンスが優れ
ているからで日本企業も倣うべきといった単純な考えは持ってはいません。
しかし、社外取締役制度は、株式持合いを前提とした日本企業の内向きの企業
運営に外部の目を導入することで企業活動を活性化し企業価値を高めるために
有効な仕組みであると考えます。


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4. 悩ましい事業報告における開示

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ところで、上記1で述べたように、社外取締役を置かない会社は事業報告に
おいてその理由を開示しなくてはいけいのですが、具体的にどのような記載
内容になるのでしょか?

開示すべきは「社外取締役を置くことが相当でない理由」ですから、社外
取締役を置くことのデメリットを記載する必要があります。
「わが社は監査役の監査がしっかり機能している」といった理由ではダメ
だと思われます。
今から、開示内容に頭を悩ませている担当者の方も多いのではないで
しょうか?

もっとも、事前に経団連から会社法開示書類のひな形の改訂版が公表される
はずです。
ご存知のように、会社法の開示に関しては多くの企業が経団連のひな形を参照
します。
その意味で、その改訂版を見てから自社の開示内容を考えるというのが実務的
には正解なのかもしれません。
いずれにしても、経団連のひな形にどのような記載例が載るのか興味深い
ところであります。


本日も【ITCPA通信】をお読みいただき、ありがとうございました。



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