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【TIPS通信495号】84についてのお話

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                         2018/12/7  第495号
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【84についてのお話 】

こんにちは。身近な数字のアドバイザー ナカナカです。
今回の身近な数字は84(はし)。瀬戸内海にかかる「橋」についてのお話し
です。

現在、本州と四国には美しい橋を望む3つの交通ルートが整備されています。
岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ児島・坂出ルート(瀬戸中央自動車道)、
兵庫県神戸市と徳島県鳴門市を結ぶ神戸・鳴門ルート(神戸淡路鳴門自動車
道)、そして広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ尾道・今治ルート(瀬戸内
しまなみ海道)の3つで、四国4県のインフラ整備を目的とする本州四国連
絡道路という名の国家プロジェクトによって作られたものです。

瀬戸中央自動車道には瀬戸大橋が、神戸淡路鳴門自動車道には明石海峡大橋
や大鳴門橋が、そして瀬戸内しまなみ海道には新尾道大橋から来島海峡大橋
まで多くの橋があります。ちなみに瀬戸大橋は、児島~坂出ルートの島々を
渡る六つの橋の総称です。これら本四架橋はその美しさもさることながら、
世界の優れた橋梁技術の粋をここに見ることができるそうです。特に、阪
神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震が直下で発生したにも関わら
ず、震度7という激震に耐えて完成に至った明石海峡大橋の技術の高さには
目を見張るものがありました。

実は、わが家には本四架橋の歴史と寄り添う日々がありますので、今回は橋
にまつわる思い出をたどってみることにしました。

東京出身の私が初めて瀬戸内海を見たのは1976(昭和51)年、宇高連絡船の
デッキからでした。夫となる人の両親が住む高知県へ向かう旅でした。新幹
線と在来線を乗り継ぎ岡山県の宇野へ、宇野港から香川県高松市の高松港ま
では連絡船に乗り換え、高松からは予讃線と土讃線を乗り継ぐ列車の旅。高
知市内にある夫の実家まで一体何時間かかったのか今は思い出せませんが、
宇高連絡船にうどんのだしの香りが満ちていた記憶は鮮明にあります。

この時代、橋梁プロジェクトはまだ動き出してはいないのですが、本四架橋
の構想が具体化した背景には、1955(昭和30)年の5月に起きた宇高連絡船
「紫雲丸」の海難事故がありました。修学旅行の小学生を含む死者168名を
出した痛ましい事故の以前にも瀬戸内海では旅客船の沈没事故が相次ぎ、本
州と四国を橋で結ぶことは住民の悲願でした。

さて、結婚後は夫の仕事の関係で関西(兵庫県川西市)に暮らし、幼い子供2
人を連れての帰省には車が便利でした。とはいえ、四国へ渡るにはフェリー
を利用しなければならず、自宅を午前6時に出発して、高知の実家に着いた
のは夜の7時過ぎという12時間以上の旅でした。神戸の青木港から高松まで
はフェリーで約5時間、高松からは一般道をひたすら高知へ走ります。高松
市内では渋滞に巻き込まれ、四国山脈の峠を越え、吉野川に沿って大歩危、
小歩危の曲がりくねった国道を行き、高知に入る頃には日が暮れました。
しかし、昭和60年頃になると、瀬戸大橋の基礎となる巨大なケーソン(橋台
型わく)や基礎工事のあれこれをフェリーから眺めることができるようにな
り、完成後に期待が膨らみました。

1988(昭和63)年の瀬戸大橋開通に合わせて四国内の高速道路網も整備が進
み、1998(平成10)年には瀬戸大橋から高松自動車道を経由して高知市まで
はノンストップで走れるようになりました。かつて12時間を超えていた実家
への帰省ドライブは約8時間、4~5時間の短縮が可能になりました。

同じ年には神戸淡路鳴門自動車道が全面開通し、神戸から明石海峡大橋を通
って高知に帰省するルートを得ることができました。徳島道の一部に対面道
路が残っていた関係でこちらのルートは片道6時間の行程ですが、それでも
フェリーを使っていた頃の半分、早朝自宅を出れば、昼過ぎには高知に到着
することができました。明石海峡大橋から鳴門の大渦を見て、皆で歓声をあ
げたのがつい昨日のことのようです。ちなみに、わが家の近くに新名神のイ
ンターが開設された今年の春からは3時間強で高知市内に到着してしまい、
時の移ろいを感じずにはいられませんでした。

本四架橋の最後のルート、しまなみ海道にかかる橋はセカンドライフに入っ
た夫と二人、年老いた愛犬も一緒に渡りました。子供たちはそれぞれ独立し
て家族を持ち、一緒に旅行する機会は減りました。

しまなみ海道には、世界初の三連吊橋である来島海峡大橋をはじめとする吊
り橋や、アーチ橋の大三島橋、多々羅大橋に代表される斜張橋など、それぞ
れ個性的な美しさを持つ橋が景観を競っています。しかも、自転車で海峡を
横断できる構造になっているため、サイクリングの聖地として海外での知名
度も高く、国際的なサイクリング大会も開催されるようになりました。

海難事故の悲劇から生まれた本州四国連絡橋は、平成の時代を代表する大プ
ロジェクトとして完成し、本州と四国間のみならず、海外からの人の流れも
加速させています。

時は流れ、今は墓のみが残る高知へのドライブは、瀬戸内海に浮かぶ橋との
再会と、まだ見ぬ四国との出会いの旅を意味します。プロジェクトに携わっ
た人々に感謝しつつ、運転免許証を返納するその日まで、しっかりと四国を
味わいたいと思います。

参考
神戸-うどん ジャンボフェリー
四国8の字ネットワーク30年のあゆみ
坂出市ホームページ:瀬戸大橋架橋工事写真集
http://www.city.sakaide.lg.jp/site/toshokan-top/lib-eizou-seto.html
鹿島:建設博物誌 橋の歴史物語

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