技術士 合格の仕組み講座メールマガジン

夜の帳と国道と、スマートフォン

┃--「技術士合格の仕組み講座」ビジネスマン自立実践会--   
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┃  技術士に合格するには“合格の仕組み”を実践する必要がある。
┃  あなたもその“仕組み”を実践して新たなビジネスステージへ!
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あぁ・・・

せっかくの土曜日だというのに

今日も結局、
何もできないまま・・・




もう、
二次試験の申し込みが半月後に迫ってきているのに、

なんだかヤル気が起きない・・・




でも、ヤル気が出ないのも
仕方がない。


年度末のこの時期、
毎日、毎日、
残業ばかり。



今日も、
ホントは休みの土曜日なのに

休日出勤するのが面倒なのでと
家に持ち帰ったシゴトを
朝から居間で片付けているうちに

日が暮れてしまった。




シゴトはサッサと片付けて、
今日こそは
受験申込書を仕上げようと思っていたのに。



自信の持てない業務しか経験していないので、
なかなか埋まらない「業務の詳細欄」を
今日こそなんとか
埋めようと思っていたのに。


明日は日曜日だからいいけれど、
その次は月曜日。

また、今週と同じような一週間が始まってしまうのか・・・









夕暮れの居間に、一人。




午前中から散らかしていた机の上のシゴトの資料を
物憂げに片付け始める。












「ずーっと家の中に居てもう! 少しは気分転換に外に出たら!」



今まで台所にいた妻から
なぜか叱り口調の忠告を不意に浴びたあなたは、
その剣呑な物言いに少し吃驚しながらも、

まあ、
確かにこのままじゃ、気分も浮かないよな

そうだな、
すこし、外に出てみるか。

と、意外にも
その提案を素直に受け入れてしまう。



久しぶりに
ジョギングでもしてみるか。









もう、かれこれ10年も前、
まだ若かったころに続けていた、近所を巡る30分程度の、
軽いジョギング。

あの頃もシゴトは忙しかったけれど、
運動不足の解消のためにと、
土日の昼間に、頑張って走っていたな。


でも、
体力も相当落ちているだろうし、
あの時ほどは走れないかもしれないけれど・・・




とはいえ、

久しぶりで、
なんだか少し
ワクワクしてきたし。









「わかったよ! 出ていくよ。 出てけばいいんだろ~」






と、憎まれ口を叩きながら居間を出たあなたは、

洋服掛けの奥の方をゴソゴソと漁りだす。







あった、あった。




久しぶりに手に取った、
紺色の冬用ランニングウエア。




手触りは、あの頃のままだ。


防虫剤の匂いが染みついているのか、
ほんの少しだけ、香(かぐわ)しい。





あなたは
皺くちゃなウエアを広げ、
久しぶりに身にまとってみる。


そうそう。

こんな感覚だったなぁ。




昔に戻ったような感覚がして
少し浮ついた気分になったあなたは、





「1時間くらい、帰ってこないからな~」






と、少し張りのある声で
台所に戻った妻に再び叫ぶ。




すると、







「帰ってこなくていいよ~」




と、再び剣呑な言葉が返ってくる。

冗談だか本気だか、
判別がつかないニュアンスを帯びて。





「チェっ、何なんだョ」

軽く愚痴をこぼしながら玄関に現れたあなたは、

今度は靴箱を漁りだす。






あった、あった。



靴箱の奥の隅のほうに、

真黒な革靴と革靴の間に挟まれて、
痩せ細ってひっくり返った、

銀色のランニングシューズ。



久しぶりだなぁ。



旧友と出会ったかのように
シューズを大事そうに手に取って懐しむのもつかの間、

あなたは何を思ったのか、

急に踵を返して居間に戻り、
テーブルの上に置いてあったスマートフォンを拾い上げ、
書類が詰まったカバンからイヤホンを取り出す。



そして



「ホントに帰ってこないからなぁ~」



と、居間を出て玄関でシューズを履き、

玄関の扉を開ける。








「何度もうるさ・・・」



再びの妻の憎まれ口を、
玄関のドアを閉めることでなんとか遮ったあなたは、



少し勇躍しながら、




夕暮れの街に飛び出していく。








そして、

イヤホンを耳に差し込み、
スマートフォンを起動させる。







あなたが聴こうとしているのは、



夕暮れの街に似合う音楽


ではなく、





なんと、



自分の声。









自分の声を録音した

音声ファイル。







二次試験のための技術ノートを自分で録音した

音声ファイル。





合格者の体験を読んで見様見真似で自作したので、
録音状態が悪く完成度も低い
あの音声ファイル。


毎日、通勤の時に
繰り返し繰り返し聴いている、
あの、音声ファイル。



今日、
これからあなたは、

それを聞き流しながら

こんな寒く陽も暮れた夜の街を
ジョギングしようとしている。







いったい、なぜだろうか。











・・・それは、どうやら



あなたが
知っているからのようだ。



走っている時間が、
実は
脳への情報のインプットに
最適な時間であることを。







夜の闇。

軽い運動。

そして、

スマートフォンから流れる音声情報。




この3条件が揃うと、
脳内への情報の書き込みが緻密化し、
さらに高速化するという現象を、

今年一発で合格するあなたは、

知っていたようだ・・・。








玄関を出て、
5分間ほどウォーキングした後、

立ち止まって、
ごく軽いストレッチを済ませ、
スマートフォンのボリュームを少しだけ上げる。

さらに、
2倍速にセットする。





すると、

聴こえてきた。





自分の知る自分の声ではない、

少し鼻にかかったような
本当の、自分の声。




これを聴きながら、

ゆっくり、ゆっくり、
走り出す。







走り出すのは、対向2車線の国道脇の歩道。



ほぼ直線の2車線の国道には、
行楽帰りのクルマが
渋滞するほどではないが、列をなしている。


ヘッドライトに照らされて、
足元も随分明るい。





あなたは、
ゆっくり、ゆっくり、
走り続ける。





誰かと話をすることもできるくらいの呼吸を保ちながら、
ゆっくり、ゆっくり、

走り続ける。











夜空を見上げると、

寒々とした星が

漆黒の闇の中で
瞬いている。







ゆっくり、ゆっくり。
走り続ける。







早春の夜の寒さが頬に滲みるが、

体はほぐれて、
少し暖かくなってきた。






久しぶりに走るのだが、
意外に、体は軽い。



だけど、歳も歳だ。
調子に乗ってはいけない。

あくまで、
ゆっくり、ゆっくり。





耳からは
技術ノートを早口で読み上げている自分の声が、
相変わらず流れ込んできている。



・・・もう、この辺りは聞き飽きている部分だ。
朗読の息継ぎのタイミングすら、知っている。






ランニングをしていると、他に何もできないので、
散漫になれず、意識は自然と密集状態になってしまう。

すると、
行き場を求める密集した意識は、
唯一注ぎ込まれてくる音声情報に
おのずと向けられることになる。

つまり、
自らの身体を何らかの制約条件下に置くと
頭脳への情報のインプットが、ひときわ効率的に進む。

したがって、
普段の通勤時には気が付かないような細かな部分まで
意識が勝手に行き届いてしまう。

しかも、耳から流入する音声情報は、
極限まで深く落とし込まれた意識の中で
脳裏に焼き付いている技術ノートの画像と勝手に結合する。

すると、
その音声と画像とが脳裏を駆け巡り、
今、自分が技術ノートのどの部分を読み上げているのかが
手に取るようにサクサク認識できる。











あ、

交差点の向こうに橋が見える。







かつて折り返し点にしていた、あの橋だ。




その折り返し点の50m手前から

ランニングをウォーキングに変える。







そして、
橋の袂に到達した。






小休止。






川にかかる橋の上を吹き通る風は、
頬に冷たい。


橋の下の川面は、
鈍く、墨色に光っている。






気が付けば、これまで45分かけて
昔と同じ5kmも走ってしまっていた。


でも、ゆっくりだったからか
疲れはない。
足裏に多少疲れが出ているくらいだ。

軽く汗もかいてきた。

むしろ、走り出しの時よりも、体は軽く感じられる。








深呼吸しながら夜空を見上げると、

夜間飛行の赤と緑の航空灯が

澄んだ夜空の彼方へと
遠ざかっていく。






これまでの往路5kmで、
100ページ余りもある技術ノートの微細部に至るまで
全てを復習してしまった。


机に齧りついていては到底叶わぬ
深い学習だった。

脳内に波紋を描くように、
知識の波が脳の隅々まで行き渡ったような感覚だ。




体とともに、少し脳内にも疲れを覚えてきた。








ただ、何より寒い。

もう、引き返そう。




あなたは、
ゆっくりと今来た道を
家に向かって歩き出す。



そして再びポケットからスマートフォンを取り出し、

今度は自分の声のファイルは選択せず、
別の音声ファイルを選択する。





フランツ・リスト「愛の夢 第3番」


ノクターンの定番。





なぜ、クラッシックなのだろうか。





それは、

夜の闇。
軽い運動。
そして、
スマートフォンから流れるクラッシック。

これらが揃うことによって、
体が活性化する傍らで活動休止している脳が
スピンオフを起こし、
平静な時にはありえないような全く新しい着想が
手に入ることを、

今年一発で合格するあなたは、
知っていたから、のようだ・・・。








フランツ・リストの情熱的な旋律に

心の芯が沸き踊ってくる。





そして
家に向かって再び走り出す。




車道の車列はまだ長く、
歩道にはあなたの他に人影はない。



早春の夕日はとっぷりと暮れ、
はるか遠くに見えるはずの稜線も、すでに
その姿を消し去っている。








クラッシックを流しながら走り続けているあなたの脳裏に

変化が起こり始めた。










沸々と、
過去の業務のことが当時の情景とともに
あなたの脳裏に蘇ってきているようだ。




そうそう、あんなこともあったなぁ・・・

あぁそうか、だから、あんな判断したのかぁ・・・

そもそも・・・あれって、結構大切な判断だったんだなぁ・・・

あちゃー、なんでアレをやっておかなかったんだろう・・・



当時、闇雲に業務を進め続けて、
なんとかシゴトをやり終えたことしか記憶になかったのだが、

時を経て振り返ってみると、

当時は当時で、、
きちんと課題解決へのロジックを辿っていっていたことが
反省点とともに、
浮き彫りになってくる。







時空を超えて意識が往時に戻ったあなたは、

時々立ち止まり、
スマートフォンを取り出して、
何やら囁いている。







あなたがささやいているのは、
緑の象のアイコンを選択して立ち上がった、Evernote。


新たに舞い降りた着想を
断片的に音声入力しているようだ。





ただ、
もともと活舌が悪い上に、ジョギング中だ。

認識精度が悪くて、少し変な文字列に変換されてしまうが、
まあ、なんとか意味を思い出せなくもないだろう。





そうして
時折立ち止まり、
スマートフォンに向かって何かをささやき続ける。









ああ、そうこうしているうちに
いよいよ家が近づいていた。

ゴールは、あの交差点にしておこう。




あなたは
業務の詳細欄を埋めるための素材として余りあるほどの情報を、
この復路45分もの間に
Evernoteに収録してしまったようだ。





そして、ゴール。









国道の車列も、宵の口を過ぎて
少しまばらになってきた。


成果を残した時特有の
爽快な疲れが全身を襲う。


昼間のあの陰鬱な感情は、
夜空に吸い込まれて行ったのだろうか。







軽くなった心で、重たい足を引き釣りながら

丘の上にある家に向かって階段を上る。








そして、

家の玄関。






出掛けのように、
洒落交じりなのだろうが、
近頃、剣呑なことを平気で言うようになった妻。


・・・でも、毎朝、早起きして
娘、息子を学校へと送り出し、
家事を済ませて
自分はその後パートに出て

帰ってきて、息をつく間もなく
洗濯、掃除にと、
せわしなく働いてくれているのは、よくわかっている。




あの、つらかった業務の時も、
唯一の味方として、
随分、励ましてくれたな。。。




ありがたいな。

つくづく、ありがたいな。
感謝しないとな・・・





そんな清らかな心を取り戻し、

家の玄関を開ける。








ぷぅんと、夕食の残り香。


味噌汁に、焼き魚だろうか。



感謝、感謝。









ひとまず妻に一声かけようと、



あなたが、

居間の扉を開けると、











「なんだ、もう帰ってきたの?」

















こんにゃろめが!





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