退職金や退職年金については、中小企業と大企業では考え方、取り入れているシステム その他だいぶ異なることもあるので主に中小企業における退職金について書いてみます。 中小企業の場合 退職金について大きな企業の全くのまねをするのは実情にそぐわないケースもあります。 中小企業の場合 ○一般的に従業員が定年まで勤める人が少ない 十分な退職金のつみたてができる40年ぐらいの勤務期間がない。〔中途採用、中途離職が多い) ○厚生年金基金など年金システムがない そもそも外部で退職金に備えた積み立てしていない ○退職金規定そのものが整備されてない または整備されていても見直しがされてない ○退職金は、賃金の後払い説と過去の功労に対する恩賞説かつトラブル防止の手切れ金的性格がありますが、中小企業の場合は後者が多い 適格退職年金制度廃止は平成14年4月となり、基金を含めて、運用利率の異常なまでの低下により積み立て不足額が問題化されてきました。 たとえば毎月1万円を40年退職金共済で積み立てるとして 平成3年ごろの5.5%で計算するとなら1703万ぐらいになっていましたが、 今では1%なので40年これから積んでも591万ぐらいにしかなりません。 また外部拠出型の場合掛け金を何倍にもしないとこの低金利で 目標の金額を積み立てることは不可能になっています。 また従来の退職金規定で定められた退職時給料に勤務年数×自己都合退職係数として いる場合などは積み立て不足額がかなり大きくなっているのが現状です。 本来支払われるべき現時点での債務は、貸借対照表上にはのっていないため隠れ債務化している状態になります。 退職金規定などが就業規則に定められている場合、退職金は賃金と同じように払わないと退職時未払い賃金としてトラブルの元になります。 労働者との合意のない一方的な就業規則の不利益変更は、判例で負けているケースも多く変更に当たっては合理的な理由の根拠が必要になるからです。 一番移行先の多い中小企業退職金共済制度は適格退職年金の過去の積立金を 解約返戻金の範囲内で中小企業退職金制度の掛け金に応じた金額を 引きつげるシステムがあります。 確定拠出年金、 確定給付年金、 中小企業退職金共済など それぞれいろいろなシステムにはそれぞれ長所短所がありますが ここでは中小企業退職金共済のメリットデメリットをあげておきます。 メリット ○中途退職者にも支払われる〔直接本人に支払われる) ○掛け金は会社の全額損金 受け取る人は退職金や年金の有利な税制が適用できる ○システムが簡単 ○適格退職年金から移行する場合はありませんが、新規で加入する場合国から助成金が出ます。 ○また過去勤務の分も要件が合えば過去10年分費用化できるため、利益の出ている会社の福利厚生にいい ○中小企業退職金共済が転職先にて起用していれば通算できる デメリット ○本人に直接支払われるため、問題のある辞め方をした社員にも差をつけられない ○1年未満で辞めた場合など掛け捨てになる ○掛け金は5000円から30000円まで (会社によっては退職金規定に定められた金額をカバーできるほどつめない) ○従業員対象 原則として全員加入 中小企業のみ加入できる 役員の場合は、小規模の場合小規模企業共済や、福利厚生プランなどによる退職金積み立て制度があります。 役員退職金は過大の場合税法上損金不参入制度がありますので 役員慰労退職金規定の整備、 支給に当たっては株主総会決議と取締役会決議などの整備も必要です。 一般的には 最終月額報酬×在任年数×功績倍率が基準となり 功績倍率は一般的には2倍 代表者で最高でも3倍までが一般的とされています。 退職金について詳しいコンサルタントは つちうら税理士法人 http://tsuchiuratax.jp
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