野球小説アンドロメダ

野球小説アンドロメダ・新伝説5

カテゴリー: 2015年12月05日
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 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢
達成のゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、
それとも…。





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 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はあ
る日、東京グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アン
ドロメダのリーダー・大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれ
た選手の発掘を誓う。そして舞台は全国の高校へ。アンドロメダ球
児たちの物語が始まった。






☆☆☆☆☆新伝説5






 「あの出会いがなかったら、今頃…」。アンドロメダ調査員の架
嶺雄大は、また、そんなふうに考えていた。過去を振り返るたびに、
そう思ってしまう。そして、また、いつものように「人生ってわか
らないものだよな」とつぶやいてしまう。「もう、これって、俺の
クセだな。笑っちゃうな」。口元がまたまた緩んだ。








  あれは札幌の某高校でのことだった。当時、首都タイムズのカメ
ラマンだった架嶺は同僚ライターの樹鞍諒一とそこへ取材に出かけ
ていた。






  札幌は架嶺の故郷。その学校のことも、昔から知っていた。その
年のそこの野球部にはプロも注目する投手と野手がいた。まぁ、ど
ちらかといえば、投手の方がドライチ候補と呼ばれていたが…。






  架嶺と樹鞍の取材ターゲットも、もちろん、その2人の選手だっ
た。






  グラウンドに入るや、球児たちが帽子をとって、次から次へと挨
拶してきた。どこの学校もそうだが、ここの野球部の生徒は特に深々
とおじぎしているような気がした。








  白球を追う球児たちの姿は美しい。その純粋さが架嶺も樹鞍も好
きだった。「プロよりも、やはりアマだよね」。2人はよく、この
セリフを口にしたものだ。2人は監督に挨拶した。樹鞍はそのまま
監督に取材をはじめた。そして架嶺はいつもの行動に…。







  レンズを通して、エースと主砲だけをチェックするのではない。
まんべんなく、選手たちの動きを細かく追った。埋もれた逸材を探
すのは、もはや架嶺のお家芸みたいなものであり、趣味でもある。
その日も、鋭い視線で、全体をみつめていた。





 
 「うーん」






  パッと見た感じ、ビビッと来る選手はいなかった。珍しいことで
はない。むしろ、このパターンの方が多い。でも架嶺は簡単にあきら
めない。もう一度、選手たちの動きなどを見直し始めた。





 

 その間に、樹鞍は監督取材をてきぱきとこなしていた。特にエー
スのことをみっちり聞いていた。慣れたものである。






  パターンとしては、その後、エース取材の許可をとる。監督が選
手を呼び寄せたとき、すーっと架嶺もそこに現れる。あうんの呼吸っ
てやつだ。そして、その時に架嶺が「きょうは、あの子」なんて、言
い出すと、樹鞍はさらに目を輝かせる。すかさず監督に追加取材をお
願いする。




 


 「うーん」







  その日の架嶺はうなるだけだった。




 


 「今日はエース君、中心ってところか…」




 

 そういって、エースを目で追いかけた。どうやら、投球練習を行う
らしい。架嶺にとっては願ってもない展開だ。




 


 「なんてたって、プロ注目のピッチングを生で見られるんだからな」




  


 自然と笑みがこぼれていた。




 
 捕手を立たせたままの「立ち投げ」からスタートして、ついに捕手が
座った時には、身震いした。評判通りの球をビュンビュン投げ込み始めた
からだ。






  「こりゃあ、すごいわ」



 


 撮影しながら、架嶺はうれしくてたまらなかった。そして、さらに…。






 

 監督取材を行う樹鞍のところへ架嶺は向かった。ちょうど樹鞍がエース
の取材を始めようか、というタイミング。まさにドンピシャリだった。




 


 樹鞍たちの取材のために監督がエースを呼んでくれた。




 


 その時だ。




 

 「今日はあの子!」




 


 架嶺が樹鞍に耳打ちした。エースのことではない。




 

 「監督、あの選手にも、あとでちょっと話が聞きたいんですが、い
いですか」




 
 すぐにOKが出たが、樹鞍のお願いは監督にとって想定外だったの
だろう。ちょっと驚いた感じだった。




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 アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織
には一切関係ありません。

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