季節を感じる言葉-日本人の情緒と歴史的背景-

娘には素直になれて水羊羹

 これは俳句会で出会った句です。

  選句の時にこれを見て「どうして水羊羹なんだろう」と思って私は選びませんでした。
  しかし、先生の特選になったのです。
  
  以下、この句の解釈です。

  「娘には」ですから、素直になれない相手が居るわけです
  当然ながら省略されているのは配偶者です。それも妻を指します。

  母と娘では面白くない。娘に素直になれるのは父親です。
  つまり父が娘に土産として水羊羹を買っているのです。自分で食べているわけではありません。
  娘と父と判れば、この水羊羹は自分の食べ物ではなく、娘の食べ物となります。
  そして水羊羹を買って帰るのですから娘の年齢もある程度わかります。
  子供ではありません。ある程度の年齢に達しています。

  水羊羹を買って帰るのですから下町のどこかへ出かけたのでしょう。
  つまりそれだけ景が見えてくるのです。
  この句が特選となった所以でしょう。
  
  ではこの句を母と息子という設定で作ったらどうなるか?
  水羊羹を買って帰って喜ぶ息子。
  これでは如何にも頼りない。
  ということで母と息子では詩として成り立ちません。


 娘には素直になれて水羊羹


  今回は句会仲間の秀作でした


  季題は「水羊羹」で夏季です。

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発行周期:  毎週木曜日 最新号:  2019/03/14 部数:  319部

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