季節を感じる言葉-日本人の情緒と歴史的背景-

サンプル誌

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      季節を感じる言葉 −日本人の情緒と歴史的背景−

               第一回 甘酒

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このメールマガジンは、俳句に使われる季題(季語)を中心に、日本人が古来
からその言葉(生物、現象、風習等)にどういう思いをはせてきたのか、代表
的な俳句等を交えながら思うところを綴っていきます。タイトルほど大袈裟で
なく、楽しい情報誌にしたいと考えています。




こんにちは、けん詞(けんし)と言います。
はじめまして。
宜しくお願いいたします。

さて、第一回目は「甘酒」

 甘酒というと、冬の寒い時期に3時のお茶代わりに母が淹れてくれた・・・
というのを連想しますよね。

正月には初詣客に有料無料で甘酒を振舞う寺社がありますし(神田明神の甘酒
は有名)、米の収穫を祝って甘酒を祭に供える地域もあります。

私もかつて、東武線沿線の梅園で其処に在った茶店で甘酒をみつけそれを季題
に句を作ろうと、持っていた歳時記で「甘酒」を引いたところ、な、なんと
「夏」の季題になっているではないですか。

うそ〜、夏に甘酒飲んだら汗かくじゃない。
そうか、南方の国の人たちが辛い物を食べて汗をかくのと同じで、昔は汗を
かくことによって余計に清涼感を感じていたのかな。
江戸っ子はやせ我慢が好きだからね。

と勝手な解釈をしていました。
ところが今年の夏、家の近くのコンビニで紙パックの甘酒を見つけました。
其処には「江戸時代は夏バテ防止の特効薬として冷やして飲んでいた・・・」
との解説が書かれています。

えっ!そうなの?
そうなんですって!甘酒は今で云う「総合栄養補助食品」だったんです。

ブドウ糖はいうに及ばず、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、イノシ
トール、ビチオンその他(私もよく知らない)多くの天然型吸収ビタミン群を
含み、なおかつ必須アミノ酸を多く含んでいます。

つまり病院の点滴とほぼ同じ成分から出来ているんですね。
(ただし、病院の点滴にはアルコール分は含まれていません。だって酒に弱い
人は酔っ払っちゃうもの)
江戸時代の人たちも永年の経験から「夏バテ防止」ということに気づいたので
しょう。

いま、甘酒にはアルコールが含まれているようなことを書きましたが、甘酒は
「酒」の字がついていますがアルコール飲料ではありません。しかし、さらに
長時間発酵させると日本酒になりますから、厳密に「アルコール分ゼロ」とも
云えず、大量に飲むとアルコールに弱い人は酔う可能性があります。

また、甘酒は海外でジャパニーズヨーグルトとも言われています。
これは植物繊維やオリゴ糖に整腸効果があり便秘や肌荒れを改善する為です。
平安時代には甘酒のミルク割り(牛か山羊かは知らない)を「醍醐」と言って
飲んだそうです。醍醐というのはヨーグルトを意味する言葉ですね。
いわゆる「醍醐味」です。

さらにアンギオテンシン変換酵素阻害物質というペプチドも含んでおり、天然
の降圧剤とも言えるそうです。

今晩あたり甘酒のミルク割りで遠く平安朝を愛しんでみては如何でしょう。



甘酒屋 古りし柳に 荷をおろし         高木角恋坊

(高木角恋坊:明治末〜昭和初期の川柳界の大御所。その作品は江戸向きの
さっぱりした表現の中に情を含んでいるといわれる)

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発行者 けん詞

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発行周期: 毎週木曜日 最新号:  2019/01/10 部数:  317部

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