ひろえのキャズ便り

「ひろえのキャズ便り10月30日号」

ひろえのキャズ便り10月30日号です。

 「目をつむって内側から探るような、的に向かって弓を引き絞るような感覚で」
描いてみたい……そんな、いつになく勢いのあることばが並ぶDMが、なんとなく
新たな展開を予感させる(?)青木万樹子展『Point』が、いよいよ今週末からは
じまります。
 この夏、デンマークのとある村での滞在制作を経験した青木さん。展覧会タイ
トルの「point」には、そのときの手応えというか、描きたい対象にピントがあっ
てきたときの感覚が表現されているようです。2週間という限られた滞在期間、
しかも、海外でのレジデンスという非日常にあって、なかなか描けない焦りを感
じることもあったようですが、それでも、「最終的にピントが合ってきた対象は、
農場で見た、搾乳される牛の乳房だった」というあたり、銭湯の風景や自分のおっ
ぱいなど、けっこう裸の身体を描いてきた印象のある青木さんらしい気がします。
ちょっと残念なのは、現地で描いた搾乳をモチーフとする作品が今回は展示され
ないこと。主要な作品を持ち帰らなかったからだといいますが、もしかすると、
重要なのは対象ではなくて、牛の乳房にピントが合いはじめたときの経験そのも
のだったりするのかもしれませんね。青木さんが、「的に向かって弓を引き絞る」
というところの、ある一点に向かってまなざしがググッとすい寄せられていく感
覚をともなった―そんなはりつめた意識の矢によって、青木さんが新たに射止め
たものが気になっていたのですが、なぜか今回も、青木さんがこれまで繰り返し
描いてきたギリシア神話のキャラクターあたりが、再び作品のモチーフとして登
場するようです。
 いつのまにか季節もかわり、レジデンスの記憶もちょっと遠くなったというこ
となのかな……とかってに想像していますが、淡々と過ぎることがなによりもそ
の属性であるのが日常であってみれば、旅先での緊張感を日々持続させること自
体、そうそうできるものではないのかもしれないと思ったりもします。もっとも、
日々更新されていく記憶のなかにあって、それでも捨てられずに残っていくもの
があるのだとしたら、それこそが大切なものなのかもしれないのですが……そし
て、青木さんが描いてきたギリシア神話といえば、カンバスのうえで新たな命を
吹き込まれたようにうごめくレダやピエタ、そして、なぜか青木さんの家族だっ
たりするわけですね。「みてくださるひとに楽しんでもらえるように」と締めく
くられていた青木さんからのメールを読み返しながら、あの時間にも空間にもし
ばられないはずむような展示空間が、ちょっとよみがえってきたように思います。
そう、なぜかいつも妙な高揚感をかきたてられる、あまりにも自由奔放な青木ワー
ルドの記憶が……青木万樹子展『Point』のオープニング、なんだか楽しみになっ
てきました。

__展覧会のご案内________________________________________________________

CAS ACTION COMMITTEE
青木万樹子展 Point

http://cas.or.jp/2013/AOKI/index.html

■会期 2013年11月2日(土)~11月23日(土) 14:00-19:00 水・木休み

オープニングレセプション: 11月2日(土)17:00~¥500(1ドリンク付き)
アーティストトーク: 11月9日(土)16:00~(参加費¥500)
                     聞き手 室井絵里(キュレーター)

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特定非営利活動法人キャズ(CAS)
大阪市浪速区元町1丁目2番25号 
A.I.R.1963 3階
TEL/FAX 06-6647-5088
Web http://cas.or.jp/
E-mail info@cas.or.jp
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ひろえのキャズ便り

発行周期: 不定期 最新号:  2018/12/13 部数:  109部

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