ひろえのキャズ便り4月29日号です。 「昭和歌謡カラオケ大会」でいきなり妙な盛り上がりを見せたグループ展、 「昭和は遠くなりにけり」。各人の選曲にその人らしさみたいなものがうかが われて興味深かったのですが、もしかすると、これと同じ光景が明日の「作品 オークション」でも繰り広げられるのでは?とひそかに期待しているわたし- というのも、昭和を感じる琴線がひとそれぞれ違うんじゃないかと思うんです ね。いったいだれが、どんな作品にどれほどの値をつけるのか……う~ん、そ れを現場で目撃するだけでワクワクするかもですが、せっかくなら、見てるだ けより少しはオークションに参加するほうが楽しいかもしれませんね。カラオ ケだって、だれかが歌うのを聞いてるよりも、自ら歌うほうが断然盛り上がり ますから……。 とはいえ、カラオケとは違って、オークションにはお小遣いで参加できない よなぁ~みたいなお財布事情でも大丈夫。「五百円からお願いします。テキトー でバッチリー!」と書かれた作家自らの指示がある、冨永奇昂さんの作品があ ります。「ガチョーン!」「キビシー!!」「聞いてないよ~」みたいな脱力 系のことばが、なんとなく色あせた短冊状の紙に、ちょっと気の抜けた筆致で 書いてある、そんな作品です。ぼんやりながめていると、植木等あたりが演じ たステロタイプな昭和のサラリーマンを思わせる、おかしみとやる気のなさが 表現されているようにも思えてくるのですが、気合を入れずに書いても、もと もと書家である冨永さんのこと、「ちゃんとした(?)いい加減な書き方はで きなかった」といいます。そんなこんなで、のーてんきなことばがどこか品の ある面持ちで行儀よく収まってしまっているのですが……いえいえ、昭和のサ ラリーマンだって、自分の立ち位置くらいはわかったうえで、無責任な自分を 演じていたようなところがあったのかもしれません。そしてなによりも、根無 し草的なサラリーマン層が大量に生みだされたことは、紛れもなく昭和という 時代の要請による、ひとつの社会現象だったはず……。 そういえば、人間の世界はミクロにもマクロにもどんどん成長していくとだ れもが信じて疑わない、そんな時代がかつてはありました(青木万樹子さんの 成長するおっぱいの絵?)。敵や味方がいまよりもずっとくっきりした輪郭を 持っていたあの時代(藤木正則さんのささやかなプロテストの記録?)、よう やく普及し始めた家電製品だって、いまではあり得ないしっかりした感触と、 不必要なまでの存在感を持っていた(昭和家電が充満する笹岡敬さんの作品?) -そんな昭和の記憶に出会えるのも今日、明日限り。ぜひ、お越しください。 __展覧会のご案内________________________________________________________ Pilot Plant-昭和は遠くなりにけり- http://pilotplant.net/2011Namba/ 会期:4月9日[土]-4月29日[金] 開館時間:14:00~19:00 水、木休み 会場:CAS、roomA. 大阪市浪速区元町1丁目2番25号 A.I.R.1963 3階 協力、後援:roomA. オープニング・レセプション:4月9日[土]18:00- ¥500[1ドリンク付] __オークションのご案内__________________________________________________ 展覧会終了後、展示作品をオークション形式で販売 出品作品オークション:4月30日[土] 16:00- [14時開場] 主催:なんばでアートの会 売上金のうち出品作家取り分を除いた半分(以上)を東北地方太平洋沖地震の被 災者の皆さんへの義援金として、残りを特定非営利活動法人キャズに寄付します。 http://nambadeart2.web.fc2.com/ ------------------------------------------------------------------------ 特定非営利活動法人キャズ(CAS) 大阪市浪速区元町1丁目2番25号 A.I.R.1963 3階 TEL/FAX 06-6647-5088 Web http://cas.or.jp/ E-mail info@cas.or.jp ________________________________________________________________________