ひろえのキャズ便り

「ひろえのキャズ便り10月31日号」

ひろえのキャズ便り10月31日号です。

 大きさの異なる付箋をとりまぜてちょっと細工しただけにみえるのに、透明の
ケースに収められた感じが、なんとなくかごの中の虫を思わせる、シンプルだけ
ど饒舌な存在感のあるタンさんの作品が、いまキャズの展示空間でスポットライ
トをあびています。作り込まれた折り紙細工のような精巧さはないのですが、
「これなんだろなぁ~?」と思いはじめると、形になっていない部分を頭の中で
補いながらイメージを組み立てていく楽しさで、どんどん作品の世界に引き込ま
れてしまいます。大きめの付箋が二枚合わさっているのは蝶? 極小サイズのも
のが密集してへばりついているのはハエかな?……そんな具合に、だんだんケー
スの中に充満してくる虫たちの気配……。
 かごの中の虫たちを見おろすように、壁には付箋の生き物たち(?)が木漏れ
日のなかでまどろむ姿をおさめた写真が展示されています。木の幹で羽を広げ、
小枝や葉っぱの上で呼吸するかのように生き生きとみえる、色とりどりの蝶たち-
じっとながめていると、彼らがすまう秘密の森、森の精たちさえ工業製品に化け
て出てきそうなその場所をのぞきこんでいるような気がしてきます。そう、おそ
らくこの不思議の森では、人工物に生命体と同じ価値が与えられている-でもこ
れって、生命をDNAの塩基配列という仕方で表現するのと、あまり変わらない
ような気もするんですね。科学の思考も、この不思議の森からそう遠くないとこ
ろで夢みているのかもしれず、したがってそこは、わたしたちが、いまたしかに
生きている「この世界」と地続きのところにあるのではなかろうか、と……なん
だか、わたしたちが住まうこの世界こそが、ホンモノの不思議の国のようにも思
えてきますが、少なくともそう考えることで、この現実が別の仕方で見えてくる
ということはありそうです。
 アリスの鏡の国がそうであるように、現実を転倒させたあちらからこちらを見
ることで、逆にこちらが客観的に見えてくるような位置に立ってみること-ちょ
っとした冒険にも似たワクワクするアート体験、あちらとこちらをいったりきた
りするときの、そのどちらにも足場のない浮遊感をまとったタンさんの作品。そ
こには、モノをモノ以上のなにかに変身させる「ワザ」が、たしかにあります。

__展覧会のご案内________________________________________________________

タン・ルイ展 「籠児 ロウジ」
キュレーター:岡地 史(インディペンデントキュレーター)
http://cas.or.jp/2009/Tan/

■会期
2009年10月3日(土)~11月7日(土)
13:00-19:00 水、木、金、祝日休み <= お休みが変わりました

●アーティストトーク:11月7日(土) 16時~ (参加費500円)

__次の展覧会のご案内____________________________________________________

山本珠希展
キュレーター:八木宏昌(学芸員)
http://cas.or.jp/2009/YAMAMOTO/

■会期
2009年11月21日(土)~12月26日(土)
13:00-19:00 水、木、金はお休み 祝日は開けます

●オープニングレセプション:11月21日(土) 18時~ (1ドリンク付き500円)
●アーティストトーク:12月5日(土) 16時~ (参加費500円)

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特定非営利活動法人キャズ(CAS)
大阪市浪速区元町1丁目2番25号 
A.I.R.1963 3階
TEL/FAX 06-6647-5088
Web http://cas.or.jp/
E-mail info@cas.or.jp
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ひろえのキャズ便り

発行周期: 不定期 最新号:  2018/12/13 部数:  109部

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