著作権判例速報

[まぐまぐ]著作権判例速報(知的財産裁判例集より)

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こんにちは!行政書士の大塚大です。
最新判例について速報版でお伝えします。
(詳細はブログをご覧下さい http://ootsuka.livedoor.biz/)
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「黒澤明監督作品格安DVD」事件(対松竹事件)


★東京地裁平成20年01月28日平成19(ワ)16775
著作権侵害差止請求事件PDF
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080128174124.pdf


■事案

黒澤明監督作品である「醜聞(スキャンダル)」、「白痴」の
保護期間をめぐって映画の著作者が黒澤監督なのか映画会社で
あるのかが争われた事案

原告:映画会社
被告:格安DVD製造販売会社


■結論

請求一部認容


■争点

条文 著作権法16条、26条、旧著作権法6条

1 映画の著作者は誰か
2 原告は映画の頒布権を有するか
3 映画の著作権の存続期間
4 差止めの可否


■判決内容

<経緯>

S25年  「醜聞(スキャンダル)」公開
S26年  「白痴」公開
H10年  黒澤監督死去
H19年  被告がDVD商品を製造輸入販売


<争点>

1 映画の著作者は誰か

結論的には黒澤監督が本件両作品の著作者の一人であると認定
しています。(12頁以下)


2 原告は映画の頒布権を有するか

原告映画会社が、黒澤監督から著作権の譲渡を受けていたことを
認定したうえで、結論的には原告は黒澤監督から本件両作品の
著作権(支分権)の全部を承継したと認めるのが相当であると
判断しています。(13頁以下)


3 映画の著作権の存続期間

本件両作品が監督の生前に公開されたものであることから、
これら作品の著作権の存続期間は旧著作権法3条、52条1項等により
規律されるとして、結論的には生存期間+死後38年間
(2036年12月31日まで)と判断しています。(15頁以下)


4 差止めの可否

差止めと廃棄については、裁判所は被告商品の輸入、頒布の差止め
および商品の在庫品とその録画用原版の廃棄の限度で認めています。
(19頁以下)


■コメント

今回被告となった格安DVD業者は、対角川映画事件、対東宝事件、
チャップリン映画事件に引き続き、4件目となる松竹との関係でも
敗訴となりました。

映画のクレジットには「松竹映画」と「監督黒澤明」のいずれもが
表示されていたわけですが、旧著作権法の規定の解釈として
映画会社による団体名義としての公表として規律されず、
映画監督の自然人としての実名公表による映画の著作物として
考えられた結果として、監督の死亡時を基準として著作権の
存続期間が判断されることになります。

昭和28年に「団体の著作名義」をもって公表された独創性を有する
映画の著作物については、最高裁判所(最高裁判所第三小法廷
平成19年12月18日平成19(受)1105著作権侵害差止等請求事件)が
映画「シェーン」を平成15年12月31日までの著作権保護期間と
したのと単純に比較すると、
旧著作権法の適用下で公表された映画については、公表名義の
認定の違い(著作者がチャップリンや黒澤明のような映画監督か、
パラマウントのような映画会社か)によって結果としては映画の
著作権の保護の度合いが大きく異なり得るものとなることに
なります。

いずれにしても、今後古い映画の格安盤販売事件については、
最高裁判例の射程を合わせ考えると、映画会社はこぞって(?)
「著作者(の少なくとも一人)は当然、監督でございます!」
といって格安DVDの販売を封じ込めることとなりますでしょうか。


■過去のブログ記事

2007年09月21日記事
「黒澤明監督作品格安DVD」事件(対角川事件)
http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51153280.html

2007年09月01日記事
「『モダンタイムス』格安DVD」事件
http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51108299.html

2007年12月18日記事
「『シェーン』著作権保護期間満了」事件(上告審)
http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51338875.html


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執筆者:行政書士 大塚 大

大塚法務行政書士事務所
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Blog:駒沢公園行政書士事務所日記
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