秋葉原特許バトル(特許の世界の歩き方)

秋葉原特許バトル☆独立前の大失敗

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★ 秋葉原特許バトル(特許の世界の歩き方)[72号]★

  15秒で読める知的財産のワンポイントをあなたにお届けします

                2012年4月29日(日)発行


■ 独立開業してから

こんにちは。ひろぽんです。
金なし、コネなし、顧客なしで知的財産の世界で独立してから、
かれこれ9年目に入ります。

独立してぐんぐん業績が伸びた時期もありますし、
おもいっきり赤字を重ねた期間もあります。

「ぶっちゃけ、独立してどうよ?」

気になる点を本音モードであなたにこれから伝えます。
心して聞いてくださいね。



■ 独立前の大失敗

(1)1面クリア

今から20年ほど前の話ですが、

企業の知的財産部に勤務する前は、
電子部品の材料を開発する仕事をしていました。

接着剤と充填材とを金型に流し込んで硬化させて電子部品を作る仕事です。

この接着剤と充填材とを組み合わせた新しい材料ができないか試行錯誤を繰り返していました。


当時はX-Xの分子構造を持つ接着剤が非常に高性能であることが分かっていました。
ところが、X-X構造の接着剤は融点が高くて熱を加えても通常の使用条件では全然融けませんでした。

熱を加えて金型に流し込んで使用する材料が、融けないのでは使い物になりません。

・・・というわけで、X-X構造の接着剤は当時は放置されていました。

試しにW-W構造の接着剤を作ってみました。
やはりW-W構造の接着剤の性能は良いけれども、融点が高くて使えない、ということが分かりました。

じゃあ、XとWとを組み合わせてみたら、

・・・との発想で実際にX-W構造の接着剤を作ってみました。


これが「ビンゴ!」、で大当たり。

融点が下がって簡単に融ける接着剤を作ることができました。

しかもXとWとの比率を変化させると自由に融点をコントロールすることができます。

これで接着剤の開発である第一面をクリアしました。



(2)2面クリア

接着剤の開発が終わったので充填材の開発を行いました。

球状のガラス充填材(といっても平均粒径がマイクロメートルの単位です)
を使用するのですが、単一粒径の球状のガラス充填材を使用した場合は
約74%までしか詰まりません。

隙間がどうしても約26%できるからです。

この隙間を埋めるためには、スイカ、みかん、ゴマ等といった具体に、
それぞれの隙間に別のものが詰まる様に
平均粒径の異なる球状のガラス充填材を使います。

現在では簡単に分かるかも知れませんが、

20年ほど前は、何種類の球状のガラス充填材を、
どの程度の割合で混ぜると最密充填ができるかは、
一般的には知られていなかったと思います。

球状のガラス充填材の混合割合を大きくすればするほど、
高い接着剤を使用しなくて済むので全体のコストが下がります。

また球状のガラス充填材の混合割合を大きくすればするほど、
電子材料全体の性質がガラスに近づくので、
外部からの不純物の浸入を食い止めることができ、さらに丈夫になります。


球状のガラス充填材を高充填したいのですが、適当にやって達成できるのは
80数%止まりで、90%も入れると形にすることが全くできませんでした。


そこでどの大きさの球状のガラス充填材を、
どの割合で複数混合したら最密充填が達成できるか、
コンピュータを使って計算させて答えを求めることにしました。


そして実際にコンピュータを使って計算させました。


・・・と、周囲には当時説明していましたが、実際には正しくはありません。

なぜなら、正面から理論上の計算を行うのは非常に難しいからです。

ですので、周囲にはコンピュータを用いて答えを計算させたと説明して、
実際には近似の答えが分かる簡易方法により問題を解いていました。


複数の球がそれぞれ異なる割合で混合された場合、その混合割合が、
単位体積中で理論により規定される最密充填の割合を破る混合割合なのか、
あるいは破らない混合割合なのか、

それだけを私はコンピュータを用いて判定していました。

そして理論上の最密充填が破られる混合割合を×、
理論上の最密充填が破られない混合割合を○で表現して、

それをコンピュータを用いて
複数の球状のガラス充填材の混合割合を変化させながら
最密充填が可能な範囲を地図の様に表現してみました。

そうすると地図の等高線の様に、
80%充填可能な範囲はここの領域、
85%充填可能な範囲はここの領域、
90%充填可能な範囲はここの部分、
95%充填可能な範囲は存在しません、

ということが言えるようになりました。


このシステムができたおかげで、

「これらの球状充填材をどの割合で混ぜると最密充填が可能か」、
という質問に対して、

「これを*%、これを*%。これを*%・・・の割合で混ぜると、90%以上の充填が可能になるよ」、
と答えることができるようになりました。

実際にその割合で球状のガラス充填剤を混合して使用した場合にだけ成形ができて、
それ以外の割合の場合は成形ができなかったので、
実験結果を見た身内が異論を挟むこともなくなりました。


これで充填剤の開発である第二面をクリアしました。


(3)3面クリア


開発した電子材料をお客さまに紹介したところ、結果は上々で、
各社からまとまった量を供給して欲しい、との話が入る様になりました。


開発の話はお客さまとの間でトントン拍子で進み、
こちらでも新規接着剤の製造を行うことになりました。

そして5億円を投資して、新規接着剤の製造プラントを建てることになりました。

当時は世の中に存在しない新しい化合物を製造するための国に対する許認可申請、
外国特許出願等に忙殺されていました。


新規製造プラントが建ったときは嬉しかったです。

自分が発明した化合物で新規プラントを建てるのは、
この業界に入ったときからの夢でしたから。


これで製造ラインを整える第三面をクリアしました。


(4)4面でボスキャラにボコボコにされる


新規プラントを建てるところまでは順風満帆といえます。
しかしここからが急転直下、暗雲が立ち込めることになります。

お客さまによる事前評価で好調だった新規電子材料が全く売れないのです。

5億円も投資して新規プラントを作ったのに、
新規電子材料が売れないとなると、5億円の借金だけが残ります。


私は青ざめました。


新規電子材料が売れなかった理由は
後付が許されるなら、いろいろ列挙することはできます。

けれども当時の私は自分の周りで何が起きているのか、
初めは理解することができませんでした。


今から想うと、順風満帆であると考えていて調子こいていた私に、
天罰が下ったのだと受け止めています。


新規プラントを作った時点でこの業界から抜けて、
後は他の者に任せて、
自分は弁理士にでもなろう、と思っていました。

どこの特許事務所に転職しようかな、と考えていました。


自分の作った新規電子材料が全く売れないことを知る前の私は、
それほど脳天気であり、世の中を甘くみていたのです。

弁理士試験の本当の怖さすら、当時の私は分かっていませんでした。


新規電子材料がこちらの都合のよいシナリオ通りに売れていたなら、
脳天気な私がどれほど世の中を甘くみていたか気がつく機会は与えられなかったと思います。

ところが天はそれほどこちらの都合のよいシナリオは準備してはくれませんでした。


5億円の借金は事実上私が作ったものですから、
これを何とかしないうちには逃げ出すことなどできるはずもありません。

何もしないで逃げ出したのでは敵前逃亡になってしまうからです。
敵前逃亡をしたのでは、一生後ろ指をさされる存在になってしまいます。


「大変なことになった。この状況を何とかしないと・・・」

5億円の借金を何とかしないと、
どこへも行くことができない状況になってしまいました。

こんなことなら、早く逃げておけばよかった。
けれども全てが後の祭りでした。



(続く)



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