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e-メンタルヘルス・マガジン 第 113 号 Dr.小松の「アルコール関連疾患」その14酒は百薬の長?

カテゴリー: 2019年02月08日
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e-メンタルヘルス・マガジン   第113号
2019年2 月8 日発行
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このメールマガジンは日本総合病院精神医学会(GHP)広報委員会が
編集する精神医学の現場からの情報をお届け(精神医学;精神科、
心療内科の領域)するものです。当メールマガジンでは、まず、メ
ンタルヘルス(精神医学)の主な病気について、それぞれ何回かの
シリーズで掲載していく予定です。


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Dr.小松の「アルコール関連疾患」 その14 
酒は百薬の長?
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「酒は百薬の長」という言葉は、古代中国の為政者が酒でたくさん
の税金を取るために考案した言葉だそうです。実態を知れば知るほ
ど、アルコールは上手に飼い馴らす必要がある”猛獣”のような薬
物であることを私は痛感しています。



 4兆1483億円・・・ 2008年日本の「アルコール乱用による社会的
費用」の推計値です。654万人 ・・・2002年日本の「介入を要する危
険な飲酒者=AUDIT12点以上」の推計値です。    



  こんな数字もあります。内科外来の男性患者さんは高率でアルコ
ール問題を持つという調査結果です。男性高血圧症患者の36 %が
アルコール症、同じく心疾患患者の36 %、肝障害患者の84 %、高
脂血症患者の77 %、糖尿病・耐糖能異常患者の69 %、痛風・高尿
酸血症患者の60 %がアルコール症だというのです 。これは、1989
年に仙台市郊外の一内科クリニックでの開院2年半の外来初診患者
4271名の全数調査の結果です。



 薬理学的には、アルコールは非選択的な中枢神経抑制剤です。依
存症臨床では、アルコールはヘロインなどと同じくDowner(抑制系
薬)に分類されます。作用のしかたは麻酔薬に近いのですが、作用
量と致死量が近接しているために危険で、“麻酔薬”としては落第
の薬物なのです。



 ですから、それぞれの文化で危険性を減らすための「つきあい方」
が工夫されてきました。例えば、日本では「お天道様が明るいうち
は 呑まない」という方法で規制してきました。これは、飲酒時間
を制限して飲酒量を制限している訳です。これに対してヨーロッパ
では「決して乱れないように呑む」という方法で規制してきました。



コーカソイドはアルコールに強い人種で、かつ水質の関係から醸造
酒を水替りに摂取する習慣があります。そのため、酔いの深さを制
限して飲酒量を制限したのでしょう。



  これから入学・就職のシーズンです。今年は既に「イッキ飲ませ」
による死亡事故が2つの大学で起きてしまいました。アルコールは薬
物であることを忘れずに、上手に利用しましょう。



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【発行】 「総合病院精神医学会」広報委員会
【編集】南 雅之(編集長)船橋北病院

【MAIL】 ghp-pr@mbp.nifty.com
【back number】http://blog.mag2.com/m/log/0000163460
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