「異文化交差点」(にほんごNPO)

『異文化交差点』Vol.176(にほんごNPO)

カテゴリー: 2018年04月01日
◆◇◆◇◆◇◆◇|異||文||化|╋|交||差||点|◆◇◆◇◆◇◆◇
       ~~~Culutural Crossroads~~~~~       
             Vol.176 April            2018/4/1
 
            特定非営利活動法人 浜松日本語・日本文化研究会
                   http://nihongonpo.hannnari.com/
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

☆『異文化交差点』は〈にほんごNPO〉発行のニューズレターです。会員と
会の活動を支援してくださる方に月1回毎月1日に配信しています。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

◇日本語クラス(4月5月)の日程◇
 http://nihongonpo.hannnari.com/school2018.html

━ C O N T E N T S ━
  ●にほんごNPOだより…日本語・学習支援事業受託のお知らせ
   ○思い出BOX(第18回)……………田野聖一
    ●にほんごNPO諸事雑感……………加藤庸子
     ○まっちゃかふぇ………………………杉本英雄
      ●ごげんかせんといけん………………杉本英雄
       ○編集後記

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
■□■にほんごNPOだより■□■

◆小学校高学年以上の子どものための日本語教科書がほぼ完成しました

先月号のこの欄でご紹介した「教科書プロジェクト」のご報告をします。
教科書はほぼ完成しました。4月から2か月間の検証作業に入ります。
「使い方のヒント」のページを加え、全部で72ページになる予定です。

2か月の準備期間を経て、印刷会社からピカピカの教科書が納品されるのが
6月。子ども達に配布する日が楽しみです。


◆日本語・学習支援事業(東・浜北・天竜エリア)を受託しました。

平成30年度も、昨年度に引き続き、浜松市と「日本語・学習支援事業(東・
浜北・天竜エリア)」の業務委託契約書を取り交わすことができました。

業務の総時間数は6405時間。昨年度より105時間多くなりました。
週当たりで換算すると3時間の増加です。

4月2日(月)9:30~11:30、浜松市曳馬協働センターで、第1回目
の研修会を開きます。外国人児童生徒支援における理念を共有した後、業務の
内容と注意事項、今年度の研修内容について、事務局の担当者から説明をしま
す。

指導者以外の方でも、この事業に興味・関心をお持ちの方は、ぜひ研修にお越
しください。小中学校での日本語・学習指導者を随時募集しています。
加藤(090-1823-6363)にご連絡ください。詳しくご説明いたしま
す。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
■□■思い出BOX■□■(第18回)

◆いい年をして……………………………………………………………田野聖一

大学から通知がきた。
入学後すぐにTOEICテストをするので勉強しておくように。

社会人として恥ずかしい点は取れない。同僚に勉強方法を相談する。
「先ずは簡単な本で練習をする。後は数をこなすこと。」

600点用の本を買う。リスニングセクションPart1の演習をした。
7問中6問もできる。Part2の正答率は9割以上だ。

「600点余裕。」
妻に自慢をした。後で甘かったと気が付く。
Part3と4は半分しかできない。文法と読解も同じ位だ。

模試をして別の問題も判明する。
TOEICはリスニングセクションの後にリーディングセクションがある。
試験の時間は2時間だ。模試では2時間半もかかっていた。

先日入学式の案内がきた。
式は10時から11時半、午後からTOEICテストをする。

30分縮めるために勉強をしてきた。
「入学後すぐ」が当日午後とは思わなかった。
ベストコンディションで受けられない。

想定外はもう一つある。
「私、有給を取ったから。」
「えっ、なんで。」
「入学式って面白そうじゃん。」

妻も式に来るという。いい年して保護者同伴だ。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
●○●にほんごNPO諸事雑感●○………………………………………加藤庸子

【日本語指導体制の変更に思う】

浜松市の日本語指導体制は、平成30年度から大きく変わる。

目標:編入後3年で「自律した学習ができる」レベルの習得を目標とする

市教委の資料によると、「自律した学習ができる」レベルというのは、JSL
評価参照枠のステージ4「日常的なトピックについて理解し、学級活動にある
程度参加できる」レベルである。

これまでとの違いは、下記の3点だ。
・初期適応サポーターを派遣し、編入後、早い時期に必要な支援を行う
・(3つのエリアでの)日本語基礎指導の内容を統一し、5か月間で70時間
 の指導を行う
・教科指導員を配置し、編入後3年間の教科の取り出し指導を充実させる

以上のことから、NPOの日本語・学習指導者は、教科指導員の不足を補うた
めに支援を行うこと、編入後3年を過ぎた子どもへの公的な支援は、原則とし
て行わないということが分かる。

5か月間で70時間の日本語基礎指導を行うということは、1人の子に対して
週に5時間程度の支援を5か月間行うということになる。年間の総支援時間数
をどう調整するか、難しい舵取りが待ち受けている。

今回の体制見直しに伴い、日本語ゼロレベルの子ども達への支援は十分ではな
いものの、以前と比べて格段に手厚くなる。その一方で、編入後3年を過ぎた
子ども達への公的な支援はなくなり、学校の負担は否応なく増えていく。在籍
学級の授業についていけず、やる気を無くしていく子どもが続出するのではな
いかと懸念する。

特に、小学校低学年で編入した子ども達が心配だ。子どもの発達を考えた場合
「自律学習」は何歳ごろに身に付くのだろうか。指導者がいくら努力しても、
子どもの認知発達が伴わなければ、「自律学習」には至らないのではないか。

子どもへの日本語・学習支援は、ますます専門性を要求されるようになったが
その専門性に見合う賃金が保障されたのは教免を持った教科指導員だけで、
NPOに所属する日本語指導者の賃金はいまだに低く、モチベーションを維持
するのが難しい。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
□■□まっちゃかふぇ【難民ガール】………………杉本英雄

最近はやたら“XXガール”というようになり、正直この「難民ガール」はい
かがなものかとは思いますが、天下のN○K放送が堂々と使用していたので、
そのまま取り上げます。

先日N○Kの「ノーナレ」という番組で、日本で初めて“シリア難民”として
認定された少女について描いていました。ご覧になられた方はいらっしゃいま
すか。

ラーマという名前のシリア人少女は16歳。いわゆる“JK”で、埼玉県朝霞
市に一家で暮らしており、高校に通いながら、○ニーズでバイトしているよう
です。この番組は一切ナレーションなしで、番組ディレクターからの問いかけ
に答える彼女の語りによってその日常生活が綴られます。

ラーマの一家は、数年前に戦火のシリアから一家で脱出、親戚が日本に住んで
いたことで来日し、難民として認められました。16歳のラーマはすっかり日
本語を身につけ、父親が「彼女は日本人になってしまった。もうシリア人では
ない」と嘆くほどまでに日本人と変わらない姿です。

ラーマは両親と大学生の兄との4人暮らし。しかし、両親に問題があってラー
マの表情は曇りがち。父と母共に50代。母親はユ○クロで働いており、少し
づつですが日本語と日本の習慣を身に付けつつあります。シリアでは高級レス
トランのシェフで支配人だった父は、日本語を覚えようともせず、家に引きこ
もったまま。それで父と母の間では喧嘩が絶えず、ラーマは心を痛めています。

留学や研修、就労で日本で暮らす外国人と、難民として暮らす外国人、共に日
本語を学ぶ学徒ではありますが、その意識は随分違うようです。

それにしても、数年日本で暮らしてるだけでも日本語や習慣を身につけてしま
う子供と、日本語を覚えようともしない大人の差。事情はありましょうが、子
供の柔軟性適応性には驚かされます。

ラーマはシリアでのつらい経験から、「人間が一番怖い存在だ」と言い切りま
す。16歳の少女にこんなことを言わせてしまうのは、シリア人ならずともた
いへん悲しいことです。願わくば日本で暮らしていく内に、「やっぱり人間は
素晴らしい」と言えるようになることを祈るものです。

世界人類が平和でありますように
シリアが平和でありますように
ラーマと家族が幸せでありますように

ノーナレ「ラーマのつぶやき」
http://www4.nhk.or.jp/P4253/x/2018-03-27/21/13959/2257016/


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
●○【ごげんかせんといけん】─21世紀日本語日本文化起源への旅…杉本英雄

No.077「相槌を打つ」

 さて問題です。相槌とはなにか、わかりやすく説明できますか。

直感的にすぐハンマーが想起されましょう。たしかに「槌」です。しかしふつ
うの使い方では、「相」という文字がつくはずがありません。このことから、
日常の「釘を打ち込む」とは違ったシチュエーションであることがわかりまし
ょう。それはどんな状況でしょうか。

そうですね、鍛冶場で二人の職人が槌を交互にふるっている情景が目に浮かび
ます。この場面をもう少し拡大してみましょう。なにが見えますか。

どうやらこの鍛冶場は、刀工の作業場のようです。そうです、刀を打っていま
す。ここにいる二人は、一人が師匠で、もうひとりが弟子のようです。師匠が
槌をふるい、その合間に弟子が槌をふるう、この有様が「相槌」なのですね。

刀を打つ作業はたいへんな修練が必要です。師匠と弟子が見事に息を合わせる
ことで立派な刀ができあがります。

余談ですが、刀工というと男性のイメージですが、江戸時代に女性刀工がいま
した。日本では唯一の女性の刀工です。彼女は大月源といい、現在の岡山県井
原市にいました。男性の力に及ばず短刀がほとんどだったということなのか、
現在ではほとんど知られておりませんし、詳しい来歴なども残っていないよう
です。しかしもし長刀を造っていたら?──ぜひ研究が進められたら、とオモ
ウ次第です。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編者後記》先日日曜の朝からやるせない番組を見てしまいました。老親と無
職の息子で暮らすという「たそがれ同居」の果てに、親が亡くなり、独り働け
ない中高年の子供が残されている、というのです。同世代にそんな人達が増え
ているということに、他人事ではない気がします。いったい、どうしてこんな
ことになってしまったのでしょうか。(杉)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
★現在の会員数は60名です。
☆ニューズレター読者数は293名です。
★みなさんからの意見、感想、投稿を歓迎します。宛先は下記アドレスへ。
 eiyu@po.mmm.ne.jp
◆掲載記事のうち、署名記事の転載を禁止します。
 配信責任者 杉本英雄 eiyu@po.mmm.ne.jp
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発
行しています。( http://www.mag2.com/ )  ID:0000157056
○登録・解除・アドレス変更はこちらでできます。
http://www.mag2.com/m/0000157056.html
○バックナンバーは下記でご覧になることができます。
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000157056
http://nihongonpo.hannnari.com/

「異文化交差点」(にほんごNPO)

発行周期: 月刊 最新号:  2018/12/01 部数:  292部

ついでに読みたい

「異文化交差点」(にほんごNPO)

発行周期:  月刊 最新号:  2018/12/01 部数:  292部

他のメルマガを読む