キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン第103号


カテゴリー: 2011年07月23日
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□    キャリアデザインマガジン 第103号 平成23年7月25日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.career-design.org/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 キャリア辞典「労働者」(2)

2 私が読んだキャリアの1冊 高橋伸夫『ダメになる会社』

3 キャリアイベント情報

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【学会からのおしらせ】

【アンケートご協力のお願い】
 このたびの東日本大震災では、「働くこと」「生きること」の意義・意味づ
けなどの価値観の見直しを余儀なくされる転機になったのではないでしょうか。
と同時に、キャリア支援を行っている方々も、新たな課題を抱えることとなっ
たのではないかと推察いたします。

 日本キャリアデザイン学会キャリア政策研究・国際交流委員会では、教育・
行政の現場で就業支援を行っている方々や、教育機関・企業等でキャリア支援
を行っている方々、あるいはキャリア支援に直接関わっておられない方々が、
震災後に直面している課題や問題意識等を学会として共有し、支援できること
を検討することといたしました。

 つきましては、震災後に発生した変化や課題(お困りのこと、ご不安などで
も結構です)等を、以下までお聞かせください。

 当委員会でそれらを集約いたしましたうえで、研究会の開催、グループワー
ク等の実施、各省庁などの行政機関への働きかけや長期的視野にたった調査・
研究活動などを検討してまいります。

 以下のURLから入力をしていただきますよう、当メルマガの読者の皆様のご
協力をお願い申しあげます。

 なお、会員を対象としたアンケートにご回答済みの方は、結構です。

https://www.hosei-web.jp/enq/900062.html


◆日本キャリアデザイン学会は、第8回研究大会・総会の参加登録を開始いた
 しました。

 日 時:平成23年10月1日(土)~2日(日)
 場 所:日本大学三崎町キャンパス
 テーマ:「グローバル時代のキャリアデザイン-その原点から未来へ」
 参加費:研究大会 会員/5,000円 非会員/8,000円
     懇親会 会員・非会員とも3,000円
 概 要:http://www.career-design.org/content/view/226/1/
 登 録:https://www.hosei-web.jp/fm/10146.html

◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり2011年度東京地区第4回研究会
 を開催いたします。非会員の方もご参加いただけます。今回は若きネットベ
 ンチャー経営者をお招きし、そのキャリアデザインについてお聞きします。

 日 時:平成23年7月16日(土) 15:00~17:30
 場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階会議室
 テーマ:「オンライン英会話ビジネスに取り組む私のキャリアデザイン」
 講 師:(株)レアジョブ代表取締役CEO 加藤 智久
 参加費:会員/無料 非会員/3,000円
 概 要: http://www.career-design.org/content/view/224/1/
 お申し込み https://www.hosei-web.jp/fm/10140.htmlからお願いします。

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1 キャリア辞典

 「労働者」(2)

 プロ野球選手は労働者なのだろうか。プロ野球選手の統一契約書をみると、
第2条に「選手がプロフェッショナル野球選手として特殊技能による稼働を球
団のために行なうことを、本契約の目的として球団は契約を申し込み、選手は
この申し込みを承諾する」とあり、いわゆる年俸については「参稼報酬」とい
う語が用いられている。一貫して「労働」や「賃金」といった語は慎重に避け
られており、これは労働契約ではないという意思が感じられる。

 実際、プロ野球選手には数億円の年俸を稼得する例もあるし、テレビ番組や
コマーシャルに出演することもできるが、ボールとユニフォームを除く用具は
すべて自己負担であり、たしかに一般的な労働者のイメージとはかなり異なっ
ている。1997年には多数のプロ野球選手が脱税に関与したことが発覚したが、
これはすなわちプロ野球選手が税法上は個人事業主として扱われているという
ことでもある。

 いっぽう、2004年にいわゆる球界再編をめぐって日本プロ野球選手会がスト
ライキを実施したことも、まだ多くの人の記憶に残っているだろう。ストを打
つ以上はプロ野球選手も労働者であるに違いなく、事実日本プロ野球選手会は
1985年に東京都労働委員会の資格審査を受け、労働組合法上のいくつかの権利
を行使しうる労働組合であると認められている。この際にも、オーナーサイド
の一部はこのストライキを「億万長者のスト」などと批判し、日本プロ野球選
手会が申し入れた団体交渉に対しても消極的な態度をとったが、これに対し日
本プロ野球選手会は自らが労働組合として団体交渉を求めうる立場にあるとし
て東京地裁・東京高裁に申立てを行い、裁判所も選手会を支持しました。

 これは、前回書いたように、労働基準法上の労働者と労働組合法上の労働者
とが異なる概念であることによる。プロ野球選手には残業はつかないし、試合
中に負傷しても労働災害となることはない(統一契約書で治療費は球団が負担
するとされている)。これは、プロ野球選手は労働基準法上の労働者ではない
ということだ。それに対し、日本プロ野球選手会が団体交渉やストライキを行
っているということは、プロ野球選手が労働組合法上の労働者ではあるという
ことになる。

 実は、労働組合である日本プロ野球選手会と、社団法人である日本プロ野球
選手会とは、事実上は一体ではあるものの、建前上は二つの異なる法人とされ
ている。前者は労働者としてのプロ野球選手の団体、後者は個人事業主として
のプロ野球選手団体ということだろう。役員も別々で、「選手会長」といえば
大抵の場合は労働組合日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(阪神タイガース)
を指すわけだが、社団法人日本プロ野球選手会のトップは井端弘和理事長(中
日ドラゴンズ)である。労働基準法と労働組合法の労働者の定義の違いが、こ
んな形で現れているわけだ。
                        (編集委員 荻野勝彦)


2 私が読んだキャリアの1冊

 『ダメになる会社-企業はなぜ転落するのか』 
                 高橋伸夫著 ちくま新書 2010.11.10

 新卒就職は相変わらず厳しい状況が続いている。その一方で、求人を出して
もなかなか充足しない中小企業も多いということで、ハローワークなどでは中
小企業と新卒見込者とのマッチングに力を入れているという。

 とはいえ、就職活動にのぞむ学生さんとしては、まずは経営の安定した大企
業を志望するのも無理からぬところだろう。もちろん最近の日本航空のような
例もあり、大企業なら絶対大丈夫だとはいえない時代になったが、しかし確率
論としては「就職したはいいけれど、数年で倒産して失業しました」という憂
き目を見るリスクは、たぶん中小企業のほうが大きいということは学生さんに
は容易に想像できるだろう。実際、つい最近会社更生法適用を申請した株式会
社ワイキューブは、一時期は飛ぶ鳥を落とす勢いの人気企業ではなかったか?

 この本の書名はずばり「ダメになる会社」であり、副題は「-企業はなぜ転
落するのか?」オビには「成功したはずの会社がなぜ失速するのか?」との問
いがある。そして「その原因は経営者の精神にある!」と書かれている。この
本の主張はまさにこれに尽きるだろう。

 第1章・第2章では、株式会社の本質は出資者が企業家の夢に有限責任でつき
あう=共有することができることであり、その夢を託されたのが経営者である
ことが述べられ、第3章ではその経営者が専門職化した歴史が語られる。

 第4章では、コーポレート・ガバナンス論議に対して、いかに外部の監視を
強化しても狡猾な経営者がその気になれば不正は可能であること、不正をなく
すには内部牽制を働かせることが必要であることが述べられる。第5章では、
内部統制をめぐる議論など、日米間の差異を無視して米国の制度に同化しよう
とする議論が批判される。

 第6章ではここまでの議論をふまえて、重要なのは経営者をガバナンスする
ことや統制することではなく、いかにまともな経営者を選ぶかであることと、
わが国の内部昇進がそのための合理的なしくみであることが指摘される。そし
て第7章では、まともな経営者であるために持つべき精神が紹介される。

 いつものことながら、今回も著者らしく、印象的な事例を豊富に紹介しつつ、
理論や歴史の解説も適度に織り交ぜて、やや欲張りすぎではないかという感が
あるほどに、読みやすく、面白くかつ説得力のある本になっている。まずは多
くの組織人に広くおすすめできる本だろう。

 第6章の最後では、なぜ成功するベンチャーが少ないのか?というと問いへ
の答として「まともな経営者が圧倒的に不足している」と述べられ、某大手
メーカーではマスコミ受けのいい社長を選んだ結果、技術者が流出した例をひ
いて「転職とは社長を選ぶことでもある」と語られている。なるほど、キャリ
アとは一連の経営者選びでもあるのだ。そう考えると、学生さんが大企業を目
指すのも、内部昇進の競争でまともな経営者がトップに立つしくみができてい
る企業を目指しているのだと理解することができる。であれば、中小企業と新
卒のマッチングをはかろうとするのであれば、なにより経営者がまともな中小
企業を紹介することが大事だということになろう。おそらく、まともな経営者
をいただいた中小企業は多いに違いないが、学生さんにその目利きを求めるこ
とは難しいだろう。冒頭に戻って、ハローワークなどにはぜひその目利きの役
割を果たすことを期待したいと思う。
                        (編集委員 荻野勝彦)

 ※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
  日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。


3 キャリアイベント情報
  ~キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します~


◆独立行政法人日本学生支援機構 平成23年度就職に関する意見交換会
 (近畿地区)
 日 時:平成23年8月2日(火)10:00-15:30
 場 所:KKRホテル大阪(大阪市中央区)
 (中国・四国・九州地区)
 日 時:平成23年8月8日(月)10:00-15:30
 場 所:KKRホテル博多(福岡市中央区)
 (関東地区)
 日 時:平成23年9月30日(金)10:00-15:30
 場 所:東京ガーデンパレス(東京都文京区)
 http://www.jasso.go.jp/sien_suishinpro/ikenkokan23.html


【編集後記】

 6月20日の日本経済新聞で、同紙の調査による2012年春の大卒採用数は2011
年春比13.7%と二桁増となったとのことです。海外展開や新技術を担う人材へ
のニーズが強く、また求める人材がいなければ採用計画未達でも打ち切る傾向
もあるということで、依然として厳しい状況には違いないようですが、しかし
歓迎できるニュースでしょう。今年は震災の影響で採用・就職の開始も遅れて
いるところが多く、節電もあって就活生には本当にアツい夏になりそうです。
一人でも多くの人が良好な就職を果たされることを期待したいと思います。
(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.career-design.org/

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。

 編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社渉外部)

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail cdgakkai@hosei.org
   〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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