キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン第83号


カテゴリー: 2009年02月18日
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□    キャリアデザインマガジン 第83号 平成21年2月16日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.career-design.org/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 キャリア辞典「非正規労働(3)」
2 私が読んだキャリアの1冊
     大内伸哉『どこまでやったらクビになるか』
3 キャリアイベント情報

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【学会からのおしらせ】

◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり研究会を開催いたします。
 非会員の方もご参加できます。

(第3回)
 日 時:平成21年3月28日(土)10:00〜12:30
 テーマ:「障害のある人のキャリア支援(仮題)」
 講 師:目白大学教授 松矢勝宏氏
     日本ヒューレット・パッカード(株)
     ダイバーシティ・キャリア推進部担当部長 川合昭子氏
 会 場:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階
     イノベーションマネジメントセンターセミナー室
 定 員:45人
 参加費:会員/無料 非会員/3.000円

  ※内容・申込要領等、詳細は学会ホームページをごらんください。
     http://www.career-design.org/content/view/115/1/

(関西支部第2回研究会)
 日 時:平成21年3月29日(日)16:00〜18:00
 テーマ:「労働組合によるキャリア開発支援」
 講 師:小泉産業グループユニオン 労連執行委員(専従) 入江優子氏
 会 場:キャンパスプラザ京都(コンソーシアム京都)(京都市下京区)
 
 ※研究会終了後、懇親会を予定しています(18:30〜20:30予定)
  詳細は、近日中に学会ホームページに掲載予定です。
     http://www.career-design.org/

◆第1回九州地区会員交流会
 日 時:平成21年5月9日(土)13:00〜17:00
 講師・
 テーマ:日本キャリアデザイン学会会長/法政大学教授 川喜多喬氏
      「いま何故キャリアデザインが必要か・・日本キャリアデザイン
       学会設立の趣旨とこれまでの活動」
     東京学芸大学教授 久保田慶一氏
      「キャリア教育からキャリア・デザインへ」(仮題)
     筑紫女学園大学学生支援センター 井上奈美子氏
      「学生組織の継続学習によって学士力を育む戦略的キャリアデザ
       インの試行」
 
 会 場:九州大学 箱崎キャンパス 文系講義塔(福岡市東区箱崎)
 参加費:会員/無料 非会員/3000円
 懇親会:15:30〜17:00(参加費:会員・非会員とも3,000円)
 定 員 70名 (定員に達ししだい締め切ります。)

 ※学会イベント受付システムで申込みください。近日中にホームページに
  掲載予定です。
     http://www.career-design.org/
     お問い合わせ ec307012@s.kyushu-u.ac.jp

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1 キャリア辞典
  〜「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです〜

「非正規労働」(3)

 昨年後半以降、非正規労働者の雇用失業情勢が大きく悪化しているといわれ
る。厚生労働省はその実態を把握すべく、全国の労働局及び公共職業安定所が
実施した事業所に対する任意の聞き取り等の結果を集計している。平成21年の
1月報告(速報)によれば、派遣又は請負契約の期間満了、中途解除による雇
用調整及び有期契約の非正規労働者の期間満了、解雇による雇用調整について、
昨年10月から本年3月までに実施済み又は実施予定として、1月26日時点で把
握できたものは、全国で1,806事業所、約12万5千人となっているという。厚生
労働省も注意を促しているとおり、これは通常業務の中で把握できたもののみ
の集計であって、これが全てであるということではない。
 内訳をみると、直接雇用である契約社員などは約23,000人と2割に満たない。
派遣社員が約86,000人と3分の2以上を占め、請負は約10,000人、残りがその
他となっている。
 もっとも、派遣や請負には、派遣会社や請負会社のそれぞれ正社員として雇
用されている人が含まれている。平成16年に厚生労働省が実施した「派遣労働
者実態調査」によれば、派遣社員の26%が期間の定めのない雇用で就労してい
るし、平成17年にやはり厚生労働省が実施した「労働力需給制度についてのア
ンケート調査」によれば、請負労働者の43%が期間の定めのない雇用、または
定年までの雇用で就労しているという。この割合をあてはめれば、派遣・請負
約87,000人中の約27,000人は正社員ということになり、雇い止め等が即座に失
業に結びつくというわけではない。
 さて、さらにその内訳をみていくと、派遣については期間満了で契約が終了
した人が約38,000人なのに対し、期間途中での解約、いわゆる「派遣切り」に
該当する人が約43,000人と多数を占めている(残り約5,000人は不明)。期間
満了で終了することは当然なのでルール上はなんら問題はないが、この人たち
は次の派遣先が見つからなければ失業者となるリスクが高い。いっぽう、中途
解約は基本的に一方的に行うことは許されないはずなので、違約金の支払など
により派遣会社と派遣先会社とが合意の上で解約するのが原則ではある。この
場合、派遣会社と派遣社員との雇用契約は派遣契約の期間とされることが一般
的なので、派遣会社と派遣社員との雇用契約は継続しており、派遣社員は賃金
を受け取ることができる。実は、理屈上は「派遣切り」のほうが即座に失業に
つながる危険性は低いわけだ。また、派遣先・派遣元は新たな派遣先のあっせ
んなどに努めるべきことが指針に定められてもいる。とはいえ、これらの原則
がどれほど実現しているかについては疑問もあろう。
 さてこれが契約となると、契約期間満了にともなういわゆる「雇い止め」が
約19,000人と太宗を占め、期間途中の契約打ち切り、すなわち解雇は約4,000
人と比較的少数にとどまる。派遣の中途解約は派遣会社との間で金銭解決など
の「手打ち」ができるのに対し、直接雇用の契約社員となるとそうはいかない
ことが反映しているのだろう。ちなみに派遣同様に会社同士での「手打ち」が
可能な請負においても、期間満了が約3,000人に対して中途解除が約6,000人と
多数となっている。
 当然のことながら、期間を定めた労働契約や派遣契約、請負契約を期間途中
で一方的に解約することは基本的にできない。実際、有期雇用労働者の期間途
中での解雇には、期間の定めのない、いわゆる正社員の解雇より厳しい制限が
課されている。今回の雇用調整局面の初期においては、こうした事実が必ずし
も周知されておらず、結果として安易に「派遣切り」や契約社員の解雇を実施
した企業が散見され、社会の指弾を受けた。時の経過にともなってそれは周知
されて是正されてきたようだが、適切な対処が望まれる。
 また、かねてから「2009年問題」として指摘されてきたが、2009年には製造
派遣の相当数が期間満了を迎えることが見込まれているが、現下の経済情勢で
はこうした人たちが新たな派遣先を得られるか心配せざるを得ない。これにと
どまらず、今後非正規労働の雇用失業情勢は悪化が避けられないだろう。すで
に政府において検討が進められ、一部は実施に移されてもいるようだが、一段
の政策的対応が求められるところだろう。
                         (編集委員 荻野勝彦)


2 私が読んだキャリアの1冊

 『どこまでやったらクビになるか』−サラリーマンのための労働法入門
                  大内伸哉著 新潮新書 2008.8.20

 副題に「サラリーマンのための労働法入門」、オビの惹句に「身近な実例で
学ぶ我が身の守り方」とあるこの本、Q&A形式の「講義」18講と、それぞれ
の講義の補講という形でまとめられている。このQがなかなかふるっていて、
第1講から第4講までを紹介すると「ブログで社内事情を書いている社員がい
てヒヤヒヤしています」「会社に秘密で風俗産業でアルバイトをしている女性
社員がいます」「社内不倫しています」「私用の飲食代を経費として精算した
のがバレてしまいました」。いずれもありがちな今日的話題だが、さて『どこ
までやったらクビになるか』?
 たしかに、いずれもほめられた話ではない。本人としても、なんらかのペナ
ルティがあっても致し方ないとは思うだろう。しかし、それが「クビ」=解雇
ということになると、事情によっては「ちょっと厳しすぎるんじゃないの?」
「これでクビにされたのではたまらない…」などと思う人もまた多いにちがい
ない。「私はそんなことはしないから大丈夫」と思うかもしれないが、たとえ
ば第7講では「会社がひどい法令違反をしています」というQが出てくる。今
のうちに内部告発すれば影響は小さくてすむ。しかし、内部告発すれば社内で
報復される、下手すれば解雇されるかも知れない…。こうした状況におかれる
可能性は低いかもしれないが、しかしそれが免れ得ない現実となることは誰に
もあり得る。ほかにも、たとえばとても応じられないような転勤を命じられた
ら、健康を害するような大量の仕事を与えられたら、そして働いた時間に応じ
た割増賃金が支払われなかったら…。これらはすべて本書に出てくる例題だが、
こうしたときに頼れるのは結局は「法」だろう。必ずしも裁判所には行かない
にせよ、当事者同士の話し合いで解決を模索する上でも当然「法」は意識され
ざるを得ないはずだ。
 この本は、こうした職場のトラブル18例をとりあげ、法律の観点から解説し
ている。もちろん、現実にはこうした類型化された事例とまったく同じトラブ
ルに遭遇するということは少ないだろうが、この本の事例と解説を学べば、な
により法が敵にも味方にもなるということ、万一のときには法の正しい知識を
もってことに当たることが大切だということ、そして「このケースならだいた
いこんな感じではないか」という相場観を知ることができるだろう。さらには、
トラブルには巻き込まれないのがなによりであり、トラブルを避けるためにど
う行動するのが賢明か、といったことも学ぶことができる。
 コンパクトな本なので、もとより詳細な解説は望むべくもないし、法律の本
にありがちな堅苦しさ、読みにくさを避けるためにも、ポイント・要点を中心
にわかりやすく親しみやすい記述とされているから、まさしく副題にあるとお
りの入門書であって、たとえば人事担当者の参考書とするには物足りないこと
は否めない。しかし、一般の勤め人ならこの程度の知識があれば当面は十分で、
あとは必要に応じて学べばいいだろう。価格はリーズナブルだし、読むにもそ
れほど多くの時間や労力は要しない。万一のときにあわてずにすむような心構
えをつくるために、忙しいビジネスパーソンには最適の一冊といえそうだ。
                         (編集委員 荻野勝彦)
 ※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
  日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。


3 キャリアイベント情報
  〜キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します〜

◆大学コンソーシアム京都 第14回FDフォーラム
 「学生が身につけるべき力とは何か」
 平成21年2月28日(土)・3月1日(日)
 於 龍谷大学 深草学舎(京都市伏見区)
  http://www.consortium.or.jp/contents_detail.php?co=new&frmId=1122

◆関西大学現代GP「実践的総合キャリア教育の推進」シンポジウム
 「キャリア教育を検証する―次代の日本社会を担う若者を育むために−」
 平成21年2月28日(土)13:00〜16:20
 於 関西大学千里山キャンパス第3学舎ソシオAV大ホール(大阪府吹田市)
 http://www.career-design.org/images/stories/GP.pdf

◆中央職業能力開発協会「CADS&CADIを活用した"納得できるキャリ
 ア形成”支援法セミナー(第4回)」
 平成21年3月5日(木)9:15〜17:00
 於 九段会館(東京都千代田区)
 http://www.javada.or.jp/jigyou/jinzai/cads_cadi.html

◆経済財政研究所 RIETI政策シンポジウム
 「労働時間改革:日本の働き方をいかに変えるか」
 平成21年4月2日(木)9:30〜18:05
 於 東海大学校友会館(東京都千代田区)
 http://www.rieti.go.jp/jp/events/09040201/info.html


【編集後記】
 景気の急速な悪化を受けて、採用計画を大幅に絞り込む企業が増えているよ
うです。すでに外資系企業などを中心に就職戦線がスタートしているようです
が、今年は学生にとって厳しい状況となりそうです。前回、「就職氷河期」に
はキャリア教育、キャリア指導が注目され、各学校などで試行錯誤の結果とし
てさまざまなノウハウが蓄積されました。今回、いよいよその真価を問われる
局面といえるかもしれません。(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.career-design.org/

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。

 編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部担当部長)

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail cdgakkai@hosei.org
   〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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