キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン第54号


カテゴリー: 2007年01月15日
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□    キャリアデザインマガジン 第54号 平成19年1月15日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 キャリア辞典「ワーク・ライフ・バランス(3)」
2 私が読んだキャリアの1冊
   日本経団連経営労働政策委員会『2007年版経営労働政策委員会報告』
3 キャリアイベント情報

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【学会からのおしらせ】

◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり研究会を開催いたします。

 日 時:2月3日(土)13:30-16:00
 テーマ:「障害をかかえた人々のキャリア支援」
 講 師:池谷祥子 (独)高齢・障害者雇用支援機構
 コメンテータ:青木猛正 埼玉県立日高養護学校教頭 本学会研究組織委員
 司 会:永作稔 筑波大学人間総合科学研究科講師 本学会研究組織委員
 会 場:法政大学キャリアセンター3階セミナー室(東京都千代田区)
 定 員:50名(学会ホームページにて受付を開始しております)
     http://www.cdi-j.jp/event.html
 参加費:会員 無料   非会員: 3,000円

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1 キャリア辞典
  〜「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです〜

 ワーク・ライフ・バランス(3)

 今のところ、「ワーク・ライフ・バランス」といえば会社と家庭、会社と私
生活のバランスといった受け止め方が大勢だろう。しかし、キャリアデザイン、
それも職業キャリアだけでなく生涯全体の「生き方」としての広義のキャリア
デザインという観点からワーク・ライフ・バランスを考えようとすると、そも
そも「ワーク」とはなにか、「ライフ」とはなにかということが大問題になる
のではないか。
 朝9時に出勤して夕方6時まで仕事をするのは誰にとっても「ワーク」であ
るだろう。昼休みや通勤時間もたいていの人にとっては「ワーク」だろう。そ
れでは、仕事帰りに英会話学校に行くのはどちらか?海外赴任前に会社の命令
で行くのなら「ワーク」だろうし、正月休みのハワイ旅行を楽しみに英会話を
学ぶのなら「ライフ」に入れる人が多いだろう。とりあえず現在の仕事では必
要ないが、将来の転職を視野に入れて英会話を学んでいるのは(これは「キャ
リアデザイン」的にはありがちなシチュエーションだ)、はたして「ワーク」
だろうか「ライフ」だろうか?
 あるいは、ワーク・ライフ・バランスは働く女性を念頭に語られることが多
いが、このとき「育児」や「家事」、あるいは「介護」などは、当然のように
「ライフ」に包含されるものとされている。しかし、いわゆる専業主婦にとっ
て育児や家事、介護は「ライフ」だと言い切れるのだろうか?世の中には、い
わゆる主婦のこうした活動を「アンペイド・ワーク」と称して「労働」として
扱おうという考え方もある。働く女性としても、育児や家事などを「仕事では
ない」と言い切られたら抵抗のある人が多いのではないか。
 つまり、ライフデザインとしてのキャリアデザインの観点からワーク・ライ
フ・バランスを考えるときには、「ワーク」=報酬をともなう就労、と単純に
は割り切れない、ということではなかろうか。例をあげればきりがない。たと
えばPTAの会長を頼まれて引き受けた。あるいはマンションの管理組合の理
事長になった。これらは人生における「キャリア」としてはけっこうな位置づ
けを持つだろうが、さてこれらは「ワーク」だろうか「ライフ」だろうか。親
戚の訃報が届いて、仕事を休んで葬儀に列席した。あるいは、近所で火災があ
り、炊き出しや片付けを手伝った。「ワーク」と感じる人もいるかもしれない。
もっとも、これらは当座は無報酬でも、長い目でみればいろいろな形での見返
りがあるという見方もあるだろう。
 ワーク・ライフ・バランスと一口に言っても、「ワーク」とはなにか、なに
が「ライフ」なのか、というのは人によって違うし、その上で自分にとっての
「ワーク」と「ライフ」のバランスが、半々がいいのか、7分3分、あるいは
4分6分がいいのかといったことも違ってくるだろう。一人ひとりの望むワー
ク・ライフ・バランスは、当然ながら人によって異なるのであり、それは結局
一人ひとりがみな、それぞれの(広義の)キャリアデザインを考えているとい
うことと表裏一体なのだろう。
 仕事時間の長さよりも、自分が望むワーク・ライフ・バランスと現実のずれ
が大きさのほうがストレスとの相関が強いという調査結果もあるそうだ。企業
の人事管理、あるいは行政の施策なども、特定の「望ましいワーク・ライフ・
バランス」の姿を念頭においてそれへの誘導をはかるのではなく、人それぞれ
に望むライフスタイルが異なることを念頭において、多様な選択を可能として
いく方向で進めることが大切ではないだろうか。
                        (編集委員 荻野勝彦)


2 私が読んだキャリアの1冊

 『2007年版経営労働政策委員会報告−
  イノベーションを切り拓く新たな働き方の推進を』
  日本経済団体連合会経営労働政策委員会 2006.12.19 日本経団連出版

 「キャリアデザインマガジン」の読者のみなさまには、この書名をみて「な
んだ、これは?」と感じられる人のほうが多いかもしれない。ごく単純に言っ
てしまえば、毎年の春闘にあたって、経団連が経営サイドの基本姿勢をまとめ
た報告書で、旧日経連時代の1960年代前半から毎年発表されている。例年、景
気や経済情勢、企業経営や人事労務管理の課題と方向性、行政への政策要望な
どについての経団連のスタンスが述べられ、続いてそれを踏まえた春闘におけ
る基本姿勢が述べられるという構成になっており、「2007年版」もおおむねこ
のスタイルを踏襲している。企業経営者が実際に団体交渉に臨むにあたって理
論武装するためのエグゼクティブ・サマリーという位置づけなのだろう。した
がって、(おそらくは)「キャリアデザインマガジン」の読者の方の多くには
特段お勧めするような本ではない(まあ、読んでもさほどの損はないだろうけ
れど)。
 それではなぜここで取り上げるのかというと理由はふたつあり、ひとつはこ
の報告書の中に一回「キャリアデザイン」という言葉が出てくるからだ。その
含意がなかなか意味深に思えるので、ご紹介してみたいと思った。
 この報告書では、今後の企業経営、人事管理の重要課題として「ワーク・ラ
イフ・バランス」を大きく取り上げている(ついでに書けば、ちょうど「キャ
リア辞典」で「ワーク・ライフ・バランス」を取り上げているから、というの
が理由のふたつめだ)。その意図するところは、仕事と生活の調和が可能な働
き方を可能とすることで従業員のやりがい、生きがいを高め、もってその能力
向上、能力発揮を促すことで企業の成長、生産性向上が実現できる、というこ
とであるらしい。そして、報告書はそれに続けて、ワーク・ライフ・バランス
は少子化対策としても重要であるということで「産業界・企業においても、出
産・育児と仕事の両立支援を促進する職場風土の醸成、多様な働き方の選択肢
の用意などを、企業の実情に応じて推進する努力が望まれる。具体的には短時
間勤務、裁量労働、在宅勤務などの労働時間や就労場所について、多様かつ柔
軟な働き方を可能とする選択肢を用意することである」と述べといる。そして、
それに続けて「女性のみならず、男性の働き方の見直しも推進しつつ、従業員
のキャリアデザインの支援も重要となる」という記述がある。
 これは、「ワーク・ライフ・バランス」のために「働き方の見直し」をした
ときに、キャリアがどうなるのか、キャリアをどうするのか、という問題を提
起していると読むことができるだろう。ここでは「支援も重要」とさらっと書
いているが、現実にはそれほど簡単なことではあるまい。たとえば、「男性の
働き方の見直し」ということで男性が育児休業を取得し、さらに育児時間を利
用したとしよう。これは仕事のキャリアにどのように影響するのか。そして、
本人が望むキャリアに近づけるためには、本人はどのような取り組みが必要で、
企業はどのような支援が可能なのか。こうしたことはまだほとんど明らかでは
ないのではないか。それが、「キャリアに与える影響が不安」といった、男性
が育児休業を取得できない理由につながっているのではないか。
 少なくとも、経団連がこうした問題の存在に着目し、「支援も重要」という
前向きな姿勢を示したことは、ワーク・ライフ・バランスにおいても少子化対
策においても、そしてキャリアデザイン研究においても意義を有するものだろ
う。今後の経団連の動向に注目したいところだ。
                         (編集委員 荻野勝彦)
 ※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
  日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。


3 キャリアイベント情報
  〜キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します〜

◆労働政策研究・研修機構国際シンポジウム「外国人労働者と社会統合−欧州
 における外国人労働者受入れと社会統合の展開−」
 平成19年1月17日(水)13:30〜17:00
 於 大同生命霞ヶ関ビル6階(東京都千代田区)
 http://www.jil.go.jp/event/symposium/info/070117.htm

◆女性と仕事の未来館「未来館フェスタ2007」
 平成19年1月19日(金)、20日(土)、26日(金)、27日(土)
 於 女性と仕事の未来館(東京都港区)
 http://www.miraikan.go.jp/event/146.html

◆若者の人間力を高めるための国民会議「若者チャレンジ応援フェスタ」
 平成19年1月21日(日)13:00〜18:00
 於 東京国際フォーラム(東京都千代田区)
 http://www.wakamononingenryoku.jp/event/kanto.php#33

◆中央職業能力開発協会「若手社員に対するキャリア形成支援セミナー」
 平成19年1月24日(水)13:00〜16:00
 於 九段会館(東京都千代田区)
 http://www.javada.or.jp/jigyou/jinzai/kouza.html
  ※本学会の川崎友嗣理事(関西大学教授)が出講します。


[編集後記]

 遅ればせではありますが、本年最初の発行ということで、あけましておめで
とうございます。今年も日本キャリアデザイン学会と「キャリアデザインマガ
ジン」をよろしくお願い申し上げます。本号はワーク・ライフ・バランス尽く
しのような感じになってしまいましたが、世間でも注目を集めているイシュー
でもありますのでご容赦ください。多様な働き方の実現、という意味では、ホ
ワイトカラー・エグゼンプション制の行方も気になるところです。(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.cdi-j.jp/

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◆働く若者ネット相談事業 ご利用のお勧め
 厚生労働省委託事業・日本キャリア開発協会受託・キャリア協議会協力
 webサイトを利用していつでもどこでもネットで相談できる仕組みです。
 また対面カウンセリングや電話カウンセリング、TVカウンセリングも行っ
 ています。詳しくはhttp://net.j-cda.org/まで。     (厚生労働省)

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。

 編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部担当部長)
      児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail cdgakkai@hosei.org
   〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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