キャリアデザインマガジン

日本キャリアデザイン学会 キャリアデザインマガジン第53号


カテゴリー: 2006年12月20日
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□    キャリアデザインマガジン 第53号 平成18年12月18日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 キャリア辞典「ワーク・ライフ・バランス(2)」
2 私が読んだキャリアの1冊
   川喜多喬編・小池和男監修『女性の人材開発』
3 キャリアイベント情報

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1 キャリア辞典
  〜「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです〜

 ワーク・ライフ・バランス(2)

 ワーク・ライフ・バランスと似た概念に「ファミリー・フレンドリー」があ
る。例によって「日経テレコン」で日本経済新聞の初出を調べてみると、こち
らは1995年にさかのぼる。ただ、欧米で「ファミリー・フレンドリー」が言わ
れはじめたのはさらに早く、米国では1980年代にはすでに人材確保のための待
遇改善のひとつとして普及しはじめていたらしい。いっぽう、欧州では人材確
保より企業の社会的責任の一環として政策的に進められたという。
 わが国では、1998年に労働省(当時)が「「家庭にやさしい企業」(仮称)
研究会」を設置し、1999年には「ファミリー・フレンドリー企業表彰」などを
はじめとする「ファミリー・フレンドリー」企業普及促進事業を開始した。そ
れによると、ファミリー・フレンドリー企業とは「仕事と育児・介護とが両立
できるような様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択でき
るような取り組みを行う企業のこと」であるという。具体的には「法を上回る
育児・介護休業制度を規定しており、かつ、実際に利用されていること」「仕
事と家庭のバランスに配慮した柔軟な働き方ができる制度をもっており、かつ、
実際に利用されていること」「仕事と家庭の両立を可能にするその他の制度を
規定しており、かつ、実際に利用されていること」「仕事と家庭との両立がし
やすい企業文化をもっていること」が要件としてあげられている。「その他の
制度」というのは、企業内託児所や託児施設利用補助手当の支給などを指して
いるらしい。
 こうしてみると、「仕事と家庭の両立」がポイントとなるファミリー・フレ
ンドリーに較べて、「仕事と生活の調和」をめざすワーク・ライフ・バランス
のほうが、さらに幅広い概念であるようだ。米国の「家族と仕事の研究所」に
よれば、ファミリー・フレンドリーにも発展段階があり、まずは子どもを持つ
女性を対象とした育児支援にはじまるが、段階を追って男性も対象とされたり、
共働き家庭に限らずひとり親家庭や単身世帯などに対象者が拡大され、支援の
内容も介護をはじめとする生活上の様々な課題が含まれるようになるという。
これにあわせて、用語のほうも「ファミリー・フレンドリー」から「ワーク・
ライフ・バランス」が使われるようになるのだそうだ。
 ちなみに、三菱UFJ信託銀行はファミリー・フレンドリーな企業の株式に
投資するファンドを販売しており、2006年12月18日現在で純資産4,603百万円
とけっこうな売れ行きを示している。運用成績も2006年11月のデータで1年で
9.62%と、まずは上出来の部類だろうか?ポートフォリオの上位をみるとトヨ
タ自動車、松下電器産業、キヤノンといった優良企業と並んで、「三菱UFJ
フィナンシャル・グループ」も加えられており、なかなかの自信のようだ。
                        (編集委員 荻野勝彦)


2 私が読んだキャリアの1冊

 『女性の人材開発 シリーズ日本の人材形成2』
  川喜多喬編 小池和男監修 2006.11.10 ナカニシヤ出版

 ナカニシヤ出版の「シリーズ日本の人材形成」の2冊目である。以前紹介し
た小池和男編・監修『プロフェッショナルの人材開発』に続くもので、やはり
それぞれ社会人大学院生の修士論文をベースとした5章からなる。うち4章は
著者の勤務先の内部調査が中心で、残る1章も著者が就労経験を持つ専門職種
に関する調査と、いずれもインサイダーならではの興味深い内容となっている。
 第1章は、俗に「一般職」と言われるような女性事務員の初期キャリア形成
を、貿易事務従事者を対象に調べている。一口に「定型的・補助的」で片付け
られがちな初級事務職の仕事にも、一定の非定型的業務が含まれるなど技能レ
ベルの奥行きがあり、それが職場での訓練を通じて形成されていることを明ら
かにしている。
 第2章はいわゆる「女性秘書」を対象とした珍しい調査である。その職務の
特性をふまえて、職務満足度においても技能・キャリア形成においても、秘書
の上司たる「ボス」の役割が大きいことを示している。
 第3章は金融機関における女性の係長昇進を取り扱う。金融機関は比較的キ
ャリア形成に関する研究が進んでいる分野であろうが、入社後数年間における
経験業務や上司の指導などが男女で異なることが係長昇進に大きく影響する実
態を明らかにしている。
 第4章は製薬会社における女性研究者の活用を取り上げる。その就業継続は
企業の育成・活用方法に影響されるが、それは企業の経営戦略に密接に関連し
ていることが確認される。
 第5章は看護師の技能形成を取り上げる。患者の容態急変という不確実性の
高い状況で発揮される看護師の技能を抽出・層別し、その形成にはOJTが決
定的に重要であることが示される。現場がもっとも緊張する場面をピンポイン
トで取り上げており、迫真の力が感じられる。
 現実の事例調査を中心としているが、かといって単なる事例集ではない。第
1章の前に「プロローグ」として編者による改題が付され、編者の意図と各章
に通底するものが明らかにされていることで、一貫したメッセージを持つ研究
書として完結している。いささか残念なのは内容がやや古くなっていることで、
これは論文としての値打ちを下げるものではないだろうが、仕事や働き方が急
速に変化していると言われる(本当かどうかは別として)中では、読み物とし
てはもっと早い紹介が望ましいかもしれない。とはいえ、新しいか古いかにか
かわらない発見も多く、そこをこそ読むべきであろう。研究書としてはかなり
読みやすい本であり、実務家や、働く女性、あるいは女性に限らず働く人々全
般にとって、参考となる本になっているように思う。広くおすすめしたい本で
ある。
                         (編集委員 荻野勝彦)
 ※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
  日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。


3 キャリアイベント情報
  〜キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します〜

◆日本経団連労使フォーラム「企業価値向上への挑戦〜人と組織のあり方を見
 直す」
 平成19年1月11日(木)・12日(金)
 於 新高輪プリンスホテル(東京都港区)
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2006/1201/08.html

◆労働政策研究・研修機構国際シンポジウム「外国人労働者と社会統合−欧州
 における外国人労働者受入れと社会統合の展開−」
 平成19年1月17日(水)13:30〜17:00
 於 大同生命霞ヶ関ビル6階(東京都千代田区)
 http://www.jil.go.jp/event/symposium/info/070117.htm

◆女性と仕事の未来館「未来館フェスタ2007」
 平成19年1月19日(金)、20日(土)、26日(金)、27日(土)
 於 女性と仕事の未来館(東京都港区)
 http://www.miraikan.go.jp/event/146.html


[編集後記]

 いよいよ2006年もあとわずかとなりました。「キャリアデザインマガジン」
も本号が今年最後の発行となります。年末年始は1回お休みさせていただき、
次号は1月15日発行の予定です。今年もご愛読ありがとうございました。読者
のみなさまが良いお年を迎えられることをお祈りいたします。(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.cdi-j.jp/

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◆働く若者ネット相談事業 ご利用のお勧め
 厚生労働省委託事業・日本キャリア開発協会受託・キャリア協議会協力
 webサイトを利用していつでもどこでもネットで相談できる仕組みです。
 また対面カウンセリングや電話カウンセリング、TVカウンセリングも行っ
 ています。詳しくはhttp://net.j-cda.org/まで。     (厚生労働省)

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
  
  このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
  無断転用はお断りいたします。

 編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部担当部長)
      児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail cdgakkai@hosei.org
   〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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