人事のブレーン社会保険労務士レポート

人事のブレーン社会保険労務士レポート 第17号

カテゴリー: 2005年03月15日
平成17年3月15日 第17号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.	労働者派遣における派遣先の注意点とリスク
2.	育児介護休業規程のご相談受付中

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1.	労働者派遣における派遣先の注意点とリスク

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<1> はじめに

労働者派遣事業法が昨年改正され、派遣可能な業務が広がった。
一方で派遣についての規制も残り、特に派遣先企業については、派遣労働者へ
対しての雇用申し入れが義務化される等、規制強化の面もある。

本稿では、派遣先の注意点に絞ってお話ししたいと思う。

<2>	派遣期間

1 派遣期間の制限

労働者派遣は、「物の製造」及び「26業務」を除き3年を超えて派遣の受け
入れを継続してはならないとされている。

物の製造は1年、26業務については制限なしという定めになっている。

この期間については、派遣法では、一契約という考えではなく、一業務という
考え方になっている。
具体的には、「同一の事業所の同一業務」であれば、派遣労働者が入れ替わろ
うとも、派遣会社が替わろうとも期間の中断はないということである。

例え、A社八王子営業所の営業事務に派遣労働者を受け入れていた場合、最初
の2年間はYという派遣労働者、次の1年間はXという労働者を受け入れてい
た場合、合計で3年になるので、八王子営業所営業事務では、3年を超えた時
点で派遣労働者は受け入れることが出来なくなる。

あくまで我が国は正社員を中心とした職安行政が行われてきているので、3年
以上必要な業務であれば、派遣労働者ではなく、正社員を雇いなさいという考
えだからである。

ここで2点疑問が生じる。
第一は、同一事業所同一業務の概念。第二に、どのくらいの期間を空ければ期
間の中断とみなされるかということである。

2 同一事業所同一業務の概念
実際はケースバイケースで判断がなされることが考えられるが、「派遣先が講ず
べき措置に関する指針」では、以下のような基準を提示している。

・同一事業場
「場所的に他の部署と独立していること」
「経営の単位として、人事、経理、指導監督、労働の様態等において有る程度
独立性を有するもの」
「一定の期間継続し、施設としての持続性を有すること」
等の観点から実態に即して判断する。とされている。
営業所単位であると、余程大規模営業所ではないと、同一事業場とみなされる
であろう。

・同一業務
「派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務とみな
す」となっている。形式的に係や班を替えたとしても、実態として判断する。
例えば、営業事務で伝票のデータ入力を中心に行っていたものが、データの出
力を中心に行うとした場合には、やはり同一業務とみなされる可能性が高いと
考えられる。

しかし、営業事務の伝票の入力が、経理部で経理データの入力に替わったり、
ショウルーム内での営業補助といった職種に変更になった場合には問題になら
ないであろう。

2 クーリング期間
継続して派遣を受け入れているとみなされない為には、3ヶ月以上間隔を空け
なければならない。
前に述べた、同一事業場同一業務に該当する場合には、3ヶ月以上は自社の社
員で業務を行わないと以後の派遣労働者の受け入れが出来ない。これも、なる
べくなら正社員を雇って欲しい職安行政の考え方からするとやむを得ない規定
であると考える。

3 低触日という考え方
低触日とは、派遣受け入れ期間が3年(物の製造は1年)に達する日であり、
派遣先が把握し、派遣元に通知しなければならない。この達する日を派遣法で
は低触日とよんでいる。
理由は、派遣会社をA社からB社に変更した場合、B社は3年に達する日が正
確に把握できない。結果として、派遣可能期間を超えてしまい違法派遣になっ
てしまう可能性がある。

この点を考慮して、派遣先に対して派遣元である派遣会社への低触日の通知を
義務づけた。

<3> 雇用申し込み義務の新設

1 雇用申し込み義務

・派遣可能期間が終了してからも、派遣労働者を使用しようと思っている。
・その派遣労働者が、派遣先事業場に雇用されることを希望している。
この場合、派遣先は派遣労働者に対して、低触日の前日までに雇用契約の申し
入れを行わなければならない。

また、派遣可能期間の定めのない26業務についても
・同じ派遣先事業場の同じ業務に3年以上派遣されている派遣労働者がいる。
・	派遣先事業場が、今まで派遣労働者が行っていた業務を担当させる為に、新
たに従業員を雇用しようとしている。
この場合、優先的に、その派遣労働者に雇用の申し込みを行わなければならない。

2 雇用申し込みの努力義務

前に述べたのは、派遣可能期間を超えた場合であり、同一の派遣労働者が同一
事業場同一業務に1年以上派遣された時点で、
・	その派遣労働者が、派遣先に雇い入れられて、今までの業務を引き続き担当
することを希望している。
・	派遣先事業場が、派遣期間の終了後に、今まで派遣労働者が行っていた業
務を担当させる為に、新たに従業員を雇用しようとしている。
・	派遣されていた労働者と派遣元との雇用関係が派遣終了後7日以内に終了
している。
場合には、その派遣労働者を雇用するように努力することとなっている。

<4> 常用労働者としてみなされるリスク

1 努力義務の程度

本稿で、派遣先企業の注意点を述べたのは理由がある。

派遣法自体の罰則は重くない。特に派遣元のように営業が出来なくなるといっ
た問題は、派遣先については生じてこない。

しかし、派遣元と派遣契約を解除し、派遣労働者が職を失った場合、派遣先に
対して雇用義務を求めてくるケースがある。

派遣先企業からみれば、事前面接も出来ない派遣労働者を自社の常用労働者と
して雇い入れることは過大な負担となる。

しかし、法は、派遣可能期間を超えた労働者に対して、雇用申し入れ義務を派
遣先に課しているし、1年を超えて派遣されている派遣労働者に対して同様の
努力義務を課している。

派遣可能期間を超えた場合は義務であるから、派遣先もある程度対策を立てら
れるが、努力義務の場合については、どの程度努力をしたかが問題になる。

2 黙示的労働契約関係の成立の可能性
派遣先が、派遣契約を派遣元と打ち切る場合、派遣労働者は当然仕事がなくな
る。派遣元は、その派遣労働者に対して次の派遣先を紹介することとなるが、
派遣労働者が、派遣先企業に残りたい、即ち派遣先と労働契約関係が成立して
いるという主張をしてきたらどうするのかという問題である。

違法派遣を行い、結果として雇用申し入れ義務が生じた場合は、当然に労働契
約関係は成立していると考えられる。

しかし、努力義務の場合、努力したけど無理でしたというのが努力義務である。
この努力の程度が争点となるケースが考えられる。

伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件(松山地裁平15.5.22 労判
856号45頁)では、派遣先企業と派遣労働者の黙示的労働契約関係の成立
が一つの争点であった。
結果として、判決では、黙示的労働契約関係の成立を否定しているが、学説で
は争いがある点である。

このように、訴訟に至るケースもあり、本稿で取り上げた、派遣期間の取り扱
いの注意点は派遣先企業にとって、非常に慎重に考えていかなければならない。

また、違法派遣により、派遣先と派遣労働者との間に労働契約関係が成立して
いるとみなされるケースも考えられ、派遣元との派遣契約解除に伴い、自社で
雇い入れざるを得ないという事態もある。

派遣労働者の受け入れに関しては、少なくとも労働者派遣法の範囲内で運用し、
派遣元についても信頼できる業者であるか見極めていく必要がある。

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